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めもめも ...〆(。_。)

認知心理学・認知神経科学とかいろいろなはなし。 あるいは科学と空想科学の狭間で微睡む。

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なんか気付いたら、日本心理学会の「投稿の手引き」が改訂されていた件。
現在の投稿の手引きはこちら

基本的にわたしは指導教員とか周囲が「論文は英語で書いて国際ジャーナルに投稿するもの」って言ってるのを鵜呑みにしていて、まだ『心理学研究』等に投稿した経験がないのですが(なお「就職する際に『心理学研究』が 1本あると有利」という噂を聞いたことはありますが実際どうなのかは未検証です。だれか『心理学研究』持ちで超さくさく就職したって例やそうでもなかっ たって例をご存じでしたらこっそりとあるいははっきりと教えていただけると幸いです)、そんな環境においても「日本語で何かを書くときは日本心理学会の投稿の手引きを参照しろ」というのは常々言われていましたね。
まあようするに、日本語で何かを書くとき=レポート、卒論、修論、(人によっては)博論、ですが。
悲しいかなわたしは英語ぐだぐだマケグミ学生だったので博論も日本語でしたよええ残念ながら。
なので『心理学研究』投稿経験こそないものの、「投稿の手引き」とは(こちらから一方的に)親しいお付き合いをさせていただいておったのですが、やはりこの時代の変遷への対応が必要になったのでしょう、結構がっつり改訂が入ったようですね。
まあ2005年からこっち、APAもとうの昔に6版が出てその翻訳も出ましたからね。


今回の改訂で「投稿の手引き」を読み返してみると、結構APA5版と記憶が混じってる自分がいて若干驚く。
たとえばAPAには、編集された書籍の特定章を引用する方法も、編集されていない(著者がまるまる著者)書籍の特定章を引用する方法も書いてあるけど、投稿の手引きには前者しかない。

2005年と2015年を比較すると、けっこう引用関係に関しては手引きが変わってて、例えば直接引用の箇所に関しては、2005年度版は””を引用符として使用するようにってなってたけど、2015年度版は「」も引用符として使用できるようになってる。
(追記:2015年度10月改訂版ではさらに、引用符を””でなく「」でつかえっていってて若干混乱)

あと、わたしが学部生のころ卒論の形式の参考のときに読んだ記憶だと、「孫引き」に関する記述があったように思うんだけど、2005年度版ですらそれはない。
ただ「間接引用」という単語がつかわれていて、
"間接引用は出来る限り避ける。止むを得ない場合は,依拠するところを明らかにする。"
としか書いてない。
ただ文献の文章をそのまま引用してくることを「直接引用」と言っているため、「じゃあ間接引用ってなんだ???」となってしまう。
2015年度版にいたっては
"原則として間接引用はしない。"
としか書いてなくて、いやまあ正しくはそうあるべきなんだけど、学生のレポートに孫引き禁止したところで、ちゃんと原典にあたれる学生ってめっちゃ少ないですからね。
APAでは、「二次資料」の扱いがそれにちかいかな。
他の先生方はどう苦慮されているのか知りたい。

んで、一番大きなポイントは、インターネット上の資料の扱いの変化。
2005年版では
”電子媒体からの引用は,極力避ける。但し,やむをえず引用する場合には電子媒体か
らの削除が予想されるので,必ずコピーをとって保管し,編集委員会からの請求があっ
た場合,速やかに提出できるようにする”
なんてきっついことが書いてあるうえ、
”著者名,年号,資料題名,サイト名,アップデート日,<URL>,(資料にアクセスした日)”
を全部書けってかいてあるんですよ。
一方の2015年版ではそういうけちくさいこと言わずに、でも冊子体がある場合はそっちで引用してね、doiあったらちゃんと書いてね、んで
"(著者名),(公開年),(表題),(ウェブサイト名),(Retrieved from URL),(アクセス年月日)"
を書いてねってかいてある。
まあこっちも引用するなら印刷しとけとは書いてあるけどね。
オンライン資料もそれなりに日の目を見だしたことだなあ。

あとグラフの目盛は必ず内側っていってたのに2015年は外側もありになってたり、ちょいちょい変更がいろいろとあります。
なのでちょいちょい確認しておいたほうがいいかも。
うっかり2005年版のつもりで学生にあれこれ言ってたら、たまに2015年版と齟齬が出てしまってお互い「あっれー?」ってなるので。
やっぱりこういうところでも、ちゃんと原典確認するのだいじなんだなあ。
ファイル整理してたら、「なんでこんなの読んでたんだっけ?」という論文ざっと読みめもがでてきた。
めもを読み返しても論文自体を読んでも、前の自分がなぜこれを読もうと思ったのかいまいちわからない。
とりあえずめもぶろぐにアップして供養しておく。

読んだ論文は
「Olfactory–Visual Congruence Effects Stable Across Ages: Yellow Is Warmer When It Is Pleasantly Lemony」というタイトルのもの(Pubmedリンク)。

実験の内容はというと、実験参加者に閉眼であるにおいをかがせ、においを検出したら目をあけてもらうのだけど、そのときに色パッチが提示されるので、その色が「寒色」か「暖色」か判断してくださいというもの。

ちなみに、においの種類はレモン・オレンジ・ばら・魚・ミント・タイム・ミネラルオイル(これはニュートラル刺激として扱われている。においどんなのだろう)。
これらのにおいは、事前に3段階評価で「快」・「どちらでもない」・「不快」の評価をさせておく。
また、レモンは黄色、オレンジは橙色、ばらはピンク色、魚はブルーグレー、ミントは草っぽい緑(黄緑?)、タイムはマラカイトグリーン(青緑)というふうに対応する色(典型色)を定めておく。

そんでもって、においをかいだ後に提示される色パッチが、上のにおい&色組み合わせと一致してるとき、不一致のときで寒色暖色の判断にかかる反応時間が変わるかを調べたそうな。
反応時間はニュートラル刺激であるミネラルオイルへの反応時間をベースラインとしてそこからの差分をとってる。
また、実験参加者は若年者と高齢者といて、年齢の影響があるかも調べたそうな。

結果として、年齢の効果はなし。
色の一致・不一致と、においの快・不快とが交互作用してて、レモンやばらなど「快いにおい」と判断されたものの後にそれと一致する色(レモンなら黄色、ばらならピンク)が出てきたときに反応時間が早くなるそうな。


うーん…意味的な情報がいろんなモダリティに影響する話とも言えなくもない…かな?
あと研究の結果としてはささいな話だけど魚のにおいはぶっちぎりで嫌われてるっぽい。まあそれもそうだよね。
においが意味記憶を活性化させるとすれば、快不快に関係なくプライミングとして働きそうなものだけど…いやまあ反応時間に現れるほどのつよいプライミングになるのは快刺激だけ、と解釈することもできるのかな。


本当なぜこれを読んで、あまつさえ「めもしておかなくっちゃ!」ってなったのかが全然思い出せない。
まあいいや。供養供養。
一応学会本体の話をしないというわけにもいかないだろうという配慮。
(誰に対しての配慮なんだ)

やはり実行機能に関する話題というのは認知の人々にとってはまだまだキャッチ―なようだ。
とくに、「実行機能は訓練可能か?」からの「訓練ができるとすればどうやって?」というトピックに関しては、認知系にしては珍しいくらいに人だかりができて盛り上がることができるんだなー、と。
あれか、基礎系の人と応用系の人と両方の関心を引き付けられるっていうのがポイント高いのか。

その一方で、「そもそも実行機能って何なん?」という問いも健在だし、むしろ訓練の話からかますます注目を浴びているように思える。
やはりサブコンポーネントにわけて、抑制・切り替え・更新と考えていくのか(もし何の因果かそのへんの初学者がうっかりここを見る羽目になったら、このへんについてはとりあえず三宅先生の論文読んどいてください)。
ただそれにしても、じゃあその個々のサブコンポーネントって何なん?という問いは残るわけで、わたしの関心のせいかここらへんも2014年~現在ホットトピックになっているのではないかなーと思う。
もはや実行機能は「なんでも入るずた袋」ではなくなっているのだ。
まあそれでも口さがない人とか実行機能という考え方がきらいな人とかはいろいろ言うと思うけどね。
でもさすがに”説明に便利な概念”という位置づけは脱していくんじゃないかなあ。


あと、どうでもいいけど&関係ないけどピアジェの功罪ってまだ糸引いてるんだなあと思ったり。
そこらへんにあんまし関心を持たなかったので知らなかった。
自分がこれまで目を向けてこなかったことにも気づかされるというのは学会のメリットの1つでもあるなあ。
久しぶりにがっつり心理の話をしよう。
まあがっつりといっても自分の専門とはちとずれる話なので、まだ知識が浅いのだけれど。

知性(これが何を示すかについてだけでも議論が収集つかなくなるレベルになるので、今回はそのへんはもやっとしたイメージとしてスルー)やら道具使用やら、「高度」な認知活動がヒトに特有のものである、という説が広く受け入れられていたのはもはや過去の話。
(たぶん。おそらく。
まあこの説を固く支持する人もいますが)

ちょっと昔にナショジオがこんな特集を組むくらい、多種多様な動物に知的な行動がみられることが知られるようになってきました。
と、なると、ヒトに特有の能力とは何なのか…という話にもなってきます。
まあ高度な文明社会を作ってどうこうは、今んとこヒト特有のもののようですが。
(ここで「イルカがせめてきたぞ!」とか思いつく人はいろいろアレなネタに汚染されているので反省するように。わたし含め。)
そんな極端なところじゃなく、他種がぎりぎりできないラインってどこだろう。
ってなことを考えると、これわりとわかんないんですよねえ。
けっこういろんな動物が、わりかし難しいことをしてる。
けど留意すべきことに、「この行動は何をしているのか?」の解釈って観察者に依存してしまうところが多少あるんですよねえ。
たとえば、イヌやネコなどのペットを飼っている人は、「うちのペットはわたしの気持ちをわかってくれる」と思う傾向にあるようですが(ウィキペディアなら[要出典]つけられるレベルの胡乱さ)、それはわれわれが「心の理論」を持ち「心の理論」をよく働かせる傾向にある種だから、というのを抜いて語ることができないと思うんですよね。
そのへん、客観的に立証しようとしている比較心理の方々には頭が下がります。

まあわたしはむらっ気があるのとおおざっぱなのとで比較心理には向かない人材なのですが、動物は好きなので比較心理の話を聞くのは好きなんですよ。
んでこの間ちょっと古い心理本読んでたら、比較心理の研究で、ワタボウシタマリンというサルが、ヒトの発音する音節パターンを「パターン」として認識できた、つまり物理的/初期知覚的な(些末な)差異を乗り越えて共通する構造を認識できた…みたいな話があるっていうからおおお!!!って盛り上がったんですよ。
元論文を探すじゃろ。
このざまよ。

どうも有名な事件だったらしくて、日本語ウィキペディアにすら記載されてやんの(この記事)。
2010年とか自分のことで頭いっぱいだったわ……もっと視野は広く持たんといかんですな……

ただ、ワタボウシタマリンの論文はアレでしたが、どうも多少の物理的差異を乗り越えて情報を抽出する能力自体は他の種でも見られるっぽい。
そのへんについて若干興味があるので、今度比較心理のひととゆっくり話する機会があれば聞いてみたいと思っています。
ワタボウシタマリン自体は毛がふわっふわしててかわいくて好きです。
わたしのワタボウシタマリンのファーストコンタクトは某研究所見学会でしたが、臆病な性格らしくなかなか姿を見せてくれませんでした。でもその分チラ見したときのテンションがあがりましたね(何しに行ったんだ…)。

んでもって、「ルール」的なものの抽出自体はまあヒト以外の種にも可能かもしれん、というと、じゃあヒトの何がすごいんだろう?って話に戻るんですが。
誰に聞いたんだが忘れたんですが(おい[要出典])、n次の階層構造を持つ認知ができるところがヒトはすごいんじゃね?って説が最近では有力っぽいですね。
(このふわっふわさ…あてにならないすぎる)
ルールでいえば「ルールのためのルール」を抽出できるところがすごい、と。
これを突き詰めていけばたしかに高度な文明になりそうだわ……
ってことはあれか、階層構造を規定することって、認知を考えるうえでわりと重要なのか?
なんてことも思ってみたりのたりのたり。


この階層構造のすごさが手っ取り早くわかりやすいのは、「道具使用」ジャンルなんですよね。
ヒトがつかう「道具のための道具」ってめっちゃ多い。
あと「道具」の用途がitem-specificでないことも多い。
ってな話ですと、冒頭で紹介したナショジオの特集にも出てきた、道具を作り出せるカラスすげーな!ってなるんですが、なんとこれYouTubeで動画が公開されてるみたいです。

あっほんとにつくってる…って思っちゃうんですけど、それはわたしの心の理論のせいなのか、それともこれ本当にカラスの創造性なのか…
うーむ。
あ、そういえば最近は心の理論にも階層性が論じられるようになってきましたね。

どうもいろんな分野で「階層性」がキーワードになってる気がする。
「そんなのだいぶ前からそうじゃねーか…」って思う向きの方もおられるやもしれませんが、にしても心理分野でいうとけっこうなトピック数に上ってきてるんじゃないでしょうか。いわゆるa few decadesぐらいのスパンで。いやひょっとしたらここ10年くらいかも?
こりゃーマトリョーシカでも買って拝むか。
(反知性主義的結論)
まーネタはおいといて、どこまで「階層性」が必要になるのか/ヒト以外では可能なのか、はちょっと検討すべきではないかと思ってる。
…自力じゃなくて他力(誰か論文出してないかな~)で。
何にしても考えておきたいところ。
(注:特定の個人を想定した話ではありません。
「実験だるいしもう実験心理の単位とらなくていいや」と思っているすべての心理学関係の大学生を対象とした話だと思ってください。
まあここを見る人はそもそも少ないのですが、該当者はちょっと考え直してみてね。
あと、もし周りにそんな人がいたら、こんな話もあるよって教えてあげてください。)

表題通りの話です。

心理学を修める大学はたいてい、心理学の実験を行う実習とか演習とかって講義があります。
一部の大学ではこの講義は必修ですが、そうでない大学もそれなりの数があります。
わたしの勝手な印象では、臨床心理学がかなりつよい大学でちょいちょいそういう傾向があるのではないかと思います。いやでもそうとも限らないかな。まあいいや。

んで心理学実験の実習とか演習とかって、まあ実験をするんですけど、実験したらやりっぱじゃなくて、レポートを書かされるんですよね。
これがまあ大変のなんの。
まあわたしも学生時代にレポートに半泣きになってた経験があります。
で、ちょいちょいいるんですよね、「実験実習/演習の単位おとしても卒業できるなら、もうあきらめてもいいや」って言っちゃう学生さん。
でもそれ、かなりデメリットがありますよって話をしておきます。

1)心理学関連の資格を取る場合には、実験の実習/演習がほぼ必須
まあたいていの大学で、たいてい実習やら演習やらの初回・オリエンテーションでアナウンスされることなんですけど、日本心理学会が認定する「認定心理士」は実験の実習/演習の単位を取得してることが条件に含まれるのです。
(詳しくは日本心理学会HPの認定の基準のページを参照)
それとは別に。
「臨床心理士になるから、認定心理士の資格は別にいらないやー」と思っているアナタ。
臨床心理士になるにはどういう経緯が必要かご存知ですか?
日本臨床心理士資格認定協会のHPによると、試験に合格することが条件ですね。
でもこの試験、受験するのに資格がいるのです。
で、その資格はおおまかにいうと、臨床心理系の修士課程修了以上ってところですね。
(医師免許持ちで実務とかあるけど、そもそもそんな人たちは心理学レポートに悩むような人々ではないので)
つまり大学院に進学しなくてはならないわけです。
で、大学院に進学するときは、当然ながら大学院を受験しますよね。
そのとき、学部の成績を証明する書類の提出が必要になるのです。
このとき、実習/演習をちゃんと修めていないのはかなりマイナス評価になります。
大学によっては評価に影響しないところもあるかもしれませんが、少なくともわたしの聞き及ぶ範囲ではマイナス評価になるようです。
また、学部でも2回生や3回生で専攻を決めることになると思いますが、わたしの出身校では、実習/演習の単位をおとした学生は実験系臨床系問わず心理学の研究室に入れなかったと記憶しています。(訂正:後から思い出したけど、わたしの出身校、実習/演習は必須だった。)
実習/演習の点数が低いと、心理学の研究室に入れないといわれていたかと。足きり点がいくらだったかは忘却の彼方(…なんせもうX年前のことなので若干記憶があやふや)。
当時、すごく人気のあった臨床系の研究室をめざしていた友人は、ものすごく努力してしっかりした実験レポートを書き上げていたなー、ってことも今となってはなつかしい。

端的にいうと、「臨床心理士の資格に明記されていないからって、実験系講義の単位をおとすと、(学部であれ大学院であれ)臨床心理の研究室に所属しようとすると大きくマイナス」ってことです。

2)レポートを書く作業って、確実にスキルアップにつながる
レポート書くのは本当につらいです。しかも実習/演習だと1回レポート出しただけでは終わらない。何個も何個も書かなきゃいけない。
ええ、ええ、つらいのはわかってます。知ってます。
(見るほうもつらいんだよ…とこっそり愚痴っておく)
でも、こんなに何回も文章を論理立てて書く訓練をまとめてできる機会は、大学にいる間ならではのものです。
最初は論理の破綻した読みにくいレポートにしかならないかもしれません。でも、何回も書いていくことで、勘所がつかめてきて、だんだん読みやすいレポートが書けるようになるものです。
この、「ほかの人が読んでも読みやすいレポートを書く能力」というものは、確実に実習/演習の外に出ても役立つものです。
「どんな情報を伝えなくてはいけないのか」「この前提から、どんな結論を導き出すことができるのか」を何度も何度も文章に表すことを訓練するわけですからね。
これは、会社に就職したときの報告書や、他者を説得する論理の立て方に活かされてくるのです。
また、臨床心理士になりたいのであれば、そういった論理の運び方には特に注意を払うべきです。
われわれ実験屋さんは、データがあれば多少論理に瑕疵があってもどうにかできる場合があるかもしれませんが(いやたいがいの場合だめだけどね。まあ論理の修正のチャンスぐらいはもらえるのではないかと)、臨床の場であれば、あなたのことばを伝える能力だけで、患者さんや患者さんの家族に相対するわけです。
いくらあなたの学んだ理論がすばらしく、実践している療法がすばらしいものであろうと、話す内容が支離滅裂な心理士に、こころの治療を行ってもらいたいと思うでしょうか?
実験データの援用ができない臨床心理士こそ、他者が納得できる論理展開の能力を磨くべきなのです。
(認知行動療法など、実験的データをとることができる療法もあると思いますが、その場合の実験実習/演習の重要性は明らかなので今さらとやかく言いません)
なので、論理展開を練習できる機会であるレポートはしっかり活用すべきです。

3)統計ができたほうがつぶしがきく
前項で「臨床心理士こそことばの運び方・論理展開が命だろ」みたいなことを書きましたが、じゃあ実習/演習につきものの統計的検定はおろそかにしていいの?って言われると、それもびみょうなところ。
まあぶっちゃけた話、認知行動療法とか一部のものを除けば、臨床心理学で統計が必要でないケースも多々あるっぽいんですよね…
ただ、気を付けてほしいのは、臨床心理士がさくさく就職できた時代はどうやら終わりつつあるようだ、ということ。
(あくまでわたしが耳にしたうわさですが)
せっかく臨床心理士になるべく勉強してきたのに、どうも就職が難しいっぽいし、こりゃー一般就職ねらったほうがいいかな…ってなる学生さんも現在少なくはないようす。
で、そういうことを考えたときに、「統計ができる」ってのは一つの強みです。
なんでかってーと公務員試験の問題に、統計の問題が含まれてることがちょいちょいあるから。
(わたしは公務員試験の勉強したことないので詳しくは知らないのですが、公務員試験を受けたわたしの友人はみんな統計を勉強し直していました)
統計もむずかしいですよね。数式いっぱいでてくるし、講義難しい!って思いますよね。
講義だけで聞いてるとわかったよーなわからんよーな気分になる統計も、実際に自分がやった実験データにあてはめて、自分で計算してみると、案外「ああなるほどこういうことだったのか」と理解が進むものですよ。
なので、統計的検定をする機会である実習/演習を逃す手はありません。
研究室配属の後に統計をつかわない可能性が高いならなおさら、早いうちにやっとくほうが有利です。


以上のことを考えると、「臨床系の研究室に配属されたら実験なんてしないんだし、実験系の単位なんてなくてもいいわー」なんてのんきなことはもはや言えなくなるはず。


なのでまあ、みんなもがんばってレポート書こう。
わたしもできる限りつきあうからー!(と、某大学のほうにむけてこっそり叫ぶ)
心理学実験のレポートの書き方については、こちらの過去のめもでもふれていますので、書き方がわかんないときは参考にしてください。

でも一応、不易流行の金言1こ言っとくね。

わかんなかったら担当教員に聞け。むしろ聞いてくれ。
聞かずに自爆されるより事前に聞いてくれたほうがよっぽどレポートにかかる時間は少ないです。

……おたがいがんばろうね!
(なぜか硬直した笑みを浮かべながら)
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