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めもめも ...〆(。_。)

認知心理学・認知神経科学とかいろいろなはなし。 あるいは科学と空想科学の狭間で微睡む。

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(注:特定の個人を想定した話ではありません。
「実験だるいしもう実験心理の単位とらなくていいや」と思っているすべての心理学関係の大学生を対象とした話だと思ってください。
まあここを見る人はそもそも少ないのですが、該当者はちょっと考え直してみてね。
あと、もし周りにそんな人がいたら、こんな話もあるよって教えてあげてください。)

表題通りの話です。

心理学を修める大学はたいてい、心理学の実験を行う実習とか演習とかって講義があります。
一部の大学ではこの講義は必修ですが、そうでない大学もそれなりの数があります。
わたしの勝手な印象では、臨床心理学がかなりつよい大学でちょいちょいそういう傾向があるのではないかと思います。いやでもそうとも限らないかな。まあいいや。

んで心理学実験の実習とか演習とかって、まあ実験をするんですけど、実験したらやりっぱじゃなくて、レポートを書かされるんですよね。
これがまあ大変のなんの。
まあわたしも学生時代にレポートに半泣きになってた経験があります。
で、ちょいちょいいるんですよね、「実験実習/演習の単位おとしても卒業できるなら、もうあきらめてもいいや」って言っちゃう学生さん。
でもそれ、かなりデメリットがありますよって話をしておきます。

1)心理学関連の資格を取る場合には、実験の実習/演習がほぼ必須
まあたいていの大学で、たいてい実習やら演習やらの初回・オリエンテーションでアナウンスされることなんですけど、日本心理学会が認定する「認定心理士」は実験の実習/演習の単位を取得してることが条件に含まれるのです。
(詳しくは日本心理学会HPの認定の基準のページを参照)
それとは別に。
「臨床心理士になるから、認定心理士の資格は別にいらないやー」と思っているアナタ。
臨床心理士になるにはどういう経緯が必要かご存知ですか?
日本臨床心理士資格認定協会のHPによると、試験に合格することが条件ですね。
でもこの試験、受験するのに資格がいるのです。
で、その資格はおおまかにいうと、臨床心理系の修士課程修了以上ってところですね。
(医師免許持ちで実務とかあるけど、そもそもそんな人たちは心理学レポートに悩むような人々ではないので)
つまり大学院に進学しなくてはならないわけです。
で、大学院に進学するときは、当然ながら大学院を受験しますよね。
そのとき、学部の成績を証明する書類の提出が必要になるのです。
このとき、実習/演習をちゃんと修めていないのはかなりマイナス評価になります。
大学によっては評価に影響しないところもあるかもしれませんが、少なくともわたしの聞き及ぶ範囲ではマイナス評価になるようです。
また、学部でも2回生や3回生で専攻を決めることになると思いますが、わたしの出身校では、実習/演習の単位をおとした学生は実験系臨床系問わず心理学の研究室に入れなかったと記憶しています。(訂正:後から思い出したけど、わたしの出身校、実習/演習は必須だった。)
実習/演習の点数が低いと、心理学の研究室に入れないといわれていたかと。足きり点がいくらだったかは忘却の彼方(…なんせもうX年前のことなので若干記憶があやふや)。
当時、すごく人気のあった臨床系の研究室をめざしていた友人は、ものすごく努力してしっかりした実験レポートを書き上げていたなー、ってことも今となってはなつかしい。

端的にいうと、「臨床心理士の資格に明記されていないからって、実験系講義の単位をおとすと、(学部であれ大学院であれ)臨床心理の研究室に所属しようとすると大きくマイナス」ってことです。

2)レポートを書く作業って、確実にスキルアップにつながる
レポート書くのは本当につらいです。しかも実習/演習だと1回レポート出しただけでは終わらない。何個も何個も書かなきゃいけない。
ええ、ええ、つらいのはわかってます。知ってます。
(見るほうもつらいんだよ…とこっそり愚痴っておく)
でも、こんなに何回も文章を論理立てて書く訓練をまとめてできる機会は、大学にいる間ならではのものです。
最初は論理の破綻した読みにくいレポートにしかならないかもしれません。でも、何回も書いていくことで、勘所がつかめてきて、だんだん読みやすいレポートが書けるようになるものです。
この、「ほかの人が読んでも読みやすいレポートを書く能力」というものは、確実に実習/演習の外に出ても役立つものです。
「どんな情報を伝えなくてはいけないのか」「この前提から、どんな結論を導き出すことができるのか」を何度も何度も文章に表すことを訓練するわけですからね。
これは、会社に就職したときの報告書や、他者を説得する論理の立て方に活かされてくるのです。
また、臨床心理士になりたいのであれば、そういった論理の運び方には特に注意を払うべきです。
われわれ実験屋さんは、データがあれば多少論理に瑕疵があってもどうにかできる場合があるかもしれませんが(いやたいがいの場合だめだけどね。まあ論理の修正のチャンスぐらいはもらえるのではないかと)、臨床の場であれば、あなたのことばを伝える能力だけで、患者さんや患者さんの家族に相対するわけです。
いくらあなたの学んだ理論がすばらしく、実践している療法がすばらしいものであろうと、話す内容が支離滅裂な心理士に、こころの治療を行ってもらいたいと思うでしょうか?
実験データの援用ができない臨床心理士こそ、他者が納得できる論理展開の能力を磨くべきなのです。
(認知行動療法など、実験的データをとることができる療法もあると思いますが、その場合の実験実習/演習の重要性は明らかなので今さらとやかく言いません)
なので、論理展開を練習できる機会であるレポートはしっかり活用すべきです。

3)統計ができたほうがつぶしがきく
前項で「臨床心理士こそことばの運び方・論理展開が命だろ」みたいなことを書きましたが、じゃあ実習/演習につきものの統計的検定はおろそかにしていいの?って言われると、それもびみょうなところ。
まあぶっちゃけた話、認知行動療法とか一部のものを除けば、臨床心理学で統計が必要でないケースも多々あるっぽいんですよね…
ただ、気を付けてほしいのは、臨床心理士がさくさく就職できた時代はどうやら終わりつつあるようだ、ということ。
(あくまでわたしが耳にしたうわさですが)
せっかく臨床心理士になるべく勉強してきたのに、どうも就職が難しいっぽいし、こりゃー一般就職ねらったほうがいいかな…ってなる学生さんも現在少なくはないようす。
で、そういうことを考えたときに、「統計ができる」ってのは一つの強みです。
なんでかってーと公務員試験の問題に、統計の問題が含まれてることがちょいちょいあるから。
(わたしは公務員試験の勉強したことないので詳しくは知らないのですが、公務員試験を受けたわたしの友人はみんな統計を勉強し直していました)
統計もむずかしいですよね。数式いっぱいでてくるし、講義難しい!って思いますよね。
講義だけで聞いてるとわかったよーなわからんよーな気分になる統計も、実際に自分がやった実験データにあてはめて、自分で計算してみると、案外「ああなるほどこういうことだったのか」と理解が進むものですよ。
なので、統計的検定をする機会である実習/演習を逃す手はありません。
研究室配属の後に統計をつかわない可能性が高いならなおさら、早いうちにやっとくほうが有利です。


以上のことを考えると、「臨床系の研究室に配属されたら実験なんてしないんだし、実験系の単位なんてなくてもいいわー」なんてのんきなことはもはや言えなくなるはず。


なのでまあ、みんなもがんばってレポート書こう。
わたしもできる限りつきあうからー!(と、某大学のほうにむけてこっそり叫ぶ)
心理学実験のレポートの書き方については、こちらの過去のめもでもふれていますので、書き方がわかんないときは参考にしてください。

でも一応、不易流行の金言1こ言っとくね。

わかんなかったら担当教員に聞け。むしろ聞いてくれ。
聞かずに自爆されるより事前に聞いてくれたほうがよっぽどレポートにかかる時間は少ないです。

……おたがいがんばろうね!
(なぜか硬直した笑みを浮かべながら)
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