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めもめも ...〆(。_。)

認知心理学・認知神経科学とかいろいろなはなし。 あるいは科学と空想科学の狭間で微睡む。

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講義の下働きして「“理論で説明できること”と“実際にヒトに実装されていること”の違い(もしくはそれらが違わないこと)を検証したり説明したりってどこまで何ができたら“できた”ことになるんかいなー」とかぼんやり思いながらお昼食べつつ横目で見たvikingさんとこのブログががある種祭な件について。
viking-neurosci.sakura.ne.jp/blog-wp/
もはやたいがいツッコミ倒されているしそもそも生理学的な話が多いので、わたしの知識では「正しいかどうか」についてはつっこめないのでそこらへんは放棄。

なのでもっと別んとこへのツッコミをば。

とりあえずいろいろぐだぐだ言うのでツッコミはしまっておく。




たとえば、わたしがさっき考えていた問題。
「説明できること」と「実装」との違い/違わないこと。
基本は「理論(説明)から引き出される事象が実際に確認できるかどうか」という検証プロセスを踏むのだと思う。
計算理論のひとたちが実験するような話だ。

とはいえ、「それって検証できんの?」って思ってしまう「説明」がある。
たとえば進化心理学的トピック。
具体例として卒論に引用した論文だったのをひっぱりだそうとしたらなんでかPubMedでひっかからなかったので引用文献コピペしとく
Eals, M., & Silverman, I. (1994)
The hunter-gatherer theory of spatial sex differences:Proximate factors mediating the female advantage in recall of object arrays.
Ethology and Sociobiology.15.95-105
まあ単純にいうと「狩猟を行っていた男性は,空間情報を処理する能力に長け,採集を行っていた女性は,形や色の情報を処理する能力に長ける」という話だった(Fromマイ卒論)。
あと「男性に色覚障害が多いのも,原始生活の性役割では男性にとって色覚がさほど重要ではないことから起きた進化過程の現象なのかもしれない.もしくは,色覚障害が男性に多いからこそ,色覚を必要とする採集の役割を女性が担ったのかもしれない」みたいなこと書いてるけどそれがこの論文での推論だったのか卒論書きながら自分で考えたのか不明。
いやーきれいさっぱり忘れてるな自分。

ともかく、この説明を検証しようとしたら、「狩猟によって空間情報処理が発達してそれが性別の決定要因(&遺伝要因)に絡んでくること&採取によって形・色情報処理が(ry」となるわけで。
そんなんどーやってやればいいねん。
ちなみにさっき検索したら、↑の説明を検証するために40カ国で実験したという論文が去年出てた。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17351740
40カ国とかはんぱねーなー。
まあいろんな国・民族を超えて「男性のが空間得意」「女性のが色形得意」な傾向が見られたということで、「これは文化的要因ではなくヒトという種にある傾向」という話になるよーだ。
しかしそれが狩猟やら採集によるものかどうかどうやって調べるというのだろう。
こういう説明についてどう考えればいいのか。

さらにちなみに、進化心理学的説明を力技で検証してる例というのもあって、
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15694305
「イヌのヒトとのコミュニケーション能力は、家畜化されたことによって獲得されたんじゃね」

「じゃあイヌに近いキツネを家畜化してみよう」

家畜化されたキツネの子孫もイヌ並みにヒトとのコミュニケーション能力を持つようになったぽい

じゃあ合ってた
という話。
これは45年かかってる実験。
まさに力技。
まあ当然「45年くらいで“進化”といえるのか」という批判はあるのだが、「45年の家畜化で影響が出るのなら、もっと時間かかってる進化の過程で変化が起こるのは当然じゃね」という推論はまあそんなに不自然じゃないだろー。

さらにさらにちなみに、「性差」ってのはなかなか大きなトピックで、ハエからヒトまで神経生理学ちょっとまとめて考えようぜ!って論文が今年の初めらへんに出てた。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20019686
こんなんチェックしとくとか本当自分の好奇心は無軌道だなあ。
それはともかくとして、他種の知見をヒトへ適用できるのかという試みはちゃんとなされてて、こうやって論文になるんだから、一足飛びに議論するんじゃなくてちゃんと検証してほしいよなー。

ところでここで出てくる某先生は、こーゆー力技実験をできそうな立場(40カ国の性差の実験の論文は、BBCの支援を受けている)なのに自分の「説明」の検証をやろうとか思いつかないんだろーかー。
小バエ程度の存在感しかないわたしに比べりゃ、この先生はテレビ局とのコネもあってお茶の間認知度高いんでしょ?ミヤマオオクワガタなんでしょ?
だったら、その立場を活かしてぜひ大規模な実験をして「説明」の検証をしてほしい。
だいたいヒトに関しても、「人種・文化圏が違うと結果が違う」例だってあるんだから、
(とりあえず
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20592042
あたりをあげておく)
欧米圏で行われた「それっぽい実験」について日本において大規模実験・調査をする意義ってけっこーあるんじゃないのかね。
「説明」をただ電波にのってとばしてるだけでは、それこそただの「電波」になっちゃうんじゃないのかねー。

あと、まあ、なんだ。
これは心理学というよりも、某「臨床現象学」的な立場になってしまうのだけれども。
マスメディアによって権威付けされた「説明」が、検証なしに一人歩きしてしまうことについての倫理的危惧はないのか。
「母性脳(?)」とかこどもの脳の発達とか性的経験と年収とか。
安易にこれらの「説明」が流布されれば、倫理的問題が引き起こされる可能性が高いのではないか。
とか思ってたら、まだ「倫理的問題」まで至らなくてもさっそくそれっぽい話が出てて思わず紅茶噴いた。
togetter.com/li/61544
まあわたし自身はフェミニストも反フェミニストでもないし、他人の話を聞かないやつはもうまとめて(以下自主規制)と思ってるんだが。
番組見ただけで「育児は女性だけが負うべき役割」と思い込んでしまうひとがいるよ、という例。
果たしてそれでいいのか。
この話を真に受けて、「女性は育児に専念すべき」というひとが現れた場合、研究者はどう振舞うべきなのか。
ってーか、そのへんの倫理的問題を権威は考慮しなくていいのか。
「この番組に登場する情報・見解はあくまでも一説であり、その真偽を確定するものではありません。」という説明を一度しただけで、本当にその影響についての責任は逃れられるのか?
波及する倫理的問題について一切ふれられていないのはまずいのではないのか?
このへんは、検証されているかどうかに関わらずなんらかの「説明」を世に出すときの倫理として、「説明」を行うすべてのものに問われるべきではないのか。
いわゆる「科学と倫理」の話になるわけだ。
某先生の「説明」はあまりにも倫理に無頓着なように見える。
まあ直接見たわけじゃないから、なんともいえないっちゃいえないんだけども。

ヒト対象の研究の倫理問題ってけっこーたいへんよ?
同意書を書いてもらうとかの個々人の話からこーゆー社会的影響などの話まであるわけだし。
もちろん議論は決着してないし。
まああれだ、倫理的問題もーちょっと意識すべきだよな、ヒト研究者なら。


どうでもいいが番組ページ見たら件の先生は「評論家」なのね。
もはや研究者じゃなくて「評論家」。
つまり(正誤はともかく)理論を展開さえできればよい立場。
偏見でいうなら、何かを「批判」できればよい立場。
(日本にはろくな「批評」が根付かず「批判」を「批評」と読み違える…って誰の話だったっけ。要出典。小林秀雄の何かだったような気がするけど思い出せないや。案外茉莉さんだったよーな気もする。誰か心当たりあったら教えてぷりーず。)
つまり日本のここんとこ百年ちょっとの「評論家」は上層除いてそんなんばっかだったんちゃうんかと。
いやむしろ、ネットみたいな道具で日本における「批評」が育てばいいなあ、てゆかネットを通じて実現できるんじゃね?
という極めて文系的発想。
ここんとこ鈍りがちなあたまに活を入れるためにも、『Xへの手紙』や『考えるヒント』らへんを再読してみるべきかも。

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