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めもめも ...〆(。_。)

認知心理学・認知神経科学とかいろいろなはなし。 あるいは科学と空想科学の狭間で微睡む。

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某所では某ファイヤーが例年通りのようですが、今更感&やることいっぱいあるので華麗にスルー。

なんやかやといってちょっとひといきつけるので、基礎のおべんきょうをちょみっとすすめよう。
ここにきてようやく生物っぽい話、BOLD信号についてだぜー。

今回の話は、ひとからもらった資料やら
psychology.uwo.ca/fmri4newbies/Tutorials.html
の2Bやら
www.fil.ion.ucl.ac.uk/~mgray/
のBiological Basis of BOLDやらを参照しながらめもります。

長くなるのでしまいます。





ふつーのMRIは、水分子を画像化したものでしたとさ。
ヒト体内の水の存在しかたのひとつが、血液。
その血液には、ヘモグロビンという、焼く前のハンバーグみたいなかたちのものがいっぱいふくまれている。
ヘモグロビンというやつは、鉄を含んでいるので(正しくは、鉄を含む「ヘム」という分子が含まれるので、ということらしい。このヘムてやつが赤い。ムー○ン谷の住人みたいな名前しやがって)、磁力の影響うける。

もちょっと細かいことをいうと、酸素と結合していないヘモグロビン、その名も還元ヘモグロビン(英語でいうところのdeoxyhemoglobin)が「常磁性体」というやつで、この「常磁性体」ってやつは、ひらべったくいうと、磁石とくっついたときに磁石っぽいはたらきをするやつのことらしい。
磁石に金属クリップひっつけたら、その金属クリップに別のクリップがひっついてしまうようなイメージ。
磁石を外してしまうと、クリップどうしは別にくっつかない。
これと対照的なやつが「強磁性体」というもので、これは磁石になってしまうやつのことっぽい。

まあそれはともかく、デオキシヘモグロビンは常磁性体。なので磁場が加わるとじわっとその方向に流される(磁化する)。あーれー。
常磁性体というやつはスピンの乱れが大きいので、MRI信号的には、信号の位相がばらついて、デオキシヘモグロビンのいっぱいある血管のちかくは信号が低下してしまう、らしい。

んが、酸素と結びついたヘモグロビン、人読んで「酸化ヘモグロビン(英語でいうところのoxyhemoglobin)」というやつは「反磁性体」というものらしい。
反磁性体というのは、磁場かけたときに逆向きに磁化するもの、よーするに磁石に反発するものらしい。
とはいえ酸素くっつけて酸素を各器官に配るのはヘモグロビンのだいじなおしごと。
酸化しないわけにもいくまいよー。
なので、デオキシヘモグロビンがあるよーなとこに、オキシヘモグロビンがせっせせっせと酸素はこびにやってくるわけだ。
デオキシヘモグロビンがぽけーっとしとるとこにオキシヘモグロビンがよーさんやってきて、信号を乱すデオキシヘモグロビンのみっしり度が下がって、相対的に信号強度が増えるそーな。
このオキシヘモグロビンわっしょいな現象のことを、BOLD(Blood oxygenation level dependent contrast)効果という。
こいつを発見されたのがかの高名な小川先生。

余談だけどヘモグロビンのやつは、1つのヘムに酸素がくっつくと、ヘモグロビンの構造がちょみっと変わって他のヘムも酸素とくっつきやすくなるらしい。
そいつを「ヘム間相互作用」と言って、酸素をいっぱい運ぶのにべんりなしくみになっているそーな。
ということは酸素を運ぶオキシヘモグロビンがわっしょいやってくるところというのは、脳細胞がよく働いているところなんじゃね?
と、いうのが機能的MRIの発想。

もちょっと詳しく見ると。
のーみそも細胞だから、活動するのに酸素(というよりATP)を消費する。
酸素を消費したらデオキシヘモグロビンが増加する。→位相がなんかなる
でもまだまだ酸素たりねーってんで、オキシヘモグロビンがわっしょいわっしょい血液にのってやってくる。
血流が増えて、オキシヘモグロビンが増えすぎたあたりで、磁化率が減って、T2*でかくなる→BOLD効果
という流れ。

(高校生物的な補足。呼吸でグルコースと酸素となんやかやでATP、アデノシン3りん酸が合成されるというアレ。
ATPは体内でエネルギーの通貨のような役割をするよ、とざくっとした説明を聞いたことがあるがまさにそんなイメージ)

で、この血液のふえたかんじ(血行動態、Hemodynamicsという)と神経活動が対応しているんじゃないかいねーということで「脳機能画像」になるわけですが。
Logothesisら(2001)のNatureのった研究は、実際BOLD信号とLocal Field Potentials(LFP)とかスパイクとかがどれくらい関係あるのかおさる視覚野で調べたそーな。
するとLFPもスパイクもそれなりBOLDと相関あるかんじ、とくにLFPと相関ありげなかんじ。
そのへんから、BOLD信号はにゅーろんへの入力を反映しているのではないかね、といわれる。
んでもスパイクぜんぜんなくてもBOLD信号が増加することがあったりして、かんっぜんに対応しているというわけでもない。
Attwell & Iabecola (2002)ではエネルギー消費がなくてもBOLDが増えたり、神経活動があるのにBOLD信号が変化しない例をあげている。
BOLDというやつはよくわからん。

とはいえ、BOLD信号でこそひろえる神経活動というのもあるそーな。
電気生理ではやや大きいめのニューロンをねらってぷちっと刺すわけですが。
(昔某がっかいで院生っぽいひとたちが「いかにして狙った細胞をぶちっと潰してしまわずに電極ぷちっと刺すか」について議論&愚痴ってるのみた。
ミクロな職人仕事はほんとーにたいへんらしい。そいや某先生もミクロ職人たいへんですげー視力悪くなったって言ってた)
BOLDのほうは血行動態だから、血管がどれくらいありよるかに大きく左右される。
この血管の密度というやつは、ニューロンの数よりもシナプスの数と相関があるといわれていて(出典不明)、わりと小規模な神経活動をひろうこともできるのだそーな。
例えば、注意の影響をV1で見ようと思ったら、Single Unitの電極だとうまくいかなくて(Vogel, et al. 1997)、fMRIだとうまいこと見れた(Gandhi et al, 1999)とか。

んで、気をつけなければいけない点として、神経細胞の活動は興奮性のものと抑制性のものがあるけど、どっちもエネルギー(ATP)を必要とするから、抑制活動でもBOLD信号はポジティブに出てしまうらしい。
じゃあネガティブBOLD信号はどう解釈したらいいのか、については実はよくわからん。
神経活動と直接は関係ないんじゃね?という考えもあるらしいが、神経活動の減少と関係するんじゃね?というひともいる(Shmuel, et al., 2006)。
まあ結局はベースラインのとりかたじゃないのか、とかシロート考えで思ったりするけどよくわからん。
まだ議論されているのかもしらん。

あとわたしのよーなあほのこでも知っている「気をつけなければいけない点」として、時間分解能の話がある。
神経活動が起こってから、血流がぶわっとふえてBOLD信号がピークを迎えるにはだいたい5秒前後かかるらしい(Detre, et al, 1994)。
わたしは「だいたい6秒みておけ」とならったけどなー。保険か?
んで、その信号がおちつくのは20秒以上かかるとか。
そのへんの時間幅は部位や個人によって異なるらしい。
とりあえず典型的なBOLD信号の図っぽいものをゆるゆる絵に起こしてみた。
横軸の時間はてきとー。
BOLD.PNG
ゆっるー。
まあそれはおいといて、注目すべきなのは、Positive BOLD Responseもそうだけど、血流増加の前に、酸素を食いまくってデオキシヘモグロビン増加することで、若干信号が低下するInitial dipという現象。
このInitial dipが起こるのは、BOLD信号よりもちっさな領域だそうで、よりこまかな領域を調べたい研究者はこのInitial dipに注目するのだそーなー。
まあわたしのよーなおおまか心理屋さんはあまりそーゆー研究に接する機会ないけど。

てゆかそもそも、単発の刺激ではこーゆーしかくい信号にはならんくて、刺激がけっこーながいと信号のかさねあわせっぽいかんじになってこーゆーしかくになるらしい。
ゆるーく図示するとこんなかんじ。
BOLD2.PNG
単発ではひとつの山(赤線)ですが、それを複数重ねると、まとめてみれば(水色線)しかくっぽい関数になるよー。ということ。
これのことなんて言うんだっけ。
たぶんボックスカーファンクション。
違う名前だったかもしれない。

まあだいたいこんなかんじの線になるんですが、それをモデルあてはめして・・・となるとそれは解析のはなし。
ということで今日はだいたいこのへんで。


ということは次にこのネタやるときは、モデルっぽい話になるのかー。
数学苦手なのでやる前からgkbrですわー。
「まあ所詮道具としての数学なんだからそんなに大変なことないだろ」って言われてしまえばそれまでですが。
ああうんそこらへんすらクリアできないから文系だというのに。
まあこればっかりはしかたない。

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