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めもめも ...〆(。_。)

認知心理学・認知神経科学とかいろいろなはなし。 あるいは科学と空想科学の狭間で微睡む。

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いつまでも呪われそうな絵をトップにおいておくのもしのびないんで、そろそろまじめなネタを書きましょうかね。

今回のめもは、某学会のプレカンファレンスワークショップ(あれシンポジウムだっけ?まあいいや)で話題になった「追試アーカイブ」について。
学部生にとっての「追試」っていうのは半泣きのネタですが、そっちじゃなくって「既にある実験をもう一度やってみて、同じ結果が得られるのか」というほうの追試です。

その追試をみんなで共有してアーカイブ化しちゃおうぜ!という試みが始まっているらしく、ワークショップではそういった試みが紹介されていたのでした。

一般に、追試なんてやっても「新しい知見」は得られないとされていますし、追試データではほとんどのジャーナルは受け付けてくれません。
そもそも既に出ている論文は「有意差があった」ということで出版されているので、それを否定する「有意差が見られなかった」結果では論文にしにくいし(ただ、「有意差がない」確率が十分に高いかどうかをベイズつかって示す分析方法はあるそうな)。
しかしその一方で、てきとうにやった実験の結果で“でっち上げた”論文が存在する可能性だってあるわけです。実際、世の中には改竄したデータで論文を書いて、それがばれて論文取り下げになるケースだってあるわけですし。
何より、「再現性がある」というのが科学の強みであるはず。
ならば、「再現性」を確かめる追試にも科学的価値があるのです。
というわけで、追試を載せるジャーナルというのもあるから、みんな気が向いたら追試やろうぜ!というのがワークショップのメッセージでした。

で、心理学系の実験で追試アーカイブ化しちゃうのがPsych File Drawerというサイト(ココ)。ジャーナル形式ではないけど(それでも一応業績とかになるのだろうか?)みんなでディスカッションできるのが強みですね。
どういう手順で行われるかというと、
1)アカウント登録/ログイン
2)追試する実験(論文)、実験計画を投稿
3)レフェリーが実験計画をレビュー
4)データ、結果を公表
と。結果ではなく、「実験計画をレビュー」というのが面白いですね。
つまり「どんな結果になっても公表」というわけです。
すごい!と思いつつも腰の引ける感はなくもなかったり。
だって、やっぱり有意差が出ないとなんかしょんぼりしちゃうもの。
このへん、わたしはまだまだ頭が固くて修行が足りませんね。

そして、心理学実験の追試をちゃんと論文として掲載しようという試みを行っているのがPerspectives on Psychological Scienceというジャーナル(ここ参照)。
同じように先に実験計画を投稿して、その後結果を公表するという仕組み。
ただ、Psych File Drawerは結果Reportだけでいいみたいなのに対し、こっちはジャーナルなので結果も合わせて論文として執筆(つまりある程度のディスカッションを書くこと)が求められるようす。
まあわれわれのような業績貧乏の若手(わたしだけか?)にとっては、ちゃんと論文になる場がないと困りますものね。

このように「実験計画を先に投稿&結果公表」という形にすることのメリットとして、上でもちらっと触れた「データ改竄」の可能性を減らせることも挙げられるようです。
それと、まずい実験計画にあらかじめツッコミが入るなら、無為に実験を行うリスクも減らせるのかもしれません。

だったら追試に限らずばんばんデータ公開する形でやってこーぜ!というジャーナルも出てくるようで、神経科学論文誌ですがCortexはそういう試みを行うようす(ここ参照)。
Attention, Perception & PsychophysicsでもSimonsとHolcombeが主体となって行うよ、とワークショップでは言われていたと思うのですがネットでは確認できず。
心理学関連に限らずデータ公開していくよーというのにOpen Science Framework(ココ)ってやつがあるようです。
んでデータを公開して追試を行うための研究グラントとかも展開されているらしい。
ネットをつかってどんどんいろんなものが共有されちゃうってすごいな。
生データ(もちろん実験参加者を特定するようなデータ部分は予め削除してあるだろうけど)の時点で公開するとなると、「もっといい分析方法があるよ」ってアドバイスをもらって分析しなおせたり、あわよくば再分析されちゃったりとかもあるのかなあ。
いっつもいっつも「本当にこの方法でいいのかなあ」と悩みながら研究してるわたしとしては、ちょっと「いいなー」と思うポイントであります。

しかし、わたしがやってるような基礎的な認知心理学の行動データなら、個人を特定できる情報を削除した上で公開してもとくに問題なさそうに思えますが、けっこう個人的なことを聞いたりする社会心理学などの実験データや、あるいはMRIの撮像データは「個人情報」として公開を拒否できないこともあるかもしれないなー、と思います。
個人情報の扱いって、日本やたら特殊な気がするんですよね。
アメリカのことは知らないけど、ヨーロッパはたいてい日本よりおおらかな気がする。
日本の個人情報保護ってけっこう行き過ぎてるというか、各種団体が「訴えられないようになんでもかんでも公開しないようにしよう」としてる気がしなくも無い。いやよくわかんないけど。
実験前の説明のときに、「個人を特定する情報を削除した上で生データを公開してもいいですか?」って聞いて同意書を作成しておけばいいのだろうか。たいていの同意書は「統計処理したデータを公開してもいいですか」どまりだよね今は。
データ公開という試み自体がまだ広まっていないから、それにまつわる手続きもまだあまり議論されていないのかもしれない。

なんにせよ、研究の過程が「ブラックボックス」の外に出てきて誰にでも可視化され得るっていうのはすごいことだと思う。
「みんなで科学を発展させていく」かんじがある。
そしてちゃんと「再現性」が「結果の再現」という形で担保されるというのもすごい。
ネットの面目躍如だよねー。


んで。
ここからはちょっと話が変わって。
上記Psych File Drawerには、「追試について議論されまくってる論文トップ20」ってページがあるんですよ(ココ)。
堂々の一位が、Jaeggiらの「ワーキングメモリ課題を訓練することによって、知能が上昇する」という論文(これ)。
現時点でDiscussionが10件投稿されていて(学会で見たときは9件だった)、2位の3件投稿に(追試実験という性格を考慮すれば)大きく差をつけてトップに輝いていますね。
やはり、訓練で知能があがるというのはセンセーショナルでみんなの注目を惹くんでしょう(過去に同様の話をこのめもぶろぐでも扱ったような気がする…と思って過去めも検索したらあった。これだ。論文のソース出してないけど、たぶん同じ論文の話してると思う)。
んでもって、偶然ながら「ワーキングメモリ課題の訓練で“本当に”知能を向上させることができるのか」を研究している研究者の方のお話を聞く機会を得まして。
この話題、本当にcontroversialなんだなーと実感しました。
せっかくなので、紹介していただいた「ワーキングメモリ課題の訓練で、知能を向上させる効果が“見られなかった”」論文群をまとめてめもしておきます。

…そう、結構な数の論文が、知能を向上させる効果について否定的なのです。
このネタはもう今更追試アーカイブとかいらんのでは?と思ってしまうぐらい。(まあデータは多いほうがいいよね)
何がすごいって、問題の論文1st著者本人がラスト著者になってる論文でも否定されてる。
となるとわたしなんぞは「はいもーわかった、これ効果なしね、はいなしなし」とみなしてしまいがちなんですが、それでも「いや効果あるで」という論文もあるわけで、まさにcontroversialとしか言いようが無い。
まあとりあえず、いくつか論文を紹介していきましょう。
紹介自体はあくまでさらっとに留めますので、興味がおありの諸兄諸姉はリンクから元の論文にあたっていただけますようお願いします。

まず、訓練に使用されるワーキングメモリ課題は、基本的にJaeggiらが使用したdual n-back課題。
これは、過去めも記事でも話題に出たN-back課題を、2種類の材料でN-backするようにした課題。
(どうでもいいですがNの大文字小文字に意味は無いです。ふつうは小文字ですが、なぜか過去めもでは大文字で書いてるのでしれっと整合性もたせてるだけ)

●Redick et al., 2012 Journal of Experimental Psychology: General, 142(2), 359-379(pubmed)
ワーキングメモリ研究大御所の一人であるEngleがラストオーサーになっている&天下のJEPなので、まずはこれを押さえておかないとね!の論文。
これはdual n-back訓練したグループと、他の非ワーキングメモリ課題を訓練したグループとを比較したけど、訓練した課題そのものの成績は向上(当たり前だ)するものの、他の認知課題成績(知能課題含む。結晶性/流動性の知能2タイプ対応)は向上せず。

●Chooi & Thompson (2012) Intelligence, 40(6), 531-542(Science Direct
これもdual n-backで訓練。20日とかかけてるのに他の課題、特に知能課題(流動性知能に着目)成績の向上なし。他のワーキングメモリ課題成績の向上もなし。

●Thompson, et al. (2013) PLoS One, 22, 8(5):e63614(PLoS One
ひょっとして上の論文の続きか!?と思ったらファーストネームが違った。おんなじ姓の別人がおんなじテーマの論文出すとかややこしすぎる。
こちらもdual n-back訓練で知能課題などの認知機能課題に向上なし。
当の訓練した課題に対する練習効果は6ヵ月後も持続しているのを確認(むしろそれすごいな)、でも他の課題には影響せず。

●Lilienthal, et al. (2013) Psychonomic Bulletin & Review, 20(1), 135-141(PubMed
これはdual n-back課題訓練で、注意の焦点に関する課題の成績向上を報告。
ただしこの課題は知能課題と有意な相関を持たないといわれている。

●Colom, et al. (2013) Intelligence, 41(5), 712-717(Science Direct
Jaeggi本人ラストオーサーで降臨。
視覚材料だけのn-back・聴覚材料だけのn-back、その2種類両方のdual n-backで訓練。知能、他のワーキングメモリ課題の成績向上なし。
ただし、視空間情報処理に関する課題だけは向上してるっぽいので、dual n-back課題訓練は知能じゃなくて視空間情報処理能力の向上に役に立つのかもしれない。

●Stephenson & Halpern (2013) Intelligence, 41(5), 341-357(Science Direct
これも視覚材料だけのn-back・聴覚材料だけのn-back、その2種類両方のdual n-backで訓練。
知能検査で知能指数を算出するというよりそれぞれ下位検査の得点を比較。
視空間性の下位検査課題なら向上するようす。


以下、dual n-back訓練に限定しない論文。

●Melby-Lervåg & Hulme (2013) Developmental Psychology, 49(2), 270-291(PubMed
ワーキングメモリ課題訓練のメタ分析。
知能・認知全般にワーキングメモリ訓練が効くとはいえないねー。という結論。
視空間性ワーキングメモリ訓練で視空間性課題成績向上の可能性については否定しないけど今後に期待、のようす。

●Borella, et al. (2010) Psychology and Aging, 25(4), 767-778(PubMed
おとしよりにはワーキングメモリ訓練効果あるよーという論文その1.

●Richmond, et al. (2011) Psychology and Aging, 26(4), 813-822(PubMed
おとしより効果その2.

某脳をトレーニングしてなんちゃらかんちゃらでも、おとしより効果はあると聞いた覚えがある(でも今回はソース探さない)ので、おとしよりの訓練の効果というのは結構重要なのかもしれません。
知能2タイプの片方、流動性知能は加齢で衰えるといいますし、衰えた流動性知能にはたらきかける何かがある…かも。
ないかも。
まあまさに「今後に期待」。


しかしそもそも、「知能とは何なのか?」というのが難しい問題。
一般に使われそうな単語であるだけに、かなり定義が難しい。
結局実験心理学においては、「知能とは、知能検査課題で測定できる能力である」という自己撞着に陥らざるを得ないのかもしれません。(同様の問題は「性格」についてもあるらしい)
そしてさらにややこしいのが、この知能検査。
たいてい知能検査課題って“有料”なんですよね。
研究資金のない研究者にはなかなかつらいところ。
まあ、知能検査としてひろく使用できるような妥当性・信頼性のある課題を作ることの大変さを考えれば、お金を払うのもやむなしかと思われるのですが、それにしたって「知能」などの個人差が大きくて実験参加者をたくさん募らねばならない研究テーマにおいては若干やりづらいのも確か。
ましてや「知能」を直接研究しているわけではない研究者には知能検査そのものに接触する機会は少なく、「知能検査って何なの?」という疑問すら出てくるわけです。
いわんや非研究者をや。
というわけで、定義もあいまい、課題は論文中に出てくる簡素な説明だけ、そんな「知能」研究はまさに「ブラックボックス」になってしまうのです。
そういう点では、最初に紹介した追試アーカイブとは対照的ですね。
今後、データや実験材料を公開するシステムなどでどんどんブラックボックスの中身が明らかになればいいな…とは思いますが、それでも実験課題を販売して利益を得ている企業もあるわけですし、難しいところですね。
せめて、「知能とは何なのか?」という問題くらいは可視化された議論の俎上にあってほしいものです。

その点、知覚とか記憶とかはわりと定義しやすいな…
でも結局「そのかんじ」に終始する気もする。
定義問題むつかしい。



追記。
追試アーカイブの利用方法として、「学部生など心理学実験初心者が実験するとき(卒論とかね)に利用するとべんり」とワークショップでも提案されていました。
まあ他にもパイロット実験として追試する場合とかね。
追試メインでがっつりやるのはしんどいにしても、学生の指導やパイロット実験に併用するというのはなかなかいいアイディアだと思う。
卒論なんかはせっかく実験しても埋もれていくものも多いし。
これから(今の時期にどうこうしてたら手遅れかもしれんけど)卒論時期だし、うまいこと利用できる人がいればいいなあ。

セオリー通りというかなんというか,あのあと見事にひどい風邪をひき身をもってミイラの呪いを知る破目になったぜ!

ミイラの呪いに恐れをなしたというわけでもないのですが,いろいろとやることもあって,回転する小像の検証には時間が割けていない状況です.
(まあそもそも小像の謎に挑むためにこっち来たわけじゃないし)
というわけで,今回はひさびさに研究ネタをやろうと思います.
今こっちでちょっとカテゴリ認知のことを考えているので,そこらへんの論文をざっくりとまとめてみたいと思います.
あ,ここで言及するカテゴリは,日常的オブジェクトのカテゴリだと考えてください.
動物とか道具とかそういうやつ.

とりあえずは,まず「(オブジェクトの)カテゴリとは何か」的なところをもう一度確認.

んでこっちには(小像の謎のためではなく)神経科学の勉強にきているので,神経科学的にカテゴリってどうよ?という話になるんですが,イメージング的にはやっぱり後頭・側頭エリアが中心になってくるわけですね.
んでもってちょっと面白いと思ったのが,Adaptation/Repetition supressionをつかった研究.
Adaptation/Repetition supression(いい加減名称をどっちかに統一してほしい)という方法については,ご存知の方も多いと思いますが一応ざっくり説明しておくと,「同じ」刺激を繰り返し提示すると,行動的には反応時間が早くなったり(場合によっては課題正答率もあがったり),MRI的には信号が低下したりするというやつです.
発達心理学でつかわれる「脱馴化」も一種のAdaptation(のはず).

で,カテゴリとなると,知覚(=入力情報)はある程度ばらつくのに「同じ」とみなすことが必要になってくるわけです.
たとえば,赤い傘も青い傘も開いた傘も閉じた傘も,見た目は多様ですが「傘」カテゴリとして同じものとして処理せねばならんわけです.
そういう同じカテゴリに属するオブジェクトを繰り返して提示したときに,どんなエリアが信号低下を示すのか?というのを調べた研究がいくつかあるわけですよ.

ところがどっこい.
カテゴリにたいしてAdaptation/Repetition supressionを示す領域については,わりと意見が対立してるっぽいのです.
具体的にいうとfusiformあたり.
というわけで,その対立してるっぽい研究をいくつか拾って比較してみました.
ぜんぶぜんぶまるっと紹介するのはだるいので,ここでは<刺激><課題><主な結果>の3点にだけ注目することにしました.
もっと詳しく知りたいひとは,PubMedリンクつけるんで元論文あたってね.



・Koutstaal et al. 2001 Neuropsychologia
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11163375
カテゴリAdaptation/Repetition supressionの代表っぽい研究.

<刺激>
216種類(車とかラクダとかレベル)のオブジェクト画像各2枚ずつ,カラーイラスト
画像自体は商業データベースから取得
Pilot studyでオブジェクト命名が同じになるのを確認済み

<課題>
学習フェイズとテストフェイズに分かれる
学習フェイズもテストフェイズも実験参加者にしてもらうことは同じで,提示された画像のオブジェクトは実際には13インチ()立方の箱より大きいか小さいかを判断するという課題.
(実験始める前に13インチの箱を見せるらしい)
学習フェイズでは36種類のオブジェクトがそれぞれ計4回提示される
テストフェイズでは,学習フェイズに出てこなかった新奇オブジェクト,学習フェイズに出たのと同じ画像,学習フェイズに出たのと同じカテゴリだけと違う画像がでてくる.
学習フェイズに対してテストフェイズの各種刺激がどのくらい信号低下するかをみる

<主な結果>
前頭(両側frontal operculum,両側posterior inferior frontal,precentral,左anterior inferior frontal, superior frontalなど)や側頭そのほか(両側でmiddle occipital,fusiform,fusiform-parahippocampal,precuneus,posterior cingulateなど)で新奇オブジェクトに対して信号低下が見られた.
reductionswereobservedforsame than for different exemplarsinseveraloftheseregions
両側posterior inferior frontalや右precuneus,両側middle occipital,両側fusiform,両側parahippocampal,両側superior parietalといった領域では,同じカテゴリだけど違う画像よりもまったく同じ画像のときのほうが信号低下が大きかった.
それと右fusiformは左fusiformに比べて,同じカテゴリだけど違う画像に対する信号低下が少なかった.
これ以後の研究で,カテゴリ認知においてfusiformにlateralityがあるのか・そもそもfusiformはオブジェクトカテゴリに関与しているのかが議論の的になります.


・Vuilleumier et al. 2002 Nature Neuroscience
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11967545
Koutstaalたちの研究とは異なる結果になったもよう.
実験は2つ

<刺激>
実験1では80個の日常オブジェクトの白黒写真(オブジェクトだけトリミングしたやつ)と,40個の非オブジェクトの白黒画像(写真を合成して作られた)
日常オブジェクトは,40種類のオブジェクト画像2枚(見た目のちがうやつ)ずつで構成されている
実験2では実験1のオブジェクトと同じ画像または違う大きさ・違う視点の画像

<課題>
提示される画像が日常オブジェクトか非オブジェクトか判断する
実験1では各画像はランダムに2回提示される
その後数分間の休憩を挟んで実験2(そういうのって実験1・2の名前わけするのか・・・)
実験2では2回目の提示がまったく同じ画像の場合・同じ視点で違う大きさに撮った画像の場合・違う視点で同じ大きさに撮った画像の場合・違う視点で違う大きさに撮った視点の場合・これまで見ていない新しい画像の場合に分かれる.

<主な結果>
実験1で,両側fusiformと左inferior frontalでのみ,非オブジェクトより日常オブジェクトでのAdaptation/Repetition supressionが大きかった.
非オブジェクトには意味カテゴリ情報が含まれておらず日常オブジェクトには含まれているから,これらの領域が意味カテゴリに関与する可能性がある.
だけど,同じカテゴリの違う画像を提示してAdaptation/Repetition supressionがみられたのはfrontal operculumだけだった.
実験2では,大きさの変化や視点の変化が加わったけど,大きさ変化だけの効果でAdaptation/Repetition supressionが変わる領域はなかった.
右fusiformは視点が同じ画像にだけAdaptation/Repetition supressionを示した
右posterior parietalは違う視点の同じオブジェクトだと新奇オブジェクトよりも活動が高くなった
大きさや視点がかわってもAdaptation/Repetition supressionがみられたのは左fusifromだけ.

この研究でもfusiformにlateralityがあることが示唆されていますね.
ただ,fusiformは同じカテゴリの違うオブジェクトに対してAdaptation/Repetition supressionしなかったことから,意味カテゴリよりもオブジェクト表象そのものに特化しているように思われます.


・Simons et al. 2003 Neuroimage
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12880792
Koutstaaalグループ側からの反論.
オブジェクトの名前を聴覚刺激としてオブジェクト絵に若干(50ミリ秒)先行して提示したりして,意味情報がfusiformに関与してることを証明してやんよ!という話です.

<刺激>
Koutstaalらの研究でつかっていたようなカラーイラスト,今回は288種類を2枚ずつ.
今回は単語・非単語な聴覚刺激もつかうので,それも288種類.
単語はオブジェクトの名前.
非単語はオブジェクトの名前と同シラブル数になるようphonemeを並べたもの.

<課題>
Koutstaaalらの研究と同じようなかんじで,学習フェイズとテストフェイズが設定されています.
そしてどちらでも実験参加者がすることは同じで,提示されるオブジェクトが13インチの箱より大きいか小さいか判断する
半分の試行で,画像提示の50ミリ秒前に単語がヘッドホンから提示される
残り半分は非単語提示
(単語には注意を払うよう指示してあるけど,課題には直接関係ない)
学習フェイズは32種類の画像からなる刺激セットが3回繰り返される
テストフェイズは32種類の新奇画像,16種類の学習フェイズと同じ画像(そのうち8種類は単語提示,残り8種類は非単語提示),16種類の同じカテゴリだけど違う見た目の画像(同じく8種類単語提示&8種類非単語提示)が提示される

<主な結果>
単語・非単語の条件合わせた分析で,新奇オブジェクトに比べて学習フェイズと同じオブジェクトで信号低下を示した領域は両側fusiformや両側lateral occipital,両側inferior prefrontal,anterior cingulateなどの領域
右fusiformや両側lateral occipitalは同じ画像には信号低下したけど同じカテゴリ違う画像にはあんまし低下しなかった
左fusiformは同じオブジェクト<同じカテゴリだけど違うオブジェクト<新奇オブジェクトってな%signal changeになった
単語・非単語の条件を分析に入れたら,右fusiformや両側lateral occipitalの活動はこの条件に影響されなかった
一方,左fusiformは単語・非単語の影響にえっらい個人差があるようなのでちょっとグループ分けしてみた
グループ間の信号自体には有意差はないけど,同じカテゴリ違うオブジェクトで単語提示されたほうが非単語提示より活動が低下するグループとその逆になるグループにわかれた.
他に,左inferior prefrontalの前のほうで同じオブジェクト≒同じカテゴリ違うオブジェクト<新奇オブジェクトとなった
加えてこの領域は,同じオブジェクトのときのみ単語提示で非単語提示より信号低下したけど,同じカテゴリ違うオブジェクトではその効果はなかった

とりあえずfusiformのlateralityはあるっぽい.
まあオブジェクトカテゴリに限らずfusiformのlateralityについてはいろいろおもしろい議論があるみたいなので,機会があったらそこらへんについてもちょっと論文をみてみたい.
しかし問題は左fusiformが何をやってるかだよなあ.
この研究からは,視覚情報から意味情報を取得するストリームに関与してると思えるが.


・Chouinard et al. 2008 Neuroimage
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18375148
いやいやfusiformは意味とかじゃなくって知覚寄りじゃね,という反論.

<刺激>
120種類のオブジェクトのカラー写真(オブジェクトのみトリミングしたやつ),見た目の異なるのを各2枚ずつ
繰り返し提示のときに,まったく同じ画像,同じカテゴリだけど違う画像,新奇オブジェクトの3種類が出るように設定
Grill-Spectorらの1999年の研究みたいに,ピクセル毎にRGB取得して画像同士の類似度を定義して,同じカテゴリ違うオブジェクトと新奇オブジェクトの「見た目の異なる」度合いが近くなるように調整した.

<課題>
オブジェクト命名またはオブジェクトの数を数える
1ランに12ペア提示,繰り返し(または同じカテゴリ違うオブジェクト,あるいは新奇オブジェクト)は1回
それとは別にオブジェクト特異的な領域を特定するfunctional localizer(オブジェクト-スクランブル画像)を実施

<主な結果>
ローカライザで活動を示した領域は左inferior frontalの後方,左anterior cingulate,左medial frontal,左middle fusiform,両側posterior fusiform,両側lateral occipitalなど
グループ解析で,新奇オブジェクトに対し同じ画像でAdaptation/Repetition supressionを示したLateral-Occipital領域は,左middle fusiform,両側posterior fusiform,左lateral occipital
そのうちカウント課題より命名課題で活動が大きかったのは左middle fusiformと左posterior fusiform
同じカテゴリ違うオブジェクト>同じ画像な活動になったのもだいたい似たような領域,命名課題で左fusiformの活動大きいのも似たようなかんじ
他の領域では,左inferior frontalの後方,左anterior cingulate,左medial frontalは命名課題でのみ同じ画像や同じカテゴリ違うオブジェクトでAdaptation/Repetition supressionを示した
また同じカテゴリ違うオブジェクト>同じ画像な活動になった
ROI分析の結果もほぼ似たようなかんじで,fusiformなど側頭後頭領域は同じ画像のときだけAdaptation/Repetition supressionを示し,同じカテゴリ違うオブジェクトでは新奇オブジェクトに比べて活動が低下しなかった
でも前頭領域だと新奇オブジェクト>同じカテゴリ違うオブジェクト>同じ画像ってなかんじになった
つまり,fusiformが同じカテゴリ違うオブジェクトでもAdaptation/Repetition supressionを示していたという先行研究は,視覚的類似性を統制しないから(視覚的に似たようなオブジェクトを提示したから)で,fusiformが意味カテゴリに関与してるというのは違うくね?という主張.
とはいえ,fusiformでもAdaptation/Repetition supressionの量は命名課題>カウント課題になってる(ただし新奇オブジェクトと同じカテゴリ違うオブジェクトとに差はない)ので,まったく無関係というわけではなさそうだけれども,Chouinardらはトップダウン調節の結果じゃないかと考えているもよう.


・Fairhall et al. 2011 J. Neurophysiol.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21543757
この際だから徹底的に視覚的類似性の変数統制しちゃえよ!ってな研究.

<刺激>
30種類の動物&30種類の道具の白黒写真をトリミングしたもの
1カテゴリにつき画像は3枚
Chouinardらの研究でもつかわれていたピクセルワイズの類似性と2次元スペクトラル類似性と輪郭の形の類似性とを統制

<課題>
提示されるオブジェクトが12インチの箱より大きいかどうか判断
1セッションで120枚の画像を提示
1セッションに繰り返しは1回(同じ画像か,同じカテゴリ違うオブジェクト)
最初に提示したときの信号と2回目提示の信号からAdaptation/Repetition supressionの量を定義

<主な結果>
動物画像提示試行-道具画像提示試行で動物特異的領域特定したら両側posterior lateral fusiformとか右posterior inferotemporalとか右anterior lateral fusiform,右superior temporalとかでた
逆のコントラストで道具特異的領域だしたら左superior occipitalや左middle temporal,左intraparietal,両側anterior medial fusiformだった
まあこれ自体は珍しくもなんともない結果ですが,これらの領域におけるAdaptation/Repetition supressionの量を見ると,どの領域でもだいたいAdaptation/Repetition supressionが示された
でもだいたい動物特異的領域でも道具特異的領域でもオブジェクトが道具か動物かに関わらずAdaptation/Repetition supressionがみられた
ただ右superior temporalだけは動物のカテゴリレベルにのみAdaptation/Repetition supressionを示した
それと,画像レベルのAdaptation/Repetition supressionを示す領域とカテゴリレベルのAdaptation/Repetition supressionを示す領域をそれぞれボクセルワイズに出してみたら後頭側頭領域では75%がかぶった
統計の水準さげたら左prefontalも出たけど微妙い(そういえばこの研究ではぜんぜん前頭領域でなかったな)
両側middle temporalと左medial anterior fusiformは画像レベルのAdaptation/Repetition supressionが大きくてカテゴリレベルのは弱かった(弱いなりにある)
ドメイン(動物・道具)レベルでのAdaptation/Repetition supressionは両側anterior fusiform内でみられた
やっぱり後ろから前にかけて,画像レベル‐カテゴリレベル‐ドメインレベルといった階層構造の処理しているのでは?

そういえばこの研究はあんましfusiformのlateralityに言及してないな.
画像の類似性統制して,まあ類似性の影響はあるっちゃああるんだけど,でもそれだけじゃなくてカテゴリやドメインの影響もありますよ,ということらしい.
つまりfusiformはまあ視覚寄りでもあるけど,(特に前のほうは)カテゴリに関与してないわけじゃないってことか.


まあだいたいこんなかんじです.
結論としては,
・やっぱfusiformも左が抽象・意味寄りで,右が視覚寄りかもしれない
・視覚特徴処理に関与してるけど,そこからカテゴリ情報に至る処理にも関わってるかも?
というところか.

しかし,どうやって?
という疑問は残りますな.
ここらへんはもう少しじっくり考えたいところ.
まあ時間とれたらちょっと考えてみるかな.
まあそんなわけでOctaveをいじったりいじらなかったりする日々。
そんなさわり始めたばっかりの状態でも気づくのが「OctaveってそんなにMATLABそのまんまじゃないぞ」という点。
まあ基本的なコマンドとかはたぶん同じだと思うのですが、ちょっとひっかかって「あれー」と思う違いをめもっておくことにした。
あらかじめOctaveとMATLABの違いを確認しておこうと思って「Octave MATLAB 違い」とかどストレートな単語でぐぐっても、探し方が悪いのかばっさり違いを示してくれてるサイトが見つからなかったので。

1)MATLABはエクセルファイルもCSVファイルも読み込めるが、OctaveはCSVのみ
 xlsreadというコマンドがあって、ファイルからデータ読み込みできるんですが、Octaveはこのコマンドでも.csvじゃないと読み込めないという・・・
 冒頭のxlsはどうした。

2)コメントアウトのため文頭につける記号は、MATLABでは%しかつかえないが、Octaveでは%も#もつかえる。
 なんでや…
 #がコメントアウトとして機能するのは、Rもそうですね。
 他にPythonもそうみたいです。
 あとつかったことないけどPerlとかRubyとか。
 そしていまや絶滅の危機に瀕しているVBは’がコメントアウトだという。
 MATLABとかはたぶん文字列扱い’~’でするっぽいからVBだと大混乱ですね(VBはそういうとき”~”になる)。

3)MATLABはコピペ可能だけどOctaveではだめ
 メモ帳とかにてきとうに書き連ねて、そこに書いてあるのをコピー、MATLABにペースト、で実行、というのがMATLABではできるけど、Octaveではできない?っぽい(Octave上でのコピーやペーストは別のコマンドがあるっぽい?→参考)。MATLABはふだんのWindowsのコピペ法でするっとできるところがべんり。
 OctaveはMファイルを読み込めるそうなので(まだ試してない)、ある程度記述がかたまってきたらMファイルとして保存して、それを読み込むスタイルにするのが王道か。

4)カレントディレクトリの表示は、Octaveではpwdだけ、MATLABはpwdもcdもいける
 これはちょっとよくわかってなくて自信がないのですが。
 Octaveでcdしたらなんかエラーっぽかった。
 Octaveにおいて、cdはchange directoryという意味らしくて、
   cd C:/Octave
 とかそんなふうに、カレントディレクトリを変更するのにつかうものっぽい。
 MATLABでは、cdだけ打ち込むとそのまんまカレントディレクトリのパスを返してきて、pwdって書くと
       ans =
 で次の行にカレントディレクトリを返してくる。
 ってことは、pwdは「カレントディレクトリを答えろ」という関数的なもんなんだろーか。
 ちなみにMATLABでカレントディレクトリを変更するときは
       cd ('C:\Program Files\MATLAB')
 みたいな記述。
 こうしてよく眺めてみると全然違うな。
 MATLABではOctaveみたいに(’~’)なしのパスだけの記述はとおらなかった。
 あとよくよくみたら、OctaveとMATLABでは階層の切り替わり記号が似てるけど違うやつやん!
 Octaveでは/つかってるみたいだけど、MATLABでは\か¥(半角)か(何で表示されるかはたぶんPCの環境による)でされる。
 これ英語圏PCとかだと/と\の違いになるので、うっかり見間違えたり書き違えたりしないように注意せねばならんね。
 
とりあえずちょっとさわってみただけで気づいた相違はこれくらいかな。
たぶんいろいろモノを作ってみたらもっと違うところに気づくと思うので、なんか重要そうなのとかひっかかりやすそうなのとか気づいたらまためもすることにします。
案外これくらいだったりするかもしらんけど。



あとまったく関係ない発見。
ええとこのカステラって、底にざらめが入ってるじゃないですか。
あれ,おさらとのくっつき防止という目的があるっぽいですよ。
ざらめの入った模様が楽しいからひっくり返して食べよーって思ったら、カステラの茶色部分がぜんぶおさらにもってかれました。
でもざらめがある面を下にしておくとおさらにあんまりくっつかないそうです。
すげえ!!ふしぎ!!!
なんでざらめがあるとくっつかなくなるんだろう?
化学にくわしいひと(あるいは物理にくわしいひと)ならわかるんだろうか?
ちなみにこの効果、ざらめが溶けてしまうとなくなるので、ざらめが溶ける前にお召し上がりくださいってカステラの箱に書いてあった。
なのでカステラがさっさと胃袋の中に消えてしまうのも致し方なし。

どうでもいいですが、カステラってそんなおいしいもんじゃないと思ってた。
いいとこのカステラは本当においしいんだな…
てけとーにスーパーに売ってるようなんをいっしょにしたらだめですな。
やはり本職のつくったほんまもんを食べないと、本当のところはわからないのだなあ。

そしてカステラといえば、わたしは『おとなりさんをよんできて』という絵本のイメージなんですが、この本って現在入手困難なんですね…(ソース
幼稚園のころ、この本だいすきだったんだけどなあ。
あらすじと表紙を紹介しているサイト(ここ)があってなつかしくなった。
あ、『ぐりとぐら』もカステラだっけ?
あれはカステラってイメージないな。巨大だし。


問題は、本題と関係ないカステラ話をぐだぐだしたあげくこのめもを研究「がっつり」タグにいれてしまう点ですが。
まあいいか。自分用めもだし。
もし本当に「がっつり」タグで研究ネタだけを選んで読んでくれている人がいたらごめんなさい。
この人、気がちりっぱなしなんですよ。
なんせカステラ食べながらプログラミングの勉強してるぐらいですし。
すみませんね。
ちょっとした計算や画像処理をしてみたいけどおかねがないので、Octave(MATLABっぽいフリーソフト)を導入してみることにした。

まあてけとーにプログラム書くなら、以前導入したPythonつかうとか、てけとーに計算するだけならRつかうとか、他にも選択肢はあったんだけど、MATLABやOctaveはいろいろ公開されてるツールがいっぱいあって魅力的なのでOctaveに。

なぜMATLABではなく、最新のPsychtoolboxがつかえないとうわさのOctaveを導入したかっていうと……、まああれです、おさいふの事情というやつです。


Octaveのインストール自体は、ここのサイトを参照しました。

ちなみに「環境変数の設定」が何だったのかわからなかったのですが、そういえばPython導入するときにもやってたのでした。
マイコンピュータ右クリック→プロパティ

コントロールパネル→パフォーマンスとメンテナンス→コンピュータの基本的な情報を表示する
のあれ。
参照→Pythonのときの記事

これの「システム環境変数」のPathに追加すればいいようです。
追加するときは、区切りの「;」を忘れずに。

んでさっきのサイトの手順どおりにパッケージをインストールしたらできあがり。

こりゃかんたん。


実際に動かしてみて、なんかおもしろいものが作れたらまためもします。
ひさしぶりに論文読んで紹介とかするかーとか思ってたら、だいぶ前にその前提となる話を紹介しようと思ってまるっと忘れてたのを思い出した。
まあ他にも手をつけかけてまるっと忘れてる話もいっぱいあるんですが、そういうのは気が向いたときにやります。
(つまり気が向かないとさっぱりぱったり)

今回紹介するのは「Feature Norms」という手法について。
日本ではあんましつかわれてないのか、たぶん定訳がないんだけど、むりくり訳すなら「特徴規範」か。
考え方としてはわりと単純なので、さっくり言ってしまうと、とある意味/概念を表現する(representation的な話なので、文系にとっちゃ「表象」のがぴんとくるか)のに、それが持つ特徴を使おう、というもの。

具体的にいえば、「ぞう」という意味/概念は、「大きい」「灰色だ」「哺乳類である」「ぱおーんと鳴く」「訓練することができる」「動物園で見られる」「アフリカで見られる」「乗り物になる」などのたくさんの特徴によって表現されている、と考えられる。
まあそれだけっちゃそれだけの話なのだけども。
この「特徴」の集まりとして記述することで、より上位の概念(べたなところだと自然物or人工物カテゴリ)も表現できるとか、概念的な近さも表現できるというところがポイント。

調査方法はだいたい質問紙。
調べたい概念について、「is ___」とか「has___」とか「can____」といった文章で記述してもらって、被験者間で共通して記述される特徴をまとめるかんじ。
これ日本語だとどうやるのが適切なんだろうね?

代表的な研究としては、CreeやMcRaeのグループのものがあげられます。
この論文では、アメリカ英語の541個の名詞の意味/概念を表す特徴データベースを作って検証してます。
もともとは論文誌のサイトでデータベースも公開されてたっぽいのですが、今はそこからはおとせないっぽい。
ただ著者の一人であるMcRae教授が自身のホームページでデータベースを公開(ここ)しているのでそこから見ることができます。

実際、このFeature Normsに基づいた意味記憶のモデルの研究もされているようですね。
意味記憶の階層構造を表現するモデル(これ)とか。
上位カテゴリを弁別するモデル(これ)とか。
後者はコメントも併せて読んどくのがいいかもしれない。

わりとナイーブなかんじの行動実験で定義される指標なので、認知的な側面の説明にはすごい便利なんだけども、便利すぎるというか「まあそんなもんだよね」感があるっちゃーある。
逆に、計算論系の研究のほうがこういう行動指標とりいれるのむずかしかったり(理想的に特徴がばらついてくれる保証はないし)、実装できたらそれなりに「スゲー」ってなるのかな。

あと、当たり前だけど文化というか経験依存だよねー。
そこらへんの話はこの論文など参照。
ただしこれはイギリス英語で意味/概念の数も少なく(64個)被験者も少ないという弱みはある。
とはいえ、Feature Normsと意味階層構造の例としてはこれが一番な気がする。
特徴の種類分けしているのもおもしろいところ。


まあこういう研究に限らず、モデル系のは変数増やせば妥当性あがりそうな気もするけどその分モデルとして立ち行かなくなることもあるので加減がむつかしいね。
んでも、「じゃあどうすればいい?」ってのを考えるとたいそうおもしろい。

そのうち、このFeature Normsを活用した研究を紹介したいと思います。
(まあ「そのうちと幽霊は…」と古くから言いますけどね)
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