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めもめも ...〆(。_。)

認知心理学・認知神経科学とかいろいろなはなし。 あるいは科学と空想科学の狭間で微睡む。

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を読んで、いまの大学生そんなにひどいのか、経験だけで考えてみる。
調査したり統計的に何かしたわけではないので、あくまで身の回りだけ。

はっきり言って世迷言でしかないのにやたら長くなったのでいちおーしまっとく。



とりあえず、ケーススタディで。


ケース1、今年卒論みた学生。
自分で卒論テーマ発掘してきた。
エクセルやワードの使い方はぐだぐだだった。
しかし、関数やら表の作り方やら教えたらちゃんと使えるようになった。
教える前は、コピペも使えずべた打ちみたいなことしてた。
学祭やクリスマスはがっつり遊んでたけど、考察は自分で書き上げたしちゃんと卒論提出してた。
実感:なんだかんだいって優秀なんじゃね?
最初は、当然だけど知識はなかった。んでも指示すれば自分でできるようになる。
指導はこまかくいれねばならんようだったので、放任で育ったわたしには「慣れ」が必要だったが。

ケース2、うちの大学でTAしてる講義で見られる学生その1。
遅刻してくる。
この講義では、出席代わりに感想などを講義がおわる15分前に提出させるのだが、ちょうど講義終了15分前に来て、名前だけ書いて提出する。
15分前までに講義に出席していないと感想提出を認めない旨勧告すると、「15分前にトイレに行っていた」などと言い訳する。
大講義室での講義なら、個々の学生に目が届かないことをわかった上での「確信犯(誤用のほうの意味合い)」だと推測される・
実感:単位ほしいのはわかるが嘘はいかんよ、嘘は。

ケース3、ケース2と同じ講義の学生その2。
たまに欠席したり遅刻したりするが、だいたいいつも前のほうにすわる。
所属学部からいって、この講義は専門領域とはあまり関係のない内容のはずだが、積極的に質問したり、自分の納得いかない疑問を考え抜いたりしている。
そのためにしばしば感想の提出が遅れる。まあ出席は確認できているので問題はないのだけれど。
実感:優秀に育って欲しい。質問ができる、というのは有望だと思う。

ケース4、上と同じ講義の学生その3。
きちんと講義に出る。
講義の内容をきちんと覚えているようだが、矛盾点があっても疑問に思わないぐらい完全鵜呑み。
実感:うちの大学ではこういうパタンが大半だと思う。ただ「教えられたことを疑問に思わない」というのは果たしてよいのかどうか。
とはいえ、社会に出たら疑問を持つことが不利になる場合もあるからなあ。


うちの大学総論。
個人差が大きい。
こちらがはっとするような知性の持ち主には早々お目にかかれないが、正直年齢が上のひとたちでもそんな人は稀。
「言われたことをこなせる」のは当たり前。中にはズルをしてでもこなそうとする学生もいる。
「当たり前」を超えられるかどうかは、どういう学びの機会に出会えるか次第のような気もする。
多くの学生にとって「自分で考える」ことの価値とその方法は自明ではない。
だから「教える側」がその価値や方法を説明しなくてはならない。
んでもそんなん当たり前じゃね?



別の大学での場合。ちなみに私立大。
ケースA、コンピュータを用いた演習的講義での学生その1。
もくもくっと課題をこなしてしまう。
だが、周囲には「できない子」もいるので、暇をもてあます。
別の課題に取り組んだり、ネットサーフィンしたりしてしまう。
実感:周囲のペースにあわせさせられるのが気の毒。
課題をさらに発展させられたらいいのだけれど、さすがにそこまで手が回らない。

ケースB、上と同じ講義の学生その2。
ネットサーフィンなど他に興味をとられて、そもそも課題の説明を聞いていない。
提出を求められて初めて「わかりません」と言い出す。
実感:はじめから話を聞け。

ケースC、上と同じ講義の学生その3。
説明が粗いと、課題についていけなくなる。
ていねいに説明すると、ちゃんと課題をこなせるようになるし、自分なりの疑問を持てる。
しかし、その都度「これで合ってる?」と、正解を求める姿勢を見せる。
実感:相性のよい先生にさえ当たれば、それなり優秀に育つのではないか。
ただ、相性のわるい先生や忙しい先生には「できない子」と思われがちな点が不安。

ケースD、上と同じ講義の学生その4。
同じ講義を受けている他の学生のペースについていけない。
わからないので、頻繁に質問をする。
しかし、以前した質問と同じ質問や、以前の講義内容に出てきたところを質問するので、定着度が不安。
実感:正直なところ優秀とは言い難い。
が、質問して課題を解決しようという姿勢がある点は評価できる。

ケースE、上と同じ講義の学生その5。
他の学生についていけないのはケースDにおなじ。
しかし、わからなくても質問しない。
わからないので講義中はネットをだらだら見る。
「わからない」ので他の必修の講義も受けなかった。
実感:何しに講義出てるの?

ケースF、上と同じ講義の学生その6。
ケースEと同じく、ついていけないのに質問しない。
やってはいけないと何度も注意した動作を、目を離したすきに数回やってコンピュータフリーズさせてたが、本人もフリーズしていた。
かといってこちらに助けを求めるでもなく、話しかけても反応しなくなってしまう。
そもそも中学校で習う範囲のことが身についていないので、講義時間内での説明では内容を理解できない。
ちなみにかの「AO入試」組。
実感:何しに大学来たの?


別の大学総論。
個人差はうちの大学より広い。
しかし、講義自体はできない子のペースに合わせられがちなので、できる子の学ぶ機会が減少するという矛盾した現象が起こる。
できない子は本当にできない。どれくらいできないかっていうと、三角形の面積が求められないぐらい。
こーゆー子を指して、「学力低下」だの「ゆとり乙」だの言われるんだろうな、というのはわかる。
しかし、そういう子は一部に過ぎない。
みたかんじ、ケースFぐらいの深刻なのが1~2%、ケースEレベルのが数~10%くらい、ケースDレベルがケースEと同数くらい。
多い?
いやでも、昔塾講師バイトしてたときの感覚から言って、だいたいそんなもんじゃないのか、という気がする。
ばりばりできる子なんていうのは古今東西少数だったはず。
問題は、大学で行う講義に(補習込みで)ついていけないレベルの子が(少数にしろ)いてボトルネックになってしまうことだろう。
そのせいで全体的に学力低下してるように見えてしまうのではないか。
もうちょっとレベルごとにこまかく講義を分けられたらいいのにね。
まあそんなこと言うと人件費とかいろいろ立ちはだかってくるのだろーけど。

あ、そもそもやるきのない奴というのはどこに行っても数%くらいいるね。
んでも本当にやるきがないなら講義に出ないわけで、講義に出るだけましといえばましか。
まあそんなもんそれこそ古今東西おるわけで、今の学生が特別なわけではないと思う。


総論の総論。
特殊な例はある。
けど、全体を見回したら、すべての学生があほになってるわけではないと思う。
そもそも「大学生」ってだけで知的エリートだったのって何年前の話よ?
そういうのって一晩でドイツ語の本を一冊読みきって翌日徹夜で議論できるよーな奴しかいなかった明治時代の話でしょ?
(よく考えたら夜しか活動してないなその学生は)
今の学生を批判してる世代はそこまで知的エリートなのかね?

結局問題は特殊な例だけな気がしてきた。
最初の学力はどうあれ、曲がりなりにも学ぼうとしている学生がいて大学があるのなら、その要望に応えるシステムがあったほうがいいんじゃないのかねえ。
ぶっちゃけ、一般入試で入った学生とAO入試で入った学生とが同じ講義を受けることに無理があるのではないか。
入試の時点だけではなくて、意欲的な上回生とそうでない上回生も同じ講義を受けてられないと思う。
大学の数が余るほどあるというのなら、学生のレベルに合せた講義が多数展開されててもいいいのに。
んでもって、十分力がついたら上のレベルに移れるし、留学やらなんやらで学業を休んだら(本来は留学で学業を休むっておかしいと思うが・・・)、レベルをちょいさげて再スタートできるとかさ。
・・・はいはい理想論理想論。
まあ、曲がりなりにも「高等教育」を看板にするのなら、ただ「最近の学生はあほじゃのう」と言うだけではなくて、高等教育に至るはしごをみっちり作っておくほうが生産的ではないかと思う。
んでもって、はしごを途中で降りるのも有りだし、最初はすごいかんたんレベルにいた学生でもその後のがんばり次第で高レベルの高等教育にたどり着けるようなシステムが理想。
・・・あーでもそれだと「卒業」が何になるのか難しい?
いやもー卒業じゃなくて、レベルみたいなのにしてしまえばよくね?
レベル15・某そこそこ大学卒業相当、レベル30・某有名大学卒業相当。みたいなかんじで。
レベル100でPh.D.とか。
んで社会人とか定年後の人とかでも、好きなレベルから勉強始められるの。
まさに生涯教育。
そんなんだったら、あらゆるレベルに対応した大学が必要になるから、それなりすみわけとかできるんじゃないか。
もちろんアカポスもすみわけで。

・・・いやちょっとドリームはいりすぎた。
本題のほーに戻ってくると、昔の入試制度では大学に入らなかったようなレベルの学生が現在の大学にいるのは確か。
だからといって、学生全体があほになったっていうのは言いすぎなのではないか?
とはいえ、昔の大学相当ではない学生がボトルネックになって、講義のレベルがさげられる傾向はあるからよろしくない。
学生があほだあほだ言うよりか、学ぶ機会を多様化できたらいいのにー。
・・・と、4行でまとめられることをだらだら書いてしまった。

しかしまあ、学生のレベルが低くなった!と騒ぐひとびとにつられて、基礎学力をつけさせるためのサポートをつくろうという話は聞くけど、その陰で学ぶ機会が目減りしている「(昔レベルから見て)ふつーの」学生にも別個サポートをしようって話は見かけない気がする。
そんなんでいいのかね、高等教育。


そもそも今の日本の大学は
ただの「学歴ブランディング機関」ですからね。

http://viking-neurosci.sakura.ne.jp/blog-wp/?p=1397

そりゃあ、勉強したくて仕方ない学生なんて今時少なくて当たり前だと思います。
by viking URL 2011/01/17(Mon)23:51:18 編集
Re:そもそも今の日本の大学は
こんな世迷言にコメントくださりありがとうございます。

大学が「学歴ブランディング機関」なのは、だいぶ前からだと思うんですよね。それこそ「今の大学生は学力が低下している」と主張しているひとたちが学生だったころからそうなのではないかと。

なのに、そんなに「今の大学生」だけ学力・意欲が低いのかなあ、と疑問に思ったのです。
で、自分の周りをよくよく見回したら、確かに一部には「え?」と思う子もいるんですが、ちゃんと勉強してる子もいるんですよね。そして数としては、曲がりなりにも勉強している子のほうが多いのではないかと思うのです。
そういう子たちは確かに「勉強したくて仕方ない」わけではないのかもしれませんが、それなりのモチベーションで勉強しているはずで、それにも関わらず「学力低下世代」とひとくくりにされてしまうのはちょっと違うんじゃないかなー、と思った次第ではあります。
心理学っぽい言い回しで言えば、「平均値」ではなくて「最頻値」でみた場合でも、そんなに大学生のレベルが落ちているのか?という疑問です。
まあデータがない状態でこんなこといっても根拠薄弱すぎますね。


どうでもいい話ですが、数ヶ国語を自由に操る明治の大学人と比較したら今の大学人なんてみんな「学力低下世代」なんじゃないかという気はします。
あ、今は外国語のかわりにプログラミング言語を操るようになっている、という解釈も成り立つのかもしれませんが。
2011/01/18 00:44
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