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めもめも ...〆(。_。)

認知心理学・認知神経科学とかいろいろなはなし。 あるいは科学と空想科学の狭間で微睡む。

2017/10    09≪ 1  2  3  4  5  6  7  8  9  10  11  12  13  14  15  16  17  18  19  20  21  22  23  24  25  26  27  28  29  30  31  ≫11
うおおおおようやく熱ひいたり戻ったり延々咳したりの状態から解放された。
ろんどんの風邪は手ごわかった・・・

なんせ学会会場が病院のLecture Theatreなもんだから、入り口が待合室だったんよなー。
なんか今滞在してるとこのぼすの話によると、南のほうから来たぼすの知り合いも風邪をひいたらしい。それもまた「Welcome to London」なんだそーな。
もうやだこの国。


寝込み続けていても退屈は退屈なので、こっちで購入した映画DVDを寝ながら見ました。
風邪で寝込んだときは映画だよねー。
なぜかうちは小学生ん頃、風邪ひいて学校休んだらふとんからトトロを見るのが定番でした。
風邪と映画の組み合わせはある意味郷愁。
とはいえ映画見る余裕なかった日がほとんどだけど。

というわけで、風邪の間に見たSF映画を紹介しておくの巻。

ずばり、これ。


『PAUL』。
単純にストーリーを紹介すると、
「イギリス人のオタクたちがアメリカのオタクイベントに行くついでにUFOのメッカを巡る旅行に出た。
そしたらなんと・・・出会っちゃった!グレイに!
彼はPaulと名乗った。彼は故郷に帰るため、仲間とコンタクトが取れる場所までヒッチハイクさせてほしいと頼んでくる。
引き受けた彼らだったが、当然黒服たちに追われて・・・!
道中、敬虔なキリスト教徒の美女とも出会って・・・!
果たして、オタクどもはPaulと旅を完遂できるのか!?」
といったかんじで、よーするにオタクのETロードムービーです。

ちなみに、メイン出演者および脚本は『ショーン・オブ・ザ・デッド』の彼らです。


・・・どっちも見終わったあとの感想が
「イイハナシダナー(棒)」
だったのは偶然と言うか必然というか。

まあ、『ショーン・オブ・ザ・デッド』のほうはイイハナシダナー要素を予想してなかったのとストーリー構成がかなりよくできてる(あからさまだけど伏線がうまい)ので、映画として比べるとこっちのほうが高評価になるとは思うのですが。

『Paul』のほうは、やられっぷりがどことなくブルースブラザーズ的です(必要以上に敵を作っちゃうところが)。
そして、明らかに主役の二人がノリノリです。
こいつら、この映画趣味で撮ってるだろ。
その証拠に、こいつらアメリカロケで某星戦争のごみバケツと金色ポンコツのコント撮ってやがるんですよ。



もうアホかとバカかと(褒め言葉)。
映画における趣味にはしりっぷりは、日本でいうところの河崎実監督(代表作:『日本以外全部沈没』『いかレスラー』『かにゴールキーパー』)に近いものがありますが、SF者に対する共感ゆえかこのコンビのほうがなんとなく好感が持てます。あ、単にこのコンビのほうが特殊技術きちんとしてるってだけかもしれない。あと演技と。歌もプロのしかつかってないし。



科学ネタでいえば、敬虔なキリスト教徒であるヒロイン(一応。それ以上に主役コンビがラブラブすぎて同性愛ネタ挟んでくるくらいなんだけど)とPaulが「インテリジェントデザイン」是非について口論するシーンがあるのがちょっとびっくりしたかな。
インテリジェントデザインという考え方があるのは知識としては知っていても、それを(演技だけど)口にするひとというのを初めて見たので。
(・・・あ、そうでもないかもしれん。留学生寮でそれっぽいことをちらっと言ってたひとはいたな。あんましつっこまなかったからはっきりそうだとは言えないけど)
「ヒトの目のような精巧なシステムが、偶然できあがるなんてことがあると思う?」的なこと(意訳&うろおぼえ)をヒロインは口走ってたのですが。
視覚の研究やってる身からしたら、うーんそうくるかー、ってなりました。
確かに、視覚システムの複雑さ&精巧さは文字通り「目を瞠る」ものがあります。
でも眼球ってだけならタコやらイカやらの軟体動物にもあるしなあ(だからタコは悪魔の生き物なのだろうか?)。
それに視覚研究なら、ネコやらマカクザルやらの神経科学研究というのはでかい柱だし、それぞれ相同部位とかあるわけだしなあ。
視覚研究の側からしたら、「視覚システムこそインテリジェントデザインを否定する格好の例だろ」みたいに思ってしまうんですけど、インテリジェントデザイン側からしたらまったく逆に見えてるのかなあ。
ちょっと意外。

どうでもいいことで言うと、ちっさいころに見た「宇宙人の解剖映像!」というやつはむちゃくちゃ怖かった記憶があるのに、オトナになった今この映画で見ると笑えてくる不思議。
ああーオトナになったんだなあー。
同様に、グレイってこどもの頃めちゃめちゃ怖かったんだけど、今見ても怖くはないけどちょいきもいよな。不気味というか。
グレイのデザイン考えたひとはなかなかオカルトに通暁していると見た。
誰か知らんけど。

そしてわたしのよーなライトなSF者にはわからない、ディープなSFネタがわりとみっちり詰まっているようなので、この映画『Paul』は是非ディープなSF者に見ていただきたい。
来たれディープなSF者!


ついでに、『ショーン・オブ・ザ・デッド』のラストについての感想もちょみっと書いておく。
「ラストについて」なので当然ネタバレなんだけど、わりと心理学的というか認知神経科学的な問題提起を含んでいると思うので、ネタバレながら「つづき」に書いておく。





まあぶっちゃけ、『ショーン・オブ・ザ・デッド』のラストではヒトとゾンビが共存しちゃってるわけですが、これは「哲学的ゾンビ」なんてアレな単語を引っ張り出してくるまでもなく「自己同一性」や「意識」に関してものっそい問題を提起しているように思う。
・・・まあ「考えすぎ」なんですけど。考えすぎな考察を勝手に展開してしまうのもSF者のさだめというか楽しみというか。

「どこでもドアの思考実験」という話が世の中にはあるそうで。
http://www.h5.dion.ne.jp/~terun/doc/sikou2.html
端的に言うと「完全にコピーされた“わたし”は“わたし”と同じなのか」という問題ですわ。
そもそも“わたし”は毎日の新陳代謝で「完全に」同じではないわけで。 記憶の連続性を根拠としたところで、記憶ですらコピーされた“わたし”であれば“わたし”と言っていいのか?という問題が残る。
ゾンビはそれとは逆に、新陳代謝が終わっちゃってるから基本的に「昨日と完全に同じ“わたし”」になるわけですよ。
そして(『ショーン・オブ・ザ・デッド』の設定では)記憶の連続性も多少ながら(?)ある(ゾンビたちは生前の行動を模倣する傾向がある。雑貨屋の店主はショーンの支払いが15ペンス足りなかったからショーンを追いかけている設定なんだそうな。それ以外にもいろいろ、「ゾンビ化前」と「ゾンビ化後」の対応は伏線にもなっている)。
しかしおそらく、ゾンビには“わたし”という“意識”(というより“意思”?このへんは定義問題だとしてもひと悶着ありそう)がない。
そして社会的な記憶は欠落している(だからこそ、「ある例外」を除いて、生前はどんなたいせつなヒトであったとしてもゾンビはそのヒトに襲い掛かる)。
はたしてこのゾンビは、同じ“わたし”といえるのであろうか?
このある意味古典的な問い、古典的なだけあって難しい。
勿論答えなんかない。
この問いの前段階は「死体はヒトか?」であろう。
社会的に「死体はヒトではない」ということになっているが(しかし、“いつ”からが“死体”なのかという問題は残り、またモノとヒトの間として“死体”はある種特殊な扱いを受ける。では“死体”は完全に“モノ”となるのか?なるとしたら“いつ”か?という問題も生まれる)、「ゾンビ」が可能になってしまうと、この問題はまた一から考え直さなくてはならなくなってしまう。
その象徴が、ラストのテレビ出演者「夫はゾンビになったけどわたしはまだ夫を愛しているの」(意訳&うろry)という悩みを持つ奥さんである。
奥さんにとっては、ゾンビになっても愛しい夫は夫、同一存在なのである。
しかし夫がゾンビとなった今では、拘束具も必要であるし、何せ夫は隙あらば奥さんをかみ殺してしまうおそれがある。
奥さんの生存、生活のためには、夫ゾンビを同一の存在とみなさないほうが適切なのである。
この対立に、果たしてどんな答えが可能であろうか。

とはいえ、哲学(問いかける行為)はひとを幸せにしない。
奥さんがゾンビとなった夫でもいっしょにいたいと望み、法がそれを許すのであれば(この法を制定するのに哲学と議論が必要になるのだが)、奥さんはその幸せを追求する権利がある。
自己も意識もへったくれもない、個人の生活がそこにある。
それはそれで、しあわせなことであるというのが、ラストシーンの価値であり白眉なのではないだろうか。

もう一度言おう。
イイハナシダナー( ;∀;)


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