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めもめも ...〆(。_。)

認知心理学・認知神経科学とかいろいろなはなし。 あるいは科学と空想科学の狭間で微睡む。

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若干出遅れ感がありますがあけましておめでとうございます。
昨年はいろいろぐだぐだになってしまった点も多いですが、そこんところ回収しつつがんばっていけたらなあと思う所存です。
思うだけ!思うだけならfreeとか!
ああもう!はんせいしろ自分!
…まあぼちぼちね。
お屠蘇的なテンションですね!


復帰の肩慣らしとしてSFの話でもすっか!

…あれ研究に近づいてなくね?というツッコミは野暮ってもんです。

今日紹介するのはコニー・ウィリス著、大森望訳で早川さんちの『犬は勘定に入れません あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎』です。
べったべたのSFミステリコメディだぜ!

犬分高め。
さらにそれを上回る猫分。
ミステリといっても人死にはほとんど出ないし、SFといっても宇宙人も出ないので、あまりSF読まないひとをSFに引きずり込むのにうってつけ!

…なのですが、うちの母には「横文字名前の登場人物が多すぎ」というせつない理由で拒否られました。
こんなしょんぼりな拒絶ってないぜママン。

横文字名前の登場人物がきらいでないひとは、ぜひ読んでみてくれたまえ!


というわけで、詳細な感想にれっつごー!


べったべたですが一応SFミステリについて前置きしときますねー。

SFというのは、空想上の科学技術が出てくるおはなし。
ミステリというのは、なんらかの謎を解くおはなし。
なので、そのまんまだとこの2つは相性が悪い。
だって、「密室殺人事件がおこったけど犯人はどこでもドアをつかって逃走した」だとおはなしとしておもしろくないから。
(まあそういうへんな度肝を抜くB級ミステリジャンルもあるようですが…)
不可能を可能にする空想上の科学技術が自由に使えると、謎は謎にならない。
そこで、多少の縛りが必要になるわけです。
たとえば、基本はわたしたちの現実世界といっしょ、でもある技術だけは発達している、とかね。

この「縛り」をいっちばんうまいことやった(と思う)ヒトがアイザック・アシモフなんですね。
そう、「ロボット3原則」です。
1.ロボットはヒトに危害を加えてはならない。
2.ロボットは命令に服従しなくてはならない。(ただし1に反しない限り)
3.1と2に反しない限り、ロボットは自分を守らなければならない。
これが守るべき金科玉条とされた世界で、どう見てもロボットが殺人を犯した…というのがミステリになるわけですね。
ベイリ刑事の話はすげーおもしろかったなあ。
今度再読してここにまったりあげてみようかね。

んで、今回の『犬は勘定に~』では何が縛りかというと。
この世界では、タイムトラベルが可能だということ以外は、現実世界と似たようなかんじ。
というわけで「タイムパラドックスの禁止」が縛りに相当するわけですね。
具体的には、歴史に改変を起こすようなものは違う時空に持ち込めない、とか。
(だからタイムトラベラーの肺に入っちゃう空気とか、足についた程度の埃は歴史を動かさないからOK)
タイムパラドックスを起こすものを所持しているトラベラーには、タイムトラベルの出入り口、通称「ネット」が開かない、とか。
そんな縛り。
舞台はイギリス。
タイムトラベル装置を保有するのはオックスフォード大学、という設定。
そこで、焼け落ちてしまった大聖堂を細部まで完璧に復元したい!という教授の命令のために主人公は主教の鳥株(Bishop's birdstamp)なるもの(これが表題の花瓶みたいなもん)を探すことに。
ところが探しても探してもみつからねえ。
もしや誰かが持ち去った…?
これが第一の謎。

そしてえげつない教授によってものっそい頻度でタイムトラベルを強いられた主人公は、副作用で健康状態があやしくなってくる。
それを見かねた別の教授が、こっそり別の簡単な任務を与えて優雅なヴィクトリア朝時代に主人公を逃がす。
だけど主人公は副作用のせいで、自分の任務が何かわかっていない。
さらにタイムパラドックスを引き起こしかねない「かんちがい」をやらかし、当時結ばれるべき二人を出会わせず本来接点のない二人を婚約させてしまう!
結ばれるべき二人とは誰のことで、その二人が結ばれるよう修正するにはどうしたらいいのか!?
これが第二の謎。

この2つの謎(プラスもう1つタイムパラドックスはあるけど、それを書いちゃうとネタバレなのであえて書かない)を巡って、物語は展開していく。
物語のキーとなるのが、「シリル」という名の気のいいブルドッグ、「プリンセス・アージュマンド」という名の優雅なくつしたくろねこ。
ちなみにこの世界の「現代」ではねこは絶滅したことになってる。
犬派ねこ派かわいければどっちでもいいじゃない派のひそかな対立を見ることもできます。
ちなみにわたしはどっちもいいじゃない派。
犬でもねこでもうさぎでもまうすでもとりでもUMAでもかわいければ何だっていいじゃない!
あーあときんぎょもでてくる。
きんぎょもかわいいよね。
どうぶつ好きにはおすすめだ!

優雅なヴィクトリア朝と、大聖堂復活教授ががんがんわめき散らす現代と、大聖堂が焼け落ちるWW2時代と、主人公やヒロインが右往左往しながら少しずつ謎をつめていくわけですわ。
それはもう右往左往。
そしてけっちらかった謎を解く怒涛の終章。
仕組まれたかのようにおやくそくのハッピーエンド。

上下巻なので多少長いんですが、ややこしいテクニカル説明もないし、コメディノリでさくさく会話は進むので(会話は転がってもなかなか謎は解明されないのもある意味楽しい)一気読み可能。
結構くすっとくるネタも多いし。
これはSF布教向けだね!

犬派にもねこ派にも読んでほしい。
大団円とすこしふしぎ程度のソフトSFが嫌いな重度のイーガン患者にはおすすめできない。
ちょっとあかるい気分になりたくてどうぶつ好き向け。
あとはライトミステリ読むひとかな?
よし今度誰かに貸してみよう。



あーあとリンク増やした。
研究仲間。
ねこいいよね。ねこ。

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