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めもめも ...〆(。_。)

認知心理学・認知神経科学とかいろいろなはなし。 あるいは科学と空想科学の狭間で微睡む。

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今日はひさびさにびっくりものでも読んでみようかねー。

あまりにもキャッチーなネタを拾ったものだから。

Owen, D., & Davidson, J. (2009つーかin pressか)
Hubris syndrome: An acquired personality disorder?
A study of US Presidents and UK Prime Ministers over the last 100 years.
Brain

いやもうタイトルだけでおなかいっぱいになりそうですね。
タイトルをざっくり訳すると
「えらそー症候群:(後天的に)獲得された人格障害なのか?
この百年の某合衆国大統領と某王国の首相を調べてみたぜ!」
っていうwwwwww
エェェエェェェという声が聞こえてきそうなかんじですね。
まあ爆笑しつつもまじめに読んでみませう。


www.dis.h.u-tokyo.ac.jp/scripts/search/ICD10_searchw.aspってちょwwwアブスト(論文の最初にあるまとめのこと)無いのかよwwww
まじめに全文読むしかないのかよwwwうぇっwwww
まーいいか。

さてイントロ。
「えらいひとのリーダーシップって、反面ひとの話聞かないってことじゃね?」とばっさり。
ちょwwwwおまwwwwwwww
まあ反論にいちいち耳を傾けてたら英断する暇がないねーってことか。
んでもあまりに独断専行すぎるとまずいよねー、と。
一国のトップであるという重責は、勿論自分へのプライドもあるけど、他のひとを軽視しがちなんじゃねー、と著者は別の論文で言ってたらしい。
こーゆー“偏り”が、実は人格障害にまで悪化してるかもしれないよー、だとさ。
双極性うつ病(いわゆる躁鬱)とかわかりやすいビョーキは極端な例として別にするにしても。

んで、えらそーすぎるやつはもう人格障害だろそりゃ、ってことで、権力によって現れる病徴・権力がなくなればなくなるものを探ろうぜ!と。
厚顔無恥じゃなきゃあんな大衆にじろじろ見られて重大な政務を執るとか不可能じゃね?
・・・ってさんざんだなヲイ。
どうでもいいけど英語でもthin-skinned←→thick-skinnedって言い回しがあるのな。

で、えらそーであるとしばしば「ネメシス」がくっついてくるよねー、と原文にはあるんだが。
このネメシスっていうのは、「復讐」とも取れるが元来は「義憤」の意らしいしちょっと解釈しづらい。
よーするに「驕れるもの久しからず」ってことかしら。日本語だと「しっぺ返し」とでも言うのか。
だけどえらそー病っていうのは、政治が成功しようが失敗しようが関係ないねー!って態度だと思う、と筆者は主張。
だからうつっぽい人は対象外とします、だとさ。
うつって「あー俺だめだ成果だせねーあー俺だめだ」ってことで合ってたっけ?
えらそーにしてたらそういう精神的しっぺ返しがくることもありますよ、っていうことなんだろうか?
でもそんな弱腰にならないのが真のえらそー病である!とそういうことなのか。

いわゆる「独裁者」はえらそーになりがちだから、とりあえずそゆひとたちを見てみよう。
ヒトラーは伝記読む限りでは1889–1936はえらそー期だけど1936–1945はネメシス期らしい。
精神的しっぺ返しがきちゃったのね。
スターリンはヒトラーほどえらそーじゃなかったと(だって本当にそう書いてある)。
ムッソリーニと毛沢東はどっちもえらそーだったけどどっちも双極性障害。
フルシチョフは軽躁。
フセインは躁鬱病。
(ムソ毛とフセインで病名わざわざ変えてるのは、前者がbipolar disorderなのに対し後者がbipolar diseaseだから。
diseaseのほうが症状重そうな気がするけどどうなんだろう。
臨床はまったく専門外なのでよくわかりません)
だからこの人らは対象外。

さーて次はいよいよ精神疾患の世界基準と照らし合わせていくよー。
ふつー人格障害というのは成人期の早い段階に出るものだけど、えらそー病は年齢を問わず、権力の座に就いた後にいつでも出てくるっぽい。
分類的には、ICD-10という国際基準でいうところの「持続的人格変化,脳損傷及び脳疾患によらないもの」にあたるらしい。
日本語でぐぐったら、その4つのタイプについてはこれ
http://www.dis.h.u-tokyo.ac.jp/scripts/search/ICD10_searchw.asp?searchstring=F62
でもこの4つは発展しないっていわれてるのにえらそー病はどんどんふくらむよねーふしぎだねー。
筆者は前にえらそー病の病徴14個を論文に書いてる↓
Owen D. Hubris and Nemesis in Heads of Government. J R Soc Med 2006; 99: 548–51.
ので、DSM-IV(アメリカ精神医学会が作った疾患国際基準)でいうところの自己愛性人格障害との対応はそっちを見てくれ、ってさー。
ちなみに自己愛性人格障害でぐぐったらこの説明homepage1.nifty.com/eggs/narcis.htmlが(長いけど)わかりやすかった。
あとは反社会性人格障害(a1863fmb.kumogakure.com/psychology.jinkakushougai.html#antisocial参照)とか演技性人格障害(www5f.biglobe.ne.jp/~mind/griffin/histrionic.html参照)とかも。
ICD-10では自己愛性人格障害は一過性のものでもっと研究例が必要だっていわれてたりするらしいけど今回筆者らは気にしないっつかこれも研究例ってことでってかんじらしいです。まる。

んでもって、診断基準を考えていきますよー。
そういうのの順番は、
1)症例をあつめる
2)実験研究とかする
3)他の障害とどう違うか線引きする
4)フォローアップ研究
5)系統づける研究
ってかんじなのでまあそれにならうように。

よし次は行動パタン分類だ!
1)世界は権力をつかって優越感にひたる場所だ。
2)自分のイメージがよくなることを優先。
3)必要以上にイメージやらプレゼンやらにこだわる。
4)救世主的な情熱(なんだそれ)をみせ、演説で高揚する
5)国やら組織やらと自分を同一視
6)王族とかとの会話で「we」って言っちゃう(uses the royal‘we’in conversationってこの訳でいいんだろうか)
7)すっげー自信
8)他人をばかにしがち
9)上級裁判所(神か歴史)にしか説明責任をもたない(なんだそれ…って「上級裁判所」は比喩くさいな。「神か歴史のみが私を裁ける」とかそゆことか)
10)↑での正当性を信じて疑わない
11)現実性がない(ちょwwww)
12)落ち着きなかったり無鉄砲だったり衝動的だったり
13)コストとか成果とかを考えてから道徳に従う(割に合わなければ従わないのか)
14)政策の基本について無関心・無能(エエェェェェエェェェェエェェェ)

あとなんかクスリつかってたりすんのも考慮しなきゃねーって言ってる。
なんでもエデンさんとケネディさんはアンフェタミンのおせわになってたらしい。
21世紀になっても、なんか「cognition enhancers」とか呼ばれるおくすりが使われてたらしい。
こーゆーの副作用ないって!大丈夫!とか言う科学者もいるらしい。
マジか。
Natureが2008年こっそり調査したら、1400人のリーダー的科学者のうち5分の1がメチルフェニデート系(中枢神経興奮薬・日本ではナルコレプシーの治療薬らしい)とかモダニフィル(前者と同様のもの)とかベータブロッカー(アドレナリンの遮断薬。片頭痛の薬らしい。緊張しすぎるの緩和できるんじゃね?とかもうバカかとアホかと)とかを病気治療以外の目的で使っていたらしい。
うわああああああああ。
まあ神経科学の研究者とは限らんから一概には言えんけども、科学の徒がそんなことするなよおおおおおおおお。

おまけ的にDSM-IVとの対応も考えたそうな。
1)~4)&7)~9):自己愛
11):反社会性
14):演技性(そうか?)
その他:対応なし

んで、14このうち3つ以上あてはまったらえらそー病を疑おうぜ!だとさ。

次からはいよいよここ100年の大統領やら首相をみていくわけですが。
そのまえに言っておくことがある!とさ。
えらそー病は権力の座に就いたら誰でもなるものです。
政治のえらいひとだけじゃなくて、シャッチョサーンとか芸術や宗教の重鎮でもなります。
だからいぢめるな!石を投げるな!くつも投げるな!(おおっと手が滑っていらんことかいてしまったよ)
それをふまえてさくさくいこー。

1776年~1974年のだいとーりょーのうち18人49%は精神疾患をわずらってたよーす。
内訳はうつ病24%・不安症8%・双極性障害8%・アル中8%で、ふつーの合衆国男子にくらべてちょとうつ病率高めらしい。
とりあえずえらそーっぽいひと何人かあげてえらそー病あてはまるかどーか見てみるぜ!

****以下テンプレ
【疾患】精神疾患の有無
【明白性】他人が見てもわかるレベルか。治療求めたりしてたらガチ
【特質】もともとえらそうな傾向があったか
【診断】結局えらそー病(と推定される)かどうか
【詳細】診断の根拠とかいろいろ
テンプレおわり*****

だいとーりょー編
○セオドア・ルーズベルト
【疾患】双極性障害
【明白性】はい
【特質】はい
【診断】いいえ
【詳細】躁鬱とかなってたしそもそもえらそーっぽいのに権力関係なかったぽい

○ウッドロー・ウィルソン
【疾患】不安症・大うつ病性障害(躁状態が無くて鬱しかないやつ)・脳卒中で人格変化
【明白性】はい
【特質】はい
【診断】わからん
【詳細】脳卒中とかなってるし疾患多いし原因が権力とは言いかねる

○フランクリン・D・ルーズベルト
【疾患】なし
【明白性】いいえ
【特質】はい
【診断】いいえ
【詳細】ユーモアとか皮肉とかあってちゃんと自分のこと見れてたっぽい

○ジョン・F・ケネディ
【疾患】アジソン病(慢性副腎皮質機能不全。げっそりしたり低血圧になったり)とアンフェタミン中毒
【明白性】はい
【特質】はい
【診断】いいえ
【詳細】薬のせいで人格の問題じゃなかろう(どのみち薬は問題だが)

○リンドン・B・ジョンソン
【疾患】双極性障害Ⅰ型(おもたいほう)
【明白性】はい
【特質】はい
【診断】いいえ
【詳細】誇大妄想は双極性障害の症状だろ。

○リチャード・ニクソン
【疾患】アル中
【明白性】はい
【特質】はい
【診断】わかんねえ
【詳細】パラノイアでもあったようだ。うつとかアル中とかえらそうなのとかまじってたんじゃね?って

○ジョージ・W・ブッシュ
【疾患】アルコールでなんか問題あったらしい
【明白性】はい
【特質】はい
【診断】はい
【詳細】なんの根拠も戦略もなくイラクに侵略したから。

ちょwwwwwやっぱりwwwwwと思ったのはわたしだけか。
つーかマジでinvadeって書いてある。すげえ。

大統領でもそんなにえらそうじゃなかったひともいるよ!ってさ。
トルーマンとかアイゼンハウアーとかフォードとかレーガンとか。
レーガンのアルツハイメル?あれちゃんと証拠残ってねえよ!
(知らんがな(´・ω・`))

おつぎは某王国首相編。

○ハーバート・アスキス
【疾患】アル中
【明白性】はい
【特質】はい
【診断】いいえ
【詳細】えらそうなのはおさけのせい。
(なんでもおさけのせいにするのはイクナイと思います(`・ω・´)!と個人的には思う)

○デビッド・ロイド・ジョージ
【疾患】なし
【明白性】はい
【特質】はい
【診断】はい
【詳細】すっごい疑い深かった。悲劇のヒーローぶってた。

○ネビル・チェンバレン
【疾患】なし
【明白性】はい
【特質】はい
【診断】はい
【詳細】ミュンヘンですっげーえらそーな大演説たれてた。のに終わったあと(=権力終了後)しょぼくれてた。

○ウィンストン・チャーチル
【疾患】大うつ病性障害・気分循環性(振れ幅でかい)
【明白性】はい
【特質】はい
【診断】いいえ
【詳細】晩年は血管性の認知障害起こしてたしアルコール摂取量もはんぱなかったけどえらそー度UPってのはなかった

○アンソニー・エデン
【疾患】アンフェタミン中毒
【明白性】はい
【特質】はい
【診断】いいえ
【詳細】そりゃ薬のせいだ

○マーガレット・サッチャー
【疾患】なし
【明白性】はい
【特質】はい
【診断】いいえ
【詳細】えらそーって言うひともいるけど権力濫用とかなかった

○トニー・ブレア
【疾患】なし
【明白性】はい
【特質】はい
【診断】はい
【詳細】99年のコソボ爆撃から911以後の悲劇ヒーローぶりとかもうね

あー・・・やっぱそうなのか・・・
つーかイギリス勢になんかきびしくね?

もちろんあんましえらそーでないひともいて、キャンベル-バナマンとかアトリーとかマクミランとかダグラス-ホームとかキャラハンとかメイジャーとかあげられてる。

次からはえらそー病まとめ。
自己愛性人格障害ともからむよねーとか。
まあからむけど別ものだよねーってことで流そう。

集中力が切れてきたのでここで自分ドーピング。
あまおうグミうめえええええええ
以下集中力が散漫になったり回復したりしながら読むのでさらにおおざっぱ。
うん。あまおうグミマジうまい。グミグミ。

なんか脳イメージング研究で、人格障害は扁桃体とかの調節不全だっていうのがあるらしい。
Goodman M, Triebwasser J, Shah S, New AS. Neuroimaging in personality disorders: current concepts, findings and implications. Psychiatric Ann 2007; 37: 100–8.
あとドパミンやらノルアドレナリン(ノルエピネフリン)やらセロトニンやらの機能不全かも。
線条体前部とか辺縁系-線条体のドパミン経路が衝動的な行動とか強情さとかの我慢に関係するんじゃねって研究がある↓
Cools R. Role of dopamine in the motivational and cognitive control of behavior. Neuroscientist 2008; 14: 381–95.
メタクロロフェニルピペラジンというセロトニンを誘発する薬を無謀なギャンブラーの治療につかったり↓
Pallanti S, Bernardi S, Quercioli L, De Caria C, Hollander E. Serotonin dysfunction in pathological gamblers: increased prolactin response to oral m-CPP versus placebo. CNS Spectr 2006; 11: 956–64.
・・・あー薬理系めんどくさくなってきた。
聞かれても自分答えられんし。
「セロトニンの作用と無謀さに関係あるっぽい研究いくつもある」でおk?
まーこれには書いてないけど、
神経伝達物質は1種類欠けても作用が変わったりするけどその1種類だけがその機能を背負ってるわけじゃないよーってことに留意しといてください。

薬理とばしてイメージングのとこだけ拾い読み。
脳の前頭前野腹内側部とか島皮質とかリスク評価とか意思決定に関与しているのではないかという研究がある。
Clark L, Bechara A, Damasio H, Aitken MRF, Sahakina BJ, Robbins TW. Differential effects of insular and ventromedial prefrontal cortex lesions on risky decision-making. Brain 2008; 131: 1311–22.
とか
Paulus MP, Stein MB. An insular view of anxiety. Biol Psychiatry 2006;60: 383–7.
とか。
こーゆーのに関連付けるとしたら、えらそー病は
1)リスク評価できてない
2)不都合な成果を予測できない
3)他人に害をなす判断やっちゃう
ってとこがからむかもねー、と。

次はICDとかDSMとかの基準のどこらあたりに対応させよーみたいな話っぽいので略。
どうせそんなんもっと症例数積まな決めきらんし。

さて。
Q:えらそー病はなおるのですか?
A:なおしかたはよくわからんけどなおるんじゃね。
というのが最後から2こめの段落。
最後の段落は
「政治権力の問題とかいろいろむずかしーからあてはめは慎重にね!」ってかんじ。
あと「驕れるもの久しからず」。
ですよねー。

後半かなりだれたけどだいたいこんなん。
臨床系の論文読み込むのだいぶ久しぶりやったからかなり疲れた。
DSMとか半分忘れかけてるし。

つーかこんなにぽんぽん決めちゃっていいのか臨床は。
実験系だと「データは?」とか「一般性は?」とかつっこまれまくりそうだ。
まー次はちゃんと実験論文を読み込むトピックを書こう。


それはともかく、海の向こうのひとたちの権力者像を見るようでおもしろかったのは確か。
これ日本人が読んだらなんて思うんだろ、ってのが気になってざっくりびっくり書いてみた。
日本のえらいひとにえらそー病があてはまるひとはいると思いますか?

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