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めもめも ...〆(。_。)

認知心理学・認知神経科学とかいろいろなはなし。 あるいは科学と空想科学の狭間で微睡む。

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学会行ってそのあとぐだぐだしてお盆時期に本読むぐらいしかしてなくて、その後かぜひいてで、今月はろくに更新もせず。
それじゃあまずかろうということでちょっと時空を歪めて本ネタを繰り広げることにします。

まずはお約束通り、ブラッドベリ追悼。

レイ・ブラッドベリ『刺青の男』


これ刺青の男の設定いらなくね?
と思ってしまうぐらいブラッドベリ通常運転の短編集。
「ゼロ・アワー」なんかは『メランコリイの妙薬』にも収録されてたね。
まあブラッドベリの短編集で収録かぶりを指摘しだすときりがないのだけども。
「狐と森」も別の短編集にあった気がする(ちょっと忘れた)が、何回読んでもやるせねえー。
ブラッドベリの描くメキシコって本当に魅惑的なリゾートだよな。
暑くてけだるげで死の気配が漂ってて。
行ったことないんで実際のところはしらんけども。
あとブラッドベリの描くアメリカの古い田舎もね。
行ける場所じゃないけど火星の古い都も。
「コンクリート・ミキサー」のやるせなさと言ったら。
ひきこもりが正当化できるレベル。

あと、この短編集の中では、宇宙空間でしぬ宇宙飛行士の話「万華鏡」「日付のない夜と朝」になぜか心惹かれてしまった。
徐々にちぎられていく身体とか怖ぇー。
ロケットの中では正常に働いていたのに、ぽろぽろとしんでいく脳細胞怖ぇー。
「見えないものはない」とか怖ぇー。
宇宙こわい。超こわい。
でもその「こわい」がきれいなのもブラッドベリならでは。
惜しい巨星が堕ちたものだ。

でもきっと、ブラッドベリだからどこかの星の古い都に、シェイクスピアやポオたちとひっそり暮らしてるんだよ。
これにも収録されてる「亡命者たち」みたいに。
読者が本をだいじにしている限り、その都は滅びないんだよ。
だからわたしは、科学の子でありながら、心のなかに魔女や幽霊のすむ屋敷をとっておくんだ。
心のなかはなんでもあり空間だからね!
・・・現実に持ち込むのは願い下げだが。
うっわニュース見逃してたああああああああああ。
まさか・・・まさかブラッドベリが金星太陽面通過を見ることなく亡くなってたなんてええええええええええ。
http://jp.techcrunch.com/archives/20120606goodbye-ray-bradbury/
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG06067_W2A600C1000000/
マジか・・・マジだ・・・

今『刺青の男』だらだら読んでるとこだったよ・・・
もうブラッドベリの新刊は出ないのか・・・
もうシシィや緑の羽の一族のこれからはわからないのか・・・

あれだよ、ブラッドベリは地球を出発したんだよ。
ブラッドベリが書くように、今の彼は火星かどこかの星にいるんだよ。
そこにはシェイクスピアやポオやラヴクラフトやビアスやその他いろんなひとがいて、彼らの描いた幽霊や化け物といっしょに暮らしているんだよ。
ブラッドベリは今、彼らの歓待を受けて、空に浮かぶ青い星を眺めながらアモンティリャードを味わっているんだよ。
そうだよ。
そうに違いない。

だけどわたしは地球の表面にへばりついているので、結局こういうしかない。
おつかれさまでした。
ご冥福をお祈りいたします。


科学とか非科学とか、この点に関してはどうでもいいんだよ。
個人の心の中に、すてきな廃墟の火星があって、そこで亡霊たちが夜を楽しんでいる。
いつかわたしも、その火星に行くんだ。
そういうファンタジーがあってもいいんだ。
そこに関しては、科学は手出しできないんだから。

とりあえず、『刺青の男』読み終わったらまた感想でも書く。

以前ここでも紹介した映画『Paul』がとうとう日本語化して本日公開されたようです。
公式サイト:http://paulthemovie.jp/

・・・で、某顔本のほうのサイトみてたら、なんか違う・・・
いやそこのサイトだけのノリかもしれないけど。
ポールの一人称が「オイラ」で、語尾が「ポー」って・・・何そのキャラ作り・・・
それは違うだろ。もっと映画の中身にそってきったない卑語を連発しながら罵りながらしゃべってくれないと。
・・・ってどんなかんじになるんだろう?
「クソホモキモオタ2匹がガチイケメンの俺ポールに出会う映画が本日公開しやがったぜどちくしょう。おまえらクソきたない×××ふりまわしながら見やがれ」
とかそんなんなるんだろーか。
それはそれでアウトなかんじがいたしますね。

『フルメタル・ジャケット』の日本語化でも問題になった(古典的な話ですんません)、日本語における卑語のバリエーションの少なさがここでもまたあらわになるわけですね。
英語圏の「性的単語による罵倒」というのは日本にはほとんどない慣習だからなあ。
様式美であるかのように(いや様式「醜」か?)連発されるf***ワードに対応する日本語がないから、それだけでニュアンスがだいぶ変わってきてしまう。
なんかないかなあ。
『河内のおっさんの唄』に出てくる語尾につける「ワレ」が若干近いかも?
と思ったんだけどどうでしょう。



うーむ。河内弁に詳しくないから変換がむずかしいな。
「えらいオタクな二人が男前なわしと出会いよるんじゃあワレ。映画公開されたんやからさっさと見に来んかいワレェ」
・・・うーむどうなんだろう。

そして公式サイト見てる限りでは、なんかいろいろ特典や割引が用意されてるみたいですね。
愛されてるなあポール。
とりあえず、おすすめしておきます。

先月、街中を走るバスの車体の広告を見て「なんかMr.ビーンが007してる映画の宣伝してる?」とぽろっと言ってたんですが、そのまま大正解でした。
http://johnnyenglishreborn.com/home/entry
これだった。

で、まあ宣伝戦略として、前作『Johnny English』のDVDが大プッシュされているわけで。
こいつぁ・・・!と思って見ましたよ。こやつ。


でも、うっかりして字幕なしのを買ってしまったので、わたしのしょんぼりヒアリングではなかなか苦しいところも多かった。
風邪のときに集中して非母国語聞くのってけっこー大変ね・・・

あらすじは、
「卑劣なテロにより、MI6の精鋭が全滅してしまった!
それにより、へっぽこ諜報員ジョニー・イングリッシュ(こいつがビーンのひと)にも(不幸にも)白羽の矢が当たってしまった!
ジョニー・イングリッシュは英国王家の王冠展示の警備に借り出されるが、まんまと盗まれてしまう。
しかし犯人は、もっと恐ろしい、国家全体を揺るがすような陰謀を巡らせていて・・・!?
謎の美女も、陰謀の周りをうろうろ・・・?
立ち向かえるのは、ジョニー・イングリッシュと相棒のボーだけ!!!
果たしてジョニーたちは、英国を救えるのか!!?」
ってな内容なわけですが。

見終わっての第一声が

「 こ れ は ひ ど い 」

いや、まあ、褒め言葉ですけど。

なんていうかね、ビーンなんですよ、どうしようもなく。
Mr.ビーン見たことのあるひとならなんとなくわかってもらえると思いますが、「どうしてそこまで」というくらい悲惨なおまぬけっぷりを重ねてくれるんですよね、このジョニー・イングリッシュってやつは。
まんま「Mr.ビーンが007やってる」なんですよ。それ以上に説明のしようがないんですよ。
007のハードボイルドっぽいシーンは勿論ビーン風にパロってある。こちらも「どうせうまくいかないんだろな」という予想はしているわけですが、やつはその斜め上をいくひどさ。
いやあ、こんなひとが実在しなかったというだけで英国は大きな利益を蒙っていると言えるんじゃないかな!ってくらいに。
そして権威つぶしネタがきっついわー。
何度も「いいのかこれ?本当にだいじょうぶなのか?」とぽろっと口をついで言っちゃうレベル。
これおんなじよーなの日本で作ったら確実にアレなおでんわやおてがみがきちゃうよ・・・
(そういえば昔そんなこともありましたね、某大。)
これを許せる英国という国の度量の広さに驚きましたよ、いやはや。
ちなみにDVDパッケージには
「Contains mild language and comic violence」
とか書いてあるんですけど、これマイルドでコミックなのか、英国よ。
これFamily movieなんですぜ・・・
大英帝国の度量マジ広い。
一応ちっさく「ちっさい子供には不適切なシーンがあるかも」って書いてあるけど。けど。

あ、あとどうでもいいですが映画の中に出てくるYo!Sushiというおすし屋さんチェーンはここにもあって、「早い安い楽しい」ことを売りにしてる回転すし屋さんです。
「おいしい」「うまい」が売りじゃないことから察してください・・・
こないだテイクアウトで食べたチャーシュー巻きはおいしくなかったな・・・

それと、映画に出てくる「フランス訛り英語」はぜんぜんフランス人のフランス訛り英語に似ていません。それもひとつのギャグだったのかもしれない。
今回の滞在で、だいぶ「お国訛り」がわかるようになってきたな・・・
まあそれ以前に、そもそもの聞き取りがちゃんとできてないんだけどな!

この皮肉風刺風味が強烈なかんじが、ブリティッシュ・コメディというやつなのであろうか。
Mr.ビーン好きなひとは、ぜひ見てみるべき。
007シリーズファンは・・・どうだろうなあ?
ストーリー自体はわりとあってないようなものなので、サスペンス風味が欲しければハズレかな。
初期007の、「おいおいそんなんありかい」というトンでも展開と、まったりしたアクションなんかが好きなひとは、結構いけるクチかもしれませんぜ。
これもアクションなんてあってないようなもんだし。
いやむしろ、体を張ったギャグがアクションか。
わたしももそもそのったり敵と取っ組み合うショーン・コネリーのボンドが至高派なので、まったりのほほんにやにやとして観ていられましたし。

そして、Rebornのトレイラーもついてたんですが・・・
今度は、ジャッキー映画のパロなのだろうか・・・
なにあのうさんくささ全開カンフー。

・・・これは・・・
・・・Rebornも観るべきだな!
ピカデリー近くの映画館で、まだ終了してなければの話だけど。
それとも、DVD出てからでもいいかも。
こっちのDVD、安くなってからだとだいたい10ポンドしないからなあ・・・
日本のDVDはなんで高いのだろ?

あ、007もジョニー・イングリッシュも、なんかいろいろトンでもガジェットが出てくるからSFカテゴリに含めます。
ガジェットばんざい。

うおおおおようやく熱ひいたり戻ったり延々咳したりの状態から解放された。
ろんどんの風邪は手ごわかった・・・

なんせ学会会場が病院のLecture Theatreなもんだから、入り口が待合室だったんよなー。
なんか今滞在してるとこのぼすの話によると、南のほうから来たぼすの知り合いも風邪をひいたらしい。それもまた「Welcome to London」なんだそーな。
もうやだこの国。


寝込み続けていても退屈は退屈なので、こっちで購入した映画DVDを寝ながら見ました。
風邪で寝込んだときは映画だよねー。
なぜかうちは小学生ん頃、風邪ひいて学校休んだらふとんからトトロを見るのが定番でした。
風邪と映画の組み合わせはある意味郷愁。
とはいえ映画見る余裕なかった日がほとんどだけど。

というわけで、風邪の間に見たSF映画を紹介しておくの巻。

ずばり、これ。


『PAUL』。
単純にストーリーを紹介すると、
「イギリス人のオタクたちがアメリカのオタクイベントに行くついでにUFOのメッカを巡る旅行に出た。
そしたらなんと・・・出会っちゃった!グレイに!
彼はPaulと名乗った。彼は故郷に帰るため、仲間とコンタクトが取れる場所までヒッチハイクさせてほしいと頼んでくる。
引き受けた彼らだったが、当然黒服たちに追われて・・・!
道中、敬虔なキリスト教徒の美女とも出会って・・・!
果たして、オタクどもはPaulと旅を完遂できるのか!?」
といったかんじで、よーするにオタクのETロードムービーです。

ちなみに、メイン出演者および脚本は『ショーン・オブ・ザ・デッド』の彼らです。


・・・どっちも見終わったあとの感想が
「イイハナシダナー(棒)」
だったのは偶然と言うか必然というか。

まあ、『ショーン・オブ・ザ・デッド』のほうはイイハナシダナー要素を予想してなかったのとストーリー構成がかなりよくできてる(あからさまだけど伏線がうまい)ので、映画として比べるとこっちのほうが高評価になるとは思うのですが。

『Paul』のほうは、やられっぷりがどことなくブルースブラザーズ的です(必要以上に敵を作っちゃうところが)。
そして、明らかに主役の二人がノリノリです。
こいつら、この映画趣味で撮ってるだろ。
その証拠に、こいつらアメリカロケで某星戦争のごみバケツと金色ポンコツのコント撮ってやがるんですよ。



もうアホかとバカかと(褒め言葉)。
映画における趣味にはしりっぷりは、日本でいうところの河崎実監督(代表作:『日本以外全部沈没』『いかレスラー』『かにゴールキーパー』)に近いものがありますが、SF者に対する共感ゆえかこのコンビのほうがなんとなく好感が持てます。あ、単にこのコンビのほうが特殊技術きちんとしてるってだけかもしれない。あと演技と。歌もプロのしかつかってないし。



科学ネタでいえば、敬虔なキリスト教徒であるヒロイン(一応。それ以上に主役コンビがラブラブすぎて同性愛ネタ挟んでくるくらいなんだけど)とPaulが「インテリジェントデザイン」是非について口論するシーンがあるのがちょっとびっくりしたかな。
インテリジェントデザインという考え方があるのは知識としては知っていても、それを(演技だけど)口にするひとというのを初めて見たので。
(・・・あ、そうでもないかもしれん。留学生寮でそれっぽいことをちらっと言ってたひとはいたな。あんましつっこまなかったからはっきりそうだとは言えないけど)
「ヒトの目のような精巧なシステムが、偶然できあがるなんてことがあると思う?」的なこと(意訳&うろおぼえ)をヒロインは口走ってたのですが。
視覚の研究やってる身からしたら、うーんそうくるかー、ってなりました。
確かに、視覚システムの複雑さ&精巧さは文字通り「目を瞠る」ものがあります。
でも眼球ってだけならタコやらイカやらの軟体動物にもあるしなあ(だからタコは悪魔の生き物なのだろうか?)。
それに視覚研究なら、ネコやらマカクザルやらの神経科学研究というのはでかい柱だし、それぞれ相同部位とかあるわけだしなあ。
視覚研究の側からしたら、「視覚システムこそインテリジェントデザインを否定する格好の例だろ」みたいに思ってしまうんですけど、インテリジェントデザイン側からしたらまったく逆に見えてるのかなあ。
ちょっと意外。

どうでもいいことで言うと、ちっさいころに見た「宇宙人の解剖映像!」というやつはむちゃくちゃ怖かった記憶があるのに、オトナになった今この映画で見ると笑えてくる不思議。
ああーオトナになったんだなあー。
同様に、グレイってこどもの頃めちゃめちゃ怖かったんだけど、今見ても怖くはないけどちょいきもいよな。不気味というか。
グレイのデザイン考えたひとはなかなかオカルトに通暁していると見た。
誰か知らんけど。

そしてわたしのよーなライトなSF者にはわからない、ディープなSFネタがわりとみっちり詰まっているようなので、この映画『Paul』は是非ディープなSF者に見ていただきたい。
来たれディープなSF者!


ついでに、『ショーン・オブ・ザ・デッド』のラストについての感想もちょみっと書いておく。
「ラストについて」なので当然ネタバレなんだけど、わりと心理学的というか認知神経科学的な問題提起を含んでいると思うので、ネタバレながら「つづき」に書いておく。

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