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めもめも ...〆(。_。)

認知心理学・認知神経科学とかいろいろなはなし。 あるいは科学と空想科学の狭間で微睡む。

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ふと、三宅なほみ先生がなくなられたことを耳にした。
ウィキペディアにも反映されてる→ここ

びっくりした。
それはもう、すーっごくびっくりした。

自分が話を聞いたことのある先生がなくなるなんて。
そんなことがもう、起こってしまうなんて。

そんなことは、もっともっと先のことだと思っていた。
そんなことは、もっともっと年寄(失礼)のすっごくえらい先生に起こることだと思っていた。
まさかそんな、あんな若々しくて学生にも気さくに話しかけてくださる先生に起こるなんて。
それはもう、本当にびっくりした。

先生のご冥福をお祈りいたします。
ファイル整理してたら、「なんでこんなの読んでたんだっけ?」という論文ざっと読みめもがでてきた。
めもを読み返しても論文自体を読んでも、前の自分がなぜこれを読もうと思ったのかいまいちわからない。
とりあえずめもぶろぐにアップして供養しておく。

読んだ論文は
「Olfactory–Visual Congruence Effects Stable Across Ages: Yellow Is Warmer When It Is Pleasantly Lemony」というタイトルのもの(Pubmedリンク)。

実験の内容はというと、実験参加者に閉眼であるにおいをかがせ、においを検出したら目をあけてもらうのだけど、そのときに色パッチが提示されるので、その色が「寒色」か「暖色」か判断してくださいというもの。

ちなみに、においの種類はレモン・オレンジ・ばら・魚・ミント・タイム・ミネラルオイル(これはニュートラル刺激として扱われている。においどんなのだろう)。
これらのにおいは、事前に3段階評価で「快」・「どちらでもない」・「不快」の評価をさせておく。
また、レモンは黄色、オレンジは橙色、ばらはピンク色、魚はブルーグレー、ミントは草っぽい緑(黄緑?)、タイムはマラカイトグリーン(青緑)というふうに対応する色(典型色)を定めておく。

そんでもって、においをかいだ後に提示される色パッチが、上のにおい&色組み合わせと一致してるとき、不一致のときで寒色暖色の判断にかかる反応時間が変わるかを調べたそうな。
反応時間はニュートラル刺激であるミネラルオイルへの反応時間をベースラインとしてそこからの差分をとってる。
また、実験参加者は若年者と高齢者といて、年齢の影響があるかも調べたそうな。

結果として、年齢の効果はなし。
色の一致・不一致と、においの快・不快とが交互作用してて、レモンやばらなど「快いにおい」と判断されたものの後にそれと一致する色(レモンなら黄色、ばらならピンク)が出てきたときに反応時間が早くなるそうな。


うーん…意味的な情報がいろんなモダリティに影響する話とも言えなくもない…かな?
あと研究の結果としてはささいな話だけど魚のにおいはぶっちぎりで嫌われてるっぽい。まあそれもそうだよね。
においが意味記憶を活性化させるとすれば、快不快に関係なくプライミングとして働きそうなものだけど…いやまあ反応時間に現れるほどのつよいプライミングになるのは快刺激だけ、と解釈することもできるのかな。


本当なぜこれを読んで、あまつさえ「めもしておかなくっちゃ!」ってなったのかが全然思い出せない。
まあいいや。供養供養。
ナショジオで面白い特集をやっていた。
まとめこちら

なんと、イルカに言語をつかわせようとしている研究者がいるのだそうな。
おもしろがりはするものの、なんだかんだいって比較認知は専門外だからさっぱり知らなかったよ……

まあこのへんのややこしいことをヒト以外の種(特に霊長類)にやらせようとすると、「それは単なる対連合学習ではないのか」という批判が常につきまとうもんなんですが、ヒト乳児~幼児も(あるいは学習初期の児童・成人だって)最初のうちは対連合学習からスタートするはずなんですよね。
そこから、どれくらい抽象度を高めていけるか、が問題なはず。
言語というのはもともと恣意的な音もしくは記号の並びで、しかも連合されるべき対象は確固たる一物体ではなく漠然とした意味カテゴリ。
抽象度でいえば抜群に高い。
その前の段階、意味カテゴリですらどの種で可能でどの種ではできないのかすらまだよくわからんというのに。
イルカはどこまで抽象度を高めることができるのだろうか。

第3回を読むと、三段論法的な連合は可能なようす。
第4回を読むと、カテゴリ的な連合もできる……のかな?ちょっとよくわからない。
「動詞」をつかわせる試みをしているそうなので、まあ意味カテゴリ的な理解&使用を目指しているのは確かだろう。「行為」は常に1回限りであり、文脈もまたその時々によって違うのに、それを1つの単語でまとめようというのが動詞だから、抽象度は(比較認知的には)高いほうだろう。
模倣的な話もあるけどそっち方面には実はあんましわくわくしなかった。
やっぱり認知を考えるうえではカテゴリ認知は避けて通れないぜ!と思ってるからか。

あと、「イルカ」って種を選んだのもおもしろいよなあ。
まあ「イルカがせめてきたぞー(画像省略)」みたいなネタ方面もちょっとはあるんですが、やっぱ抽象度の高い認知って霊長類がメインって雰囲気ありますからね。
霊長類どころかサルですらない。
まあそれ言っちゃうと鳥類のかしこいやつ(とくにカラスとか)だってそうなんですけど。
霊長類って霊長じゃないかもなー、って言われてもしかたない(でもそれは言い過ぎって言われてもしかたない)。

それと、やっぱりもともとの生活様式というか身体構造というか、そういうハードウェア的側面は無視できないなあ、と。
ヒトじゃない霊長類ってあんまり音声コミュニケーション豊かじゃないっぽいし、そういう咽喉してないっぽいので、音声言語という面では不利だろう。
イルカはエコロケーションするし音声コミュニケーション豊かっぽい?(詳しくは知らん)ので、音声言語学習では有利なのかも。

でもそういうこと考えると、音声とかヒトにとってわかりやすいモダリティ以外の方法で抽象的な認知やコミュニケーションを行ってる種もひょっとしたらいるんじゃないかな……ってなかんじで妄想ひろがりまくりですよ。
最早、ヒトの説明に「言語をつかう唯一の種」って言い回しは使えないんじゃないかと(←先走りすぎ)。
とはいっても、これほど多様に扱えるのはやはりヒトだけなんだろうけど。
このへんは道具使用が通ってきた道だな。

うむ。今後が楽しみ。
あとやっぱ、こういうかんじの話も一度ゆっくり考えてみたいと思ってる。

この前訃報をきいた(ウィキペディア参照)ので『ブリキの太鼓』読んだ。


味わいとしてはカルヴィーノなんかとタイプが近いかもしれない。
虚実いったりきたり系。
ただし、悪意を大いに含む。
わたしが困惑したのもその大いなる“根拠なき”悪意。
書評なんかみると「ピカレスク・ロマン」と評してあって、ああなるほどそう読むのかと合点がいったものの、そもそもそういう悪の物語ってそこまで好みじゃないんだよなあ。

ウィキペディアなんかで著者の来歴を見ると、あれっと思うくらい主人公オスカルの置かれた状況とかぶるのな。
いろんな常識に逆らっていく主人公に何かを託したのか。
訃報では著者がナチス側の人間だったのを告白して騒ぎになったことにふれていたけど、『ブリキの太鼓』の主人公はナチスにほんの少し混乱をもたらすだけで、大きく抗ったり賛同したりといったこともない。
淡々と党員になる登場人物はいるけどな。
そして淡々と恐ろしいことが起こる。
悪夢のようだ。

そういえば「ナチス関連」ってだけでいうとマンデルブロの自伝も読んだ。 

いや本筋としては関係ないんだけどさ。
基本「俺すげえ超優秀。俺の親戚/知人もすげえ優秀。でもそいつは戦争/ナチスの迫害でしんだ」って話の連続だったので。

戦争がどうのこうのって話はもはや「歴史上の出来事」として今の自分と隔てられているように思ってしまいがちだけど、意識してないだけでしっかり地続きなんだよなあ。

しかしなんだろーね。教科書で読む出来事・人は自分とは違う時代/世界のもの、というバイアスって。
こないだ社会心理の人と話してて知ったんだけど、監獄実験で有名なジンバルドーってご存命だそうな。
もっと昔の人だと思ってたわ…
記憶でいやータルヴィングもご存命だし。

いやー生きてくってたいへんだなあ(たいへんらんぼうなまとめ)。
「馬から落馬する」とか「頭痛が痛い」などの重複表現の最大級のものは何か、というのが我が家でかなり議論されたのですが(謎の家族会議)、現時点での暫定的結論は
「CO2入り炭酸スパークリングウォーター水(H2O)」
ではないかということになっております。
化学式重複できるってのは強みだよね。
これ以上の重複表現か可能なのかどうかは、今後も検討していきたい所存であります。
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