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めもめも ...〆(。_。)

認知心理学・認知神経科学とかいろいろなはなし。 あるいは科学と空想科学の狭間で微睡む。

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学会話の続き。
(かんじんの学会本体の話どこいったw)

国際学会行くときって、移動がめんどう!ってのはまあよく聞く愚痴だと思います。
われわれお金ない若手は当然エコノミー組なので、座席も狭いし。
飛行機の中は乾燥するし。
んでも、わたしは映画をすきなだけだらだら見られるのが結構うれしかったりする。
見ようかなーと思って見逃していた映画や、日本で公開してない映画や番組も見られちゃうし。
画面小さいじゃん!って言う人もおられるかと思いますが、小さいころからちっちゃい本だけでファンタジー世界に没頭する訓練を積んできた身としてはどうってことないんだぜ。
というわけで、飛行機映画いくつか感想まとめ。
もちろんSF&幻想セレクションだぜ!

★ひつじのショーン~バックトゥーザホーム
公式リンク
本当相変わらず相変わらずだな!(意味不明な褒め言葉)
ひつじのショーンに関しては、実はウォレスとグルミットのほうが好きだな…(特に月に行く話)と思っていたんですが、でもやっぱひつじのもこもこっぷりラブなのと、今回の映画のドタバタっぷり楽しんで甲乙つけがたくなってまいりました。
まあトレイラー見たらだいたいのことはわかるのでネタバレもあんまし気にしないことにしますが、ひつじたちが人間のふりをするところはわたしのツボにきました。むちゃくちゃすぎるだろあれ。
今回はおやくそくの「頭を打って記憶喪失、もう一度打って記憶を取り戻す」って型なんですが、これって元ネタなんなんでしょうね。
よく考えたら、頭を打って記憶喪失はありうるけど(外傷性の逆行性健忘ってことでしょ)、もう一度打って健忘がなおるってどういうことなんだろ???
単に時間経過で健忘の範囲が縮んでって消失したってだけじゃないのか?
このへんはSF的考察が必要だと思う。機会があったらする。
あと犬の話な……本当にな……!!!
『いぬのえいが』とか、犬と人との交流ってなんでこう涙腺殴ってくるんだろうな。
クレイアニメは手間がかかる分ハズレがないなーと思ったり。

★パディントン
公式リンク
2016年になって日本でも公開されるそうな。
こんな全年齢で楽しい映画日本でもやれよって思ってたのでよかったよかった…のかな?
吹き替え?そんなものは知らん。
だいたい日本では「紳士なクマ」とか言ってるけどパディントンが本当に紳士だと思ってるのか?原作読まなかったのか?
まあでもサーこそないもののミスター・ビーンも紳士っちゃ紳士なのか…いやしかし……うーん。
「イギリス=紳士」というイメージよりも、むしろ「イギリス=博物学大好き」のイメージでみた方が楽しめると思います。
本当博物館だらけだしよう。たのしいよう。
SFポイントとしては、クマにも文法のような抽象的法則を理解しつかいこなす認知能力があるというところですな。
いやクマの認知能力がどれくらいか、っていうのは研究も少ないし難しいところだと思うんだけど。
クマに「文明」は可能か?
これも考察の余地があるな。
後半のはらはら展開はまあおやくそくとして必要なところだと思いますが、やはり出色はトレイラーにも出てくる例の濡れ場(語弊のある言い方)。
なんでそうなるんだよー!って脳内で絶叫突っ込み入れながら見てしまう。
このエスカレートのえぐさはブリティッシュコメディだなーと思う。
あと、パディントンを受け入れてくれるおうちのおかんを演じている人が、すごく日本の女優さんの誰かに似ている気がするのだがちっとも誰だか思い出せない。
ひょっとして女優さんじゃなくて知人の誰かなのか。そこすらあやふやだけど、すごーくよく似た顔の日本人女性を見たことある気がするんだ…誰だろう。
もしこれを読んでぴんときた方がいらっしゃったらぜひ教えてください。
まあわたしの顔認知は16×16ピクセルの解像度だ、と揶揄されるくらいに大局的なので、本当に他者から同意を得られるほどの類似があるのかはちょっと自信ない。
でもすごく見覚えのあるかんじがするのになー……

★インターステラ―
公式リンク
SFポイントどころかSFど真ん中の名作。
でも『ゼロ・グラヴィティ』よりも人間主義的なかんじがあるので、SFにドライさを求めるタイプの人はお好きじゃないかも。
……わたしはどうだったかって?
『木でできた海』を偏愛してるんですよ?涙腺も心臓も脳みそも殴られっぱなしえぐられっぱなしでしたよ!
(『木でできた海』の過去めもはこちら
過去めもでわたしは『木でできた海』を「愛の物語」と評したが、『インターステラ―』
もまた形式や酒類は違えど愛の物語といえる。
おまえよお……こういうよお……(ことばにならない)
『インターステラ―』では、時間そして空間が絶望的なまでの距離で、もう絶望的に大きすぎてもはや壁になるような距離で、隔てるんですよ。
でもそこで(自主規制)
いやまあ正直、ご都合じゃねえの!?って思いましたけど。
ただ自分の望むような「ご都合」を作り出していくことも意志だよなあ、と思ったり。
意志がなければご都合もなにもない。
意志がすべてを生んだのだ。
まあでもこういう話になると「果たしてそれは自由意志と呼べるのか」って問題が出てくるんですけども、自由意志に関してのわたしの態度はずっと「定義問題解決しろや」のままですんで、やはり「これも意志と言える」のスタンスはぶれません。
あとなー!利己と利他のなー!対立というか選択というかなー!
これ宇宙SFとみせかけてバリバリ心理SFなのかもしれないな。
宇宙SFポイントであるところの、時間と空間に関しては、もうちょいじっくり考えたいところ。
どっかでDVDが安くなってたら買ってもいいかな、と思っている。


あとなんかカウボーイが恐竜と戦うとかそんなかんじの映画も見たような記憶があるのだが、内容に関しては本当にその一言で片付くくらいうすーい映画で途中寝落ちしたような気もする。
恐竜が出るくらいだしSFポイント高いと思うのだがおもしろくなかった&記憶に残らなかったということで残念認定としとくには取り上げない。

それと、『イミテーション・ゲーム』のDVDが7ポンドで買えたので、今度時間のあるときにじっくり見る予定。


いやーやっぱりSFマインドのある映画っていいよねー!!
天体イベントがあるたびにわか天文ファンに成り果てる愚か者がいますよね。
……はいわたしのことです。

宇宙に憧れはあれど、宇宙関連の本の中に「宇宙を研究する仕事に就くには数学が必須」という文章を見出して膝から頽れてからは、まさに「手の届かないもの」として遠くにありて思うものだったわけですよ。
しかしニュースやなんやに天体イベントの話があるとそわそわせずにいられない。
どうしようもないにわかですよ!

そんななので、今回の皆既月食もそわそわしながら望遠レンズを向けたのですが、わたしのへっぽこ腕&200ミリ程度ではくっきりはっきりというわけにもいかず。
画像はこんなかんじなので、

ここだけみるとそう悪くないような気が一瞬するんですが、デフォルトサイズから月の部分だけを切り出してみるとこうなります。


うーむ。このレベルでピント合わせってどうすりゃいいんだろ。
やっぱりもらい物の古い望遠鏡にあうアダプタを購入してみるべきか。
…にわかのくせに。

でもおつきさまはにわかかつ初心者にもやさしい被写体なので、もうちょっと精進したいなあ。
そりゃー流星とかそういうすごい天体イベントを撮れたらすばらしいだろうけど、それにはちょっと装備と体力が心許ないので。

写真がへっぽこでもおつきさまはすばらしいですよ。
皆既月食がおわって部分月食状態なのもいとをかし。
問題点は変わらず。


まあ写真うまく撮れなくても、きれいなおつきさまを見られただけでよしとするか。
以前小学生のころに読んで恐怖したSFがムツゴロウさん作だったことをこの年齢になって知り、別の種類の恐怖を感じている。

そもそもの発端は、「人生に影響を与えたSF」まとめを読んでいて、わたしだったらやっぱ『火星年代記』かなあ…と思いつつ、そもそもなんでSF好きになったんだっけ…?という疑問がわきまして。
『火星年代記』はきっかけじゃないんですよね。
たしかあれを読んだの実は中学あがってからだったよなあ…


ってことは「あたしのエイリアン」シリーズか…?
『ふたりと美少年とエトセトラ』とかSFどたばたラブコメとしての完成度めっちゃ高かったしな。


いやあれを含め津原作品が人生に与えた影響は大きいけど、小学3、4年頃のものっそい乱読期にSFファーストコンタクトがあったはずだぞ…?
たしか、図書館の本をジャンルごとに総ざらいするように読んでたから、とっかかりは児童向けシリーズだったはず…
というあやふやな記憶で児童向けシリーズまとめをひたすらチェックしていくと、金の星社の『ゼロの怪物ヌル』というタイトルに記憶のFamiliarityがぶわあっと閾値を超えたので調べてみたらどうもこれが小学生のとき読んで強烈な印象を与えた「白いぶよぶよを刺身にして食ったらうまかったけど身体のっとられてピンチ」という生物SFだったもよう。
で、なんでこれに手出したんだっけ…?とがんばって記憶をたどったのだが
1)ホラー・怪奇小説にはまっていた時期の後期で、怪奇シリーズはあらかた読みつくしたので、「怪物」とかそのへんに惹かれて読み出したかもしれない
2)なんかすんげー感動的なんだけど若干尻切れトンボな終わり方した少女向け児童小説があり
、その余韻の赴くまま「少女向け」な児童小説を読み漁っていた
の2パターンのどちらかだと思われた。

1)の怪奇シリーズのは、こども向けにフランケンシュタインとか黒猫とかを翻訳っていうかたぶん翻案(若干表現ゆるめてたんじゃないかな)してたやつだったはず。
同級生になぜかドン引きされた記憶がある。
今検索するとポプラ社にそれっぽいシリーズがあるんだが、密林さんにもポプラ社にも表紙絵がない上、画像検索で出てくる表紙絵が自分の記憶とつきあわせてそんなにしっくりこない。
から違うシリーズかもしれない。
基本背景が白で、黒い山高帽をかぶった男性の絵だったと思うんだけどな…
シンプルな色味、霧がけぶるような印象だったはず。
違う作品と間違えてるのか?『ジキル博士とハイド氏』あたりと?
って思ったけどポプラ社の怪奇・推理シリーズだと画風全然違うな…

どうでもいいが『ゼロの怪物ヌル』のぐぐって出てくる表紙絵もなんか記憶と違う。
密林さんに画像がないから他人様のブログを引用するけど、ここ(←ネタバレ注意)にあげられてる表紙絵も挿絵も記憶とちがう。
もうすこしあっさりした絵だと思ったんだけどな…
挿絵ももっとシャープな線だったような気がするし…
あとわたしの記憶だと表紙絵の人物の向いている方向逆なんだよね…
ストーリーは記憶と完全一致するのになあ…
改題されて出てるらしいんだけど、そっちのほうは記憶にかすりもしないし、たぶん改題前のほうを読んだと思うんだけどな…

まあでも昔の記憶ってあてにならないからなあ。

2)の児童小説は、「主人公が盲目の少女」「学校行って点字読みたいんだけど、やめさせられてあんま師に弟子入りするんだけど、師匠は自分も学校行きたかったのに行けなかったくちなので点字を学ぼうとする主人公をいびる」「最終的には点字を学べるようになるし彼氏もできる」
というあらすじの記憶から『ふみ子の海』というタイトルであることが判明した。
しかしそれを収録していた少女向けシリーズがわからない。
なんか漢字を分解した暗号あそびを教えてくれるおじいさんと孫の話とかもあったと思うんだがそれ以外の記憶がなくて手がかりにならん。
そもそもそれって本当に少女向けか?などと混乱してきた。
「ふみ子の海」で検索して出てくる表紙絵は

こんなんなんだけど、わたしの記憶では教科書とかにありそうな女の子のイラストだったんだよな…これも基本背景が白のやつで。
これを児童向けにリライトしたのが存在するのか?


それはともかくとして、そうやって記憶をたどっていく限り、たぶんSF小説とのファーストコンタクトは『火星の王女』で確定っぽい。

これも表紙が記憶よりくどい…
緑がかった空と砂漠の背景で、王女ピンか王女と主人公の二人くらいの表紙だったと思うんだけどなー。
でもあらすじとか聞く限り、これとしか思えないんだよなー。
犬が出てきたのと、火星人は「笑う」という表情は「怒る」感情を表すものだと思っているので、最初すげーコミュニケーションがうまくいかないってのが印象的。
なぜか結局主人公は地球に戻っちゃって、砂漠みたいなとこでひとり王女を恋うのがすっごいせつなかった記憶がある。

このファーストコンタクトはたぶん小学2年あたりだと思う。
当時のわたしはいたく『長靴下のピッピ』に心酔していて、ピッピに相当する感動を味わうべく児童書をあさっていたのであった。


また小学2~3年の頃、わたしが通っていた小学校では空前の江戸川乱歩…というか少年探偵団ブームがきていて、乱歩シリーズは常に誰かが借りておりなかなかコンプリートができないという状況でもあった。
そのためわたしは学校の図書室ではなく家のちかくの小さい図書館で探偵もの・冒険ものをあさっていたのだ。
こちらB組探偵団シリーズ(ガビーあざとい)、マガーク探偵団シリーズ(ワンダかわいい)、ミス・ビアンカの冒険(ミス・ビアンカ超優雅)とかそのあたりだ。

で、その図書館のミス・ビアンカシリーズの隣においてあったシリーズに手を伸ばして出会ったのが『火星の王女』だったと思う。
今から思えば、乱歩にいかずにここらへんを読み漁るあたり、翻訳小説大好きっ子になる下地がすっかりできあがっていたんだなあ…

ただそのときはそこまでSFに走らなかったんだよなあ……
図書館にある探偵団シリーズを読みつくしたのと、おかんがミステリにはまるのとがだいたい同時期だったので、おかんと浅見光彦シリーズやら御手洗潔シリーズを回し読みしていくんだけど、こども心には外連味が足りなくて、怪奇ものに走り、そして周囲でジュブナイルやラノベが流行りだしたのでそっちに流れ…という小学生時代を過ごしたのだが、そこで王道ラブコメにはまらず「あたしのエイリアン」シリーズ、それもSETIものをいたく気に入ってしまうというところから「じゃあこの作者がすすめるSFというものを読もう」でどんどんそっちに流れていってしまった……というところか。

ジュブナイル時代、王道ラブコメ街道まっしぐらな友達、ファンタジー一直線な友達、ドロドロBL驀進な友達もいたというのに、なぜわたしはひたすらSFに偏っていったのだろう。

…って、よく考えたら未就学児童期に、ゴジラモスラ大魔神なんかの特撮もの・ゾンビやゴース
ト出放題のホラー、UFOとかエイリアンとかのオカルトSFの映画をさんざん見せられてたわ。
空を飛ぶものとしては、メリーポピンズより先にガメラに出会ってたわ…
……おかんの趣味で。

……完全におかんのせいじゃねーか!!


というわけで、わたしの人生におけるSFジャンルもののファーストコンタクトは海馬が発達しきる前の出来事だったことが判明いたしました。
たぶんゴジラシリーズのどれかじゃないかな……



まあファーストコンタクトは別にして、単純に「影響を与えたSF」ってだけならやっぱり『火星年代記』だと思う。
どんな思想だって自由であるべきだ、文化は非合理的でも尊重されるべきだ、いつまでも空想をだいじにしていたい、という考えは、やっぱりブラッドベリの影響が大きいと思うんだよね。
もちろん公共の福祉や科学とうまく折り合いつけるべきだけどさ。
心の中に火星の音楽都市や怪異はびこる廃墟の館があってもいいじゃない。
……あ、もちろん怪獣もいていいと思います。
かねてより公言しているとおり、わたしはニンジャヘッズ(ニンジャスレイヤーの読者・ファン)なのですが、ニンジャスレイヤーの実況ログや考察などを読むとニンジャヘッズの知識の広さ深さ・層の厚さに驚かされます。
(それはとりもなおさず、原作者/翻訳者の知識も相当なものであることをうかがわせます)
この間知ったのですが、ニンジャヘッズの一人がニンジャスレイヤーの中で出てくるセリフ(「コトダマ」と呼ばれる)を駆使したプログラミング言語を開発していたそうです。
詳細はこちら

…すげえ。
はろーわーるどいうだけでこの長さ。
……でも扱える気がしない。
わたしは説明を読むだけでも爆発四散レベルのへっぽこさなので手を出せませんが、誰かプログラミングにつよいひといたら試してみてください。


…いやあでも本当に層が厚いなニンジャヘッズ。
わたしも何かヘッズにおもしろい貢献をしたいのだけど、今んとこいいアイディアが思いつかないなあ。
なんか思いついたら◆しよう◆
……思いつくかなあ?
一日が週末だったのでひさしぶりに映画館いってきた。
まあ「一日が週末」なことに気付いたのは先月一日(非うるう年だと三月は曜日いっしょだよね)で、先月はしっかり逃してたんですけど。

せっかくだから大画面大音量を楽しむやつにしようぜ!というわけで、わたしには珍しく大作映画を見たのでした。
(ジョニーイングリッシュはある意味大作だけどな)
今回見たのは『ゼロ・グラビティ(原題:Gravity)』。
公式ページはこちら


…いやーこれすごいわ。
これは確かに映画館向きだわ。

ストーリーとしては、そんなに複雑じゃない。
話自体は、ブラッドベリの『万華鏡』と似ている。
というか話だけなら『万華鏡』のが重層的で複雑か。いや身贔屓か。
それなり「ご都合」なところもいくつかある。
しかし、圧倒的な迫力で映像化されたなら屈服せざるを得ない。
要するに、宇宙船の保護をなくして宇宙空間に取り残されるのである。

宇宙には空気がない。
だから音がない。

そういうようなこと(うろおぼえ)がイントロ、字幕で表示される。
そして、それが忠実に映画に反映されるのである。

宇宙空間に出ているとき、主に聞こえるのは宇宙服内の主人公の呼吸と心拍。
隔絶された、内にこもった音。
宇宙船に入れば、自分の外の音が戻ってくる。
宇宙服を着なくてもいいので、呼吸や心拍は響かない。

これを基本ルールとして、緊迫感や不安を煽る音楽が随所につきまとってくる(褒め言葉)のである。
その上、宇宙に出たことを意識せざるを得ない瞬間、無音になる。
ふだん経験しない、音のない世界に放り込まれる。
そして主人公の視界もたびたび現れる。
常に死が迫ってきており、ナーバスにはりつめた主人公の音とともに。
否が応にも主人公の不安がつきささってくる。
気が付いたら本当に手に汗握っている。
こわいのだ、本当に。

ましてやこっちはブラッドベリ読み。
『日付のない夜と朝』みたいな、何も確かなものなどない寄る辺ない無辺の闇を読んできているわけで。
その闇がすぐ隣に。
そしてその闇の中での死がすぐそばに。
かつて読んで慄然とした恐怖が。
こわくないわけがあるものか。

とりあえずブラッドベリ読みじゃない人には、『万華鏡』と『日付のない夜と朝』が読める『刺青の男』をおすすめしておこう。

どっちかは他の短編集にも収録されてたような気がしたけど忘れた。
ちなみに『万華鏡』と『ゼロ・グラヴィティ』は別の結末をたどる。
どちらも美しい。

結末の話をするならば、邦題は失敗だったなーと思う。
いやさすがにネタバレはしませんけど、でも、まあ。
まあ映画みてる間は心臓ばくばくしてて気にする余裕なかったからいいや。

そいや『万華鏡』を思い出したのはわたしだけではなかったようで、検索すると結構言及しているひとも多いようす。
なかには「イリノイ州」もブラッドベリではということを言ってるひともいた(参照)。
いやさすがにそれは…と思ったけど(ブルースブラザーズだってイリノイ州やん!)、ありえそうでもある。
ブラッドベリの描くイリノイ州とアイルランドってやたらすてきな場所だもんなあ。

そんなかんじで、ブラッドベリ読みなら楽しめる(こわがれる)こと請け合いの映画。
いやーこれよかったよ。
音の効果を楽しむためにも、音響装置のすぐれた映画館で見るといいよ。
…ってもう、公開されて長いからわたしの近場の映画館ではそろそろ公開終了になるっぽいけどね。
音を楽しむ映画ですよこれは。
音楽もいいけどSE重点。
水とかね。
ああもう。

そいや映画とリンクしたショートムービーが公開されておるね(わたしが見たのはこのページで)。
映画観終わったあとに見るとまた感慨深いものがあります。
その場で、その生を営むしかないんだよなあ。

おまけといえば公式の宇宙遊泳もなかなかおもしろかった。
画像もすごくきれいなので、これはちょっとあそぶのたのしい。
でも音声は例の緊迫感なアレなので、こわくなってきたら音きったりもした。
なんでかハッブルに近づけないんだけど…バグなのか環境依存のエラーなのか。
コンプしたがりのわたしとしてはそこだけ残念。

しかしCG本当にすごいな。
スタッフロールでもものすごい数の人がCG仕事に従事していた。
CGはそこまで大仕事になってるんだなあ。
スタッフロールのキャストの少なさ、スタッフの多さも見といてほしいくらいだ。
技術ってすごいね。
それだけでもSFマインドを堪能できるよ!


あと、正直に告白すると、はじめてジョージ・クルーニーをかっこいいと思った。
…吊り橋効果といわれたら否定できないけど。
オーシャンズシリーズでは「はいはい、きざなおっさん」としか思わなかったのに。
ていうか、TVや映画の俳優をめったにかっこいいと思わないのに。
今回のジョージ・クルーニーはめちゃめちゃかっこよかった。
『ゴールドフィンガー』ぐらいんときのショーン・コネリーぐらいかっこよかった。
……あれこれわたしがおっさん趣味なのか?
いや映画俳優でかっこいいっつったら若いときのショーン・コネリー鉄板だろ!鉄板どころかキングオブキングだろ!
まあそれはともかく、わたしの好みが「基本的には穏やかで、ふだんは飄々と軽口なんかを叩いていて、どっちかってーと昼行燈なくらいなのに、いざというときはバリバリ活躍してピンチには手を差し伸べてくれるタイプ」なので、今回ジョージ・クルーニーが演じた役どころがぴったり好みにはまったのであろう。
それだけに、それだけにあのシーンは……ああ。
いやネタバレしたくないから詳細は述べないが。
やっぱり美学の感じられるキャラはすばらしい。



そんなかんじで某顔本の観た映画リストにも付け加えておいたんだけど、某顔本のSuggestionはぽんこつすぎるな。
SFマインドあふれる映画もB級の香り漂う映画もすすめてこないんだもの。
単に有名作品だけ出してくるのならいらんぞ。
なんで最初に『アタック・オブ・ザ・キラートマト』を登録するようなやつに『シュレック』とかすすめてくるのか。
せめて『チアリーダー忍者』くらい出してこいや。
まあ映画に限らず顔本の学習はしょぼい(市役所のお知らせをフォローしたら、なぜかわたしのきらいなエッセイストをいつも出してくる。特にゆかりはないのに)ので、期待はしていないのだけど、名作(迷作もか)との出会いってどこにころがってるかわからんからなあ。

まあいいや。またなんか面白いものがあったら見よう。
映画を見た夜、わたしはアモンティリャードの杯を乾した。
無限の夜を隔てた向こう、どこかの想像上の火星にいる、叙情的な宇宙の描き手を偲んで。

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