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めもめも ...〆(。_。)

認知心理学・認知神経科学とかいろいろなはなし。 あるいは科学と空想科学の狭間で微睡む。

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私事ですがちとおひっこしするので荷物をまとめるのにいっぱいいっぱい。

本読みの宿命、「自分の蔵書をいかにせむ」問題に頭を悩ませているところ。
ともに移動するのは厳選した数冊・・・いや十数冊・・・いや・・・(無限増殖)・・・あああ。
そもそも厳選するために読み直したりして準備がちっともすすまなかったりな!
なんという本読みあるある。

そんな中で、さんざ迷ったあげく「ともに移動する」カテゴリに入りそうなのが、ジョナサン・キャロルの『木でできた海』。


こいつは、去年の夏、とある国のとある空港で、暑さにうだりながら、かといって見知らぬ通貨の店で何かを買う気にもなれず、トランジットの飛行機がくるまでひたすら読みふけっていた本。
見知らぬ国の匂いと心細さと、モノガタリから受ける圧倒的な叙情とがないまぜになった記憶とともにある本です。
こいつの感想をばちとまとめておこうと思います。

今日はおよそ一年ぶりくらいになるんじゃないかというSF話。

某国の某なめくじが道路に突進してくる都市のことをもうすこし好きになろうと試みてみる。
某都市を舞台にしたSFを読もうじゃないか。
そうすれば、雨の多い某国の中でも特に雨が多くてなめくじが大量発生してパン屋さんもカフェもろくにない某都市のことをちょっとは好きになれるかもしれない。
某都市出身で、某都市を舞台にしたSF作家の翻訳が早川さんとこにあるというので、てけとーにぽちって読んでみた。

『ヴァート』という若干サイバーパンク的なお話。


詳細はつづきのところで。

へーいSF分を補給しにきたぜ。
というわけで今日は古典『ソラリスの陽のもとに』だぜー。

なんでいまさら古典かってーと、「失敗したくなかった」「レムを持つべき場面があったのに持ってなかった」「かろうじてまだトールサイズじゃなかった」などの理由。
しかしこの邦題は、古い映画の翻訳魂っぽいニホヒがするねー。
賛否両論あるだろうがわたしはカタカナ書きで原題そのままとかあまり好まぬのだよ。
あ、『レ・コスミコミケ』は例外ね。
あんなんどうやって訳すというんだ。
しかしカルヴィーノに出てくる人名の訳はあれでいいのか議論があるのではないか。
いや今日はカルヴィーノの話はいいんだよ。

古典ですがネタバレをしないようになかみをざっと言うと、
地球の物理法則・生命の定義(って何だろうね?)が通用しない不思議物体(通称「海」)に覆われた惑星ソラリス。
「海」が何であるのか仮説は百花繚乱だけど何一つ明らかにならない。
主人公ケルビンは心理学者としてソラリスに駐留し調査を行うステーションに赴く。
だが「海」は思いもよらぬやりかたで研究者たちと関わることに…!
的なかんじ。

向こうもんのSFでは、心理学者が極地に出かける話多いよね。
(『火星年代記』の調査団にもいた)
日本のイメージだと、心理学者って「文系=ロケット乗らない」なかんじがする。
ロケット乗る心理学者とかかっこいいなあ。あこがれるなあ。


まああほなはなしはおいといて。
構造も異なる、行動様式(?)も異なる、それでいて何かしらのアクションを起こす“物質”を果たして生命と呼べるのか、そして“意識”を持つ、“思考”を持つと考えられるのか?
この問いは昨今(といっても随分息の長い“昨今”ですが)神経科学屋さんでも流行の「意識とは何か」という問いにダイレクトにへんな方向からアタック加えていて面白いと思う。
思考実験のひとつとして、ソラリスの「海」は意識を持つといえるのか?という問題を考えてみると面白いかもしれない。

何があったら“意識”なのか?
外界情報を取り込んで、その体内(?)の何か(意識???)によって反応したりしなかったりしたらそれは自由意志?
ヒトとまったく行動様式が異なる「生命」の「行動」が意識的な行動であるかどうか判断することは可能なのか?
思考実験なんで問いを立てたところで袋小路なのですが、想像するだけならフリーのアミューズメントですよ。
これが50年以上前の問いだとか。
ヒトの歩みって遅々として進まない。


あとデコーディングっぽい話もちょこっとだけ出てくる。あくまでちょこっと。
とはいえ古いSFなのでたいがい脳波です。
脳波を調べるだけで何考えてるかわかるとか。
現代にいるわれわれからしたら素朴で羨ましいぐらいですが、それだけfMRIってすごい発想だったんだなあ。
「調べる」っていってもいろいろあるじゃんね。
まあ『ソラリス~』では波のパタンがどうこうという話が出ているあたり、EEGにSVMって考えるとむしろ現在がSF。

波がどうこうとか言ってるのはまだ良質SFですね。
例えば海野十三なんかだと、悪の天才科学者が自分の脳を他人の体に移植して他人をのっとって好き放題!みたいな話があったよーな。
免疫とか神経系とかこまけぇこたぁいいんだよ!(AA省略)
あれですよ、怪獣映画のポスターみたいな色彩ですね(要するにB級ソフトSFっていうかB級すこしふしぎ。いやすこしどころじゃねえよというツッコミはご愛嬌)。
まあ怪獣映画やB級映画はそれはそれで味わい深いので、そーゆー楽しみ方をするのもまたひとつの嗜み。

いや今日は海野十三じゃないんだよ。レムだよ。古典的名作だよ。
いつもどおり話がとっちらかりまくりです。

んでデコーディングの話に戻れば、その「波」を解読できたからといって、その波を送れば受け取り主が波に相当する思考を読めるのかってーとまた別問題。
そこにさらに、まったく違う行動様式、ならばこそのまったく違う認知の「生命」の波を読むことなど可能だろうか?
パタン分類ができても、分類の意味するところはわからないように、それが情報として扱えても、どうやって「意味」に到達できるのか?
・・・まあここが解決できたらほんとに現実がSFだよねー。


しかしあれだよな、考え方次第によっちゃ今自分らがおかれている現代科学がSFだとか、しかも自分の関わる研究がSFにつながるかもーだとか、無駄にテンションあがってしまうよな!
読むだけじゃなくて、実践するSF。
わくわくする。

まあそのへんおいといても、すこしふしぎな叙情性ある文章ってのもいいやね。うるおいがひたひたするかんじで。

若干出遅れ感がありますがあけましておめでとうございます。
昨年はいろいろぐだぐだになってしまった点も多いですが、そこんところ回収しつつがんばっていけたらなあと思う所存です。
思うだけ!思うだけならfreeとか!
ああもう!はんせいしろ自分!
…まあぼちぼちね。
お屠蘇的なテンションですね!


復帰の肩慣らしとしてSFの話でもすっか!

…あれ研究に近づいてなくね?というツッコミは野暮ってもんです。

今日紹介するのはコニー・ウィリス著、大森望訳で早川さんちの『犬は勘定に入れません あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎』です。
べったべたのSFミステリコメディだぜ!

犬分高め。
さらにそれを上回る猫分。
ミステリといっても人死にはほとんど出ないし、SFといっても宇宙人も出ないので、あまりSF読まないひとをSFに引きずり込むのにうってつけ!

…なのですが、うちの母には「横文字名前の登場人物が多すぎ」というせつない理由で拒否られました。
こんなしょんぼりな拒絶ってないぜママン。

横文字名前の登場人物がきらいでないひとは、ぜひ読んでみてくれたまえ!


というわけで、詳細な感想にれっつごー!

発達障害を専門にしてる同期から『くらやみの速さはどれくらい』返ってきた。


……「忙しくて読めなかったー」というコメントで。

本読みが一番へこむコメントktkr!!!

………へう。
まーあれですよね、うちらえすえふとかなまぬるいこと言ってないではくろんというおそろしいふぁんたじーに挑まなくてはなりませんからねー。
ですよねー。

まあわかってたんですよ。そいつが読書なんかするクチじゃないってのは。
でも、発達障害を研究してるひとにこそ読んでもらって、どう思うのか聞きたかったからこそ、わずかな可能性に賭けて貸したのになあ…
よーするにわたしは「賭け」に負けたわけだ。
めげるな本読み。
これくらいでめげていては、本読みなぞやってられない。
ましてはサンリオSF文庫を喜ぶような少数派本読みなぞ。
ええ、めげませんとも。

他に発達障害を研究してて本の貸し借りができそうな友達がいないので(友達いない子ですので)、別の本を貸した同期に読ませてみようかな。
そいつは『天使の蝶』を読ませてけっこー受けたから可能性はあるかもしれん。
……はくろんのじゃまにしかならないとかきーこーえーなーいー。

そういえば自分でも最近SFというか趣味の読書するもの買ってないや。
潤いのない生活だ。

SFといえば、こないだの海外出張の帰りに飛行機の中で『2001年宇宙の旅』を観たのはよかった。
古典だしオチ知ってるしで普段ならどうってこともないかもしらんけど、機内の中途半端な浮遊感と揺れが、あたかも作中の宇宙船内にいるような幻想を手助けしてくれる。
機内で宇宙モノを観るのはなかなかオススメね。
晴れた日ならいっそ『ベルリン 天使の詩』とかで人間を見下ろす気分を味わうのもいいかもしれない。
だが旅行気分つながりとかでシベ超とかは遠慮したい。
それ以前にシベ超を入れてる航空会社なんてない。

実験始まったし、折を見て古典SFでもてきとーな古本屋さんに仕入れに行こう。

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