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めもめも ...〆(。_。)

認知心理学・認知神経科学とかいろいろなはなし。 あるいは科学と空想科学の狭間で微睡む。

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なんかテンションが低いというかモチベーションが残念なかんじに。
こういうときは論文でも眺めるに限ると思ったらFirefox内のアクロバットリーダーがなんかエラーはいて論文おとすことすらできないとか。
今日はもうとことんだめな日だな。
とりあえずアドビの公式トラブルシューティングを貼る。
http://kb2.adobe.com/jp/cps/230/230411.html
なんかもうぐだぐだすぎる。

今日気になっていた論文の1つがこれ。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22061174
論文が読めてないので詳細は不明ですが、しぬほどざっくばらーんに斜め読みすると、「片側だけじろじろみたら合衆国の50の州の名前と位置を覚えやすい」ということ・・・?
なんでそんなローカルネタなん。
いやそれよりもびっくりなのが、アブストの最後の一文「
Results support an overall deficit in US geographical knowledge in undergraduate college students.」でしょう。
それはつまり、メリケンの大学生(の一部)は自国の州がわからんというのが問題になっているということなのか・・・?
日本でいうなら、「ゆとり大学生は47都道府県がちんぷんかんぷーん」ということか。
いや知らんけどね。日本の大学生がどれくらい地理知識あるのかとか。
だから「ゆとりですけど都道府県くらいちゃんと言えます」というクレームはなしにしてね。喩えだからこれ。
そもそも、この最後の展望を述べるあたりで、「地理学習に困難を覚える児童生徒に学習の一助となる方法となるかもしれない」的な一般的希望を述べるんじゃなくって、メリケン&大学生という制限をわざわざ課しているのも気になる。
まあ得られた結果や考察が容易に一般化できるものではないというのは承知しているのだけども、展望の時点でそんなあきらめまくってていいんか。

まあそれ以前に、前提としてのUnilateral gazeというやつとそれが有効であろうという論拠がちょっとよくわからん。論文に書いてあるんだろうけど今日はこの体たらくだしなあ。
アブストのイントロ的に、日本でいうところの右脳左脳くささを感じてしまうんだけど大丈夫なんだろうか。
片方の視知覚インプットは反対側にいく→地理記憶の関与は右半球と左半球とで異なる→片方だけ見てたら反対側の半球を活動させる→それが地理記憶促進
ってこと???
理屈的に大丈夫なのか?反対側の半球が活性化することと地理記憶の関連って何なん?
あと結果的には右側見る/左半球の活動で記憶成績よくなってるっぽいんだけどその理屈がよくわからん。
まあでもそこそこ知れた論文誌だしなあ。
うーむ。謎。

ちょっと気になったんですが、semantic dementiaの和訳が「意味認知障害」「意味記憶障害」「意味痴呆」「意味性痴呆」「意味認知症」「意味性認知症」「意味記憶障害型認知症」とあほみたいにいっぱいあるのはいったい何の罠ですか。
というわけで第1回semantic dementia訳語検索大会。わーわーどんどんぱふぱふー。

まず1回戦。ぐーぐるせんせー。ちなみに“”つきで。
意味認知障害:136件
意味記憶障害:10,300 件
意味痴呆:1,030 件
意味性痴呆:1,790 件
意味認知症:2,780 件
意味性認知症:9,090 件
意味記憶障害型認知症:111件

2回戦。CiNii。
意味認知障害:0件
意味記憶障害:18件
意味痴呆:11件
意味性痴呆:4件
意味認知症:1件
意味性認知症:12件
意味記憶障害型認知症:0件

ということで優勝は「意味記憶障害」でしたー。ぱんぱかぱーん。おめでとー。
とくに優勝記念品などはございません。


ちなみに第2回の予定はない。

なんか呪いの鉛板が発掘されて、期間限定で展示されるというので見てきた。
www.museum.kyoto-u.ac.jp/modules/special/content0018.html
このページのチラシに呪いの文面が載っているよ!
メディアにも紹介されていたらしく
mainichi.jp/select/wadai/news/20101208k0000m040065000c.html
結構人気の展示となっているようだ。

このへんの知識はまったくないが、現物の横にこの研究をしている先生が立っていて、今までの解読の結果を解説してくれるのでおもしろかった。
現物自体は、レシートくらいのおおきさで、そこにびっちりみっちり小さい字で呪いの言葉が刻み込まれている。
ちっさくてもろい(へたしたら粉々になってしまう)ので、保護との兼ね合いから5日間しか展示できないのだそーな。

最初のほうは、無意味っぽい単語が並んでいるようだが、実はその中に呪わしい単語につながるような言葉があり、呪いのために神々を呼び出す呪文になっているんだそーな。
たしか、ニュースにもでてきた「ラブララライン」という呪文の中に、ギリシア語の「呪い」という言葉が隠されていて、「フテ」という呪文の中には「しね」という言葉が隠されているんだそーな。
(ネットスラングの「タヒね」みたいなイメージ?)
他に呪文の「イアオー」が「ヤーヴェ」らしいとか、「サバト」というのも出てくるとか。
こういう神々を呼び出す呪文だけで、ちっさい板の半分くらいが埋まっている。
その後、神様を表す記号みたいなのがあって、神様に呪いを願う文章になる。

もともとちっさい板に書くから字もちっさめなんだけど、最後のほうはスペースがきつきつになっててだいぶ字がちっさい。
勢いに任せて書いたからそうなったのかとも思ったのだが、こういうのは自分に呪いがかかってくるのを恐れて代書を頼むものらしい。
じゃあそういう「呪い文書きます」みたいなおしごとがあったのかねえ。
この鉛板を依頼したひとは、別に富裕層でもなんでもなく一般人だと考えられているそーな。
この時代は、呪いというものがわりと一般的だったらしい。
鉛板自体は、紀元後3世紀くらいのものとみなされるそうだが、紀元後6世紀くらいに、キリスト教が呪いを禁止するというおふれを出したらしい。
つまりは禁止するくらい呪いがポピュラーなものだったということだ。

で、呪いを書き付けた板は、ちっさくおりたたんで、若死にしたひとのお墓に勝手にいれちゃうんだって。
この時代の考え方として、人間には定められた寿命があって、不慮の事故などで寿命を生ききれず若死にしたひとは、定められた寿命の日がくるまで死後の世界にいけず魂としてお墓を彷徨う、とされていたそーな。
で、彷徨う魂に頼めば神々との橋渡しをしてくれたりあるいは呪いを実行してくれたりする、と考えられていたそーな。

また、名指しで呪われているひとの名前も、ユダヤ系だったりローマ系だったりで、当時のテュロス(呪いの鉛板が発掘された場所)はいろんな国のひとがいたことがわかるそーな。
最初この鉛板は紀元後2世紀くらいのものと考えられていたのだけど、今は紀元後3世紀くらいのものと推定されているらしい。
なぜかというと、「(複数の)神々に依頼する」という考えは多神教・ギリシア神話的なものだけど、つい最近、この鉛板の最後が「勝利を、アーメン、イエズス」というふうに締め括られていると解読できたから、つまり呪ったひとはキリスト教徒だったことがわかったから。
「イエズス」という表記は、紀元後2世紀まではぜんぜんなくって、紀元後3世紀になってから爆発的に増えるんだそーな。
だからこの鉛板も紀元後3世紀ごろのものだろう、とさ。

いやーおもしろかった。
ちなみにこの研究はかけんひ基盤Aでされてるそーな。
かけんひってこんな研究にも使われているんだね!
そしてこんなおもしろい成果があがっているんだね!
(with 営業スマイル)

まあそこらへんのネタはおくにしても、後半の呪い願い文の愚痴っぽさ(何回も「彼らに不名誉を!」ってぐだぐだ言ってる)とか、古代でも人間は人間というか、ああにんげんくさいなーっていうのが感じられておもしろかった。
おもっきり時代も空間もへだてた誰かさんのことをにやにや想像できるというのも楽しいものですね。
全然じぶんの研究とは関係ない研究の話をきくのもいいものです。

くちびるの裏に口内炎ができて熱い紅茶が沁みる沁みる。
紅茶は飲みたし口内炎は痛し。
ああ困った。

などとのほほんと紅茶飲みながらネット見てたらなんかおそろしい話が出てるー。
viking-neurosci.sakura.ne.jp/blog-wp/
またネタ元がvikingさんとこでごめんなさい。
ついつい論文チェックがてら見てしまうのですよ。

…そういえば、某がくしんにおいてものすごい採択率を叩き出している研究室が、今年は鳴かず飛ばずだといううわさを聞いたなあ。
「今年厳しいんだなあ」程度にしか思ってなかったけど。
いやなんぼなんでもこのままPD凍結とかないろ。ないわー。
と思いたい。

まあ端的な感想を言うと、「あーはいはいコネのない若手は出てけってことだよねー」というかんじぃー。
とある友人が「脱出されても別に日本が弱くなるだけで、科学が発展することには変わりはない。」と述べていて、そう言われればそうだよねーという気もする。
問題は、コバエのようなわたしにも親兄弟がいることですかねえ。
まあ他人の幸不幸なんぞ知ったこっちゃないというのが現実でしょうが、「海外行けば?」とかる~く言ってくれるひとはいっぺん自分も行ってみて親兄弟に泣かれてみればいいよ。
とちょっと毒を吐いてみたり~。
所詮コバエの羽音だし。

ちきせう何が何でも生き延びてやる。


これだけではただ毒吐いただけなので、神経科学関連の報道でびっくりしたことを書いておく。
www.gizmodo.jp/2010/11/post_7904.html
TMSの応用で、右利きのひとを左利きにできるよ!と言ってる。
論文どころか研究者の名前すらかいてないなーと思ったら下にPNASのリンクがあった。
しかし「一瞬で利き手を本能的に変えられるようになる」って記述はどうかと思う。
「本能的」ってなんだよ。
あと「一瞬」ってどういうことかーと思ったら、(TMSうつブロックの)各トライアルの始めにシングルパルスでうつらしい。
この書き方だと、「一回TMS受けたら右利きが左利きに変わっちゃって戻らないかも!?」なんて危惧を持つひとが出ないかな。
出ないか。出ないよね、そんな斜め上発想。
と思いたい。

しかし「頭にゴツい装置をあてがうのはなんだか恐ろしい」と書かれててワロタ。
TMSじたいはそんなにごつくないけど、まあ、びびるよね、うん。

これ元記事もこんなんなんかなあと思って米版見たら、煽りこそあれ詳細がのってる科学記事で苦笑いした。
しかし最後のパラグラフのはっちゃけっぷりは米版のほうがひどいな。
「もしTMSで脂っこい食べものよりも健康な食べもののほうが好きになるよう変えられるとしたら?もしTMSで宵っ張りを早起きさんに変えられるとしたら?
安易なTMS研究の乱発はホラーだよ!」
みたいなことが書いてある。
どんだけTMS研究者の倫理疑われてるんだよ。
てゆーかそんなこと現実化するのすげー大変だよ。
そもそもTMS実験は「非侵襲」が売りだから、長期的影響が出るような実験なんて(臨床目的ならともかく)やらない(やれない)のに(多分)。
科学成果の報道って難しいなあ。

とりあえず「ごはんのまずい国のコックをみんなTMSでおいしいもの作れるように変えれたらどんなにいいか」というひどいジョークを言いたくてしかたがない。


同じサイトでブレインマシンインターフェイスネタがあったからひろっておく。
www.gizmodo.jp/2010/10/brain-mind-pc.html
こっちはもう2週間ちかく前の話なのね。
NICTとATRの共同研究なのか。
NICTのプレスリリースも貼っておく。
www2.nict.go.jp/pub/whatsnew/press/h22/101020/101020.html
MEGで20msで反応っていうのはたしかにすごいな。
・・・と思ったら、「ユーザがさまざまな方向に指先を素早く動かしているとき(0.4秒ほどで一つの動作が完了する動き)の脳活動から、指先がどこにあるかを0.02秒の時間間隔で再構成することに成功しました。」って再構成じゃーん!
オンラインじゃないんかーい。
いやこれは早とちりしたわたしが悪いな。
しかし訓練なしっていうのがすごい。
AdaptationだろうとDecodingだろうと、分類ものはたいてい地獄の訓練試行がつきものなのに。
「結果が出ないのは訓練されていない被験者だ! 結果が出るのはよく訓練された被験者だ! 本当MRI分類研究は地獄だぜーフゥハハハー(ry」ってかんじなのに。

んが。
MEGですよ。
外をトラックが走るだけでデータがだめになるというウワサのMEGですよ。
(これは数年前に聞いた話なので今はもうちょっと安定してデータがとれるのかもしれない)
これをしていきなり「考えるだけで操作ができる機械」には直結しないよーっていうのは承知しておいてほしいですねー。

昔、侵襲型BMIの映像を見たのですが、患者さんすげー脂汗かいてたのなー。
やっぱ操作にはすんげー負担がかかるらしい。
電極つけてることで感染症の危険もあるし。
非侵襲型BMIの開発が望まれるのはよーっくわかるのですが。

そもそも、MEGやfMRIで「ある程度」のことを解明するのは必要だけど、これだけじゃあ非侵襲型BMIにならないのよなー。
いや、BMI研究者はみんなわかりすぎるくらいわかってると思うけど、非研究者ですぐに「じゃあ実用化!」って思うひとがいるかもしれないから念のため。
理由は簡単で、MEGやfMRIは維持費がかかるばかでかい装置だから。
持ち歩けない。
あと磁力の関係で近くに金属類やカードなど持ち込めない。
そんな装置では「念じただけで自在に操作できるケータイ電話」なんて作れないでしょう。
これはもう、工学屋さんあたりがすごい発明をしてくれるの待ち。
なんとかなりませんか工学屋さん。


しかしあれですな。
神経科学ニュース、前者より後者のほうが説明がちゃんとしてるかんじなのは、やはり日本語プレスリリースがあるせいなのか?
ひょっとして科学英語ちゃんと読める人材足りてないのか?
とへんな危惧をしてみる。


と、まあ、ニュースに踊らされるだけ踊らされてみた。
研究と社会がうまくおつきあいしていくのってむずかしいなー。

おやつを食べながら(ほんと食べながらものを考えてるときが一番あたま働くよな。あとおふろ入ってるときも。誰かおふろで使えるメモとかPCとか開発してくれないかな)、思ったことをめもる。

さっきの「倫理的問題」について。
古典的にはやっぱ「フーコー的権力構造」の話なんだと思うけど、神経科学そのものが新しいために、フーコーっぽい議論が(日本において)尽くされていないのだと思う。

このへんについて(たぶん)日本でいちはやく論じたのは美馬達哉先生だと思う(本を検索しやすいようあえて実名)。ってか生権力って言ってるし。
とりあえずそれっぽそうなののリンクはっとく。
www.jimbunshoin.co.jp/rmj/ethicstop.htm
だがそこらへんの議論が裾野に広がってないのはなんでだ。
というのが下々のものとして考えるべき問題でもあるな、と。

やはりフーコーっぽいのってやや越境学問なのか?
はたして下々はどうすべきなのか。

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