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めもめも ...〆(。_。)

認知心理学・認知神経科学とかいろいろなはなし。 あるいは科学と空想科学の狭間で微睡む。

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本当言うと、個人的にはこれは「びっくり」に入らないんだけど。
ATR神谷研のとこのデコーディング論文がニューロンに掲載されたのが、日本マスコミでとりあげられてる。
http://www.asahi.com/science/update/1210/OSK200812100100.html
http://it.nikkei.co.jp/business/news/release.aspx?i=207457
「びっくり」したのは某あ…しんぶんで1面に載ったこと。
ああ、デコーディングってそんなにインパクトあるんだ、という再認識。
いやまあわたしもワクテカしたクチですから。
あとどうでもいいけど紙面のほうでは「京都民間研究所」って言ってた。
あそういう言い方するんだ、というのもかるいびっくり。

ちなみにATRのプレスリリースは↓
http://www.atr.co.jp/html/topics/press_081211_j.html
てきとうに検索してでてきたやつをぺとり。
http://slashdot.jp/~n_ayase/journal/460943
あーあーやっぱそういうふーな反応になるのか。

以下雑感。
つーかせっかく論文が手に入る身分なんだからこれをがっつり読んで知り合いに教えられるレベルに勉強しとくのもよいかもしれない。
とりあえず非科学的な感想だけ書いとく。


いきなり「脳の中を見れてしまう、というのは少し怖い」的な感想がくることについて。
いやいきなりそれかよ、と「こっち側」のひとは思うだろうけど。
でも、たぶんそゆことを期待してるひとが多い気がする。
「心理学とか(とくに大脳らへんの)神経科学で、ひとが何考えてるのかわかっちゃう」
ということを。
ソースはない。

ただ、学部のとき研究と全然関係ないバイトをして知り合ったひととの会話で、
「あらー学生さんなの?就活は?」
「いえ研究したいんで大学院に進学するんですよ」
「へえーすごいわねー。何の研究?」
「あー…(口ごもる)心理学なんスけど…」
「へえーすごいわねー。それじゃあわたしの考えてることなんてお見通しね!」
「いやそーゆーのはちょっと…」
なんてのがざらにあった。
(言うまでもないがこの例の相手はほめてのばすのが得意なマダム先輩なので、何に関しても「すごいわねー」的なことを言う。いやこーゆー反射的にポジティブなひとがいてくれるからわたしのようなヘタレでも働くことができるってゆか心の削られる現場だったんだけど。閑話休題。)
うちの弟なんか、わたしが「記憶の情報表現」に関わる研究をしているというだけで、(わたしの貢献度が以下に微々たるものかわからないという点を考慮したとしても)「早く(攻殻機動隊の)電脳つくってよー」なんてギャグを言う。
だから、「一般」の方は、ワレワレが「まだあなたの考えてることなんてちっともわかりはしない」と発言することに不満を持つんじゃないだろうか、と予測される。
まーもちろんそれは「最終目標」にあげてよいと思うんだけど。

そうゆう個人的なソースとかネット上の反応とか「空気」とかそんなんを上記のように解釈したとして。
それプラス、
「ワタシタチにはわからないのに研究者側で“勝手に”考えてることをわかられてしまうのは怖い」
という漠然とした不安を持ってるひとも少なからずいるんじゃなかろうか。
それこそ攻殻機動隊の「電脳ハック」みたいなイメージで。
このことが的を射ているかいないか、実はすげー気になる。
なので、ここをみているひとでしんせつなひとは個人的にでもいいから「そんな不安ある!」または「いや無いよ」をわたしに教えてくださるとさいわいです。
ある意味これも科学哲学?
いや、科学倫理学のほうか?

わたしのような青二才にわかる範囲でいうと、その「不安」ってやつは“現段階では”まったく的外れだと思う。

理由その1。
今回示せたのは「何を見ているか」だけ。
まだ論文読んでないから確かなことはいえないけど、「初期視覚野には網膜に映ってるものにわりと対応する部位がある」ということを利用して今回の結果は得られたはず。
わかりやすく喩えると、網膜にうつってるもの(=みてるもの)が、方眼紙の枡を塗って作った塗り絵みたいなイメージで、うしろあたまらへんののうみそがその方眼紙を再現してる、ってかんじかな。
ちなみに現段階ではこの塗り絵に色はついていない。
色に関してはもちょと別の場所っぽいといわれているから。
とはいえ、その色に関しても、初期視覚野つまりうしろあたまのほうだけじゃなくて、もっと耳側とかあたまのてっぺんらへんとかも関与してる可能性がある。
つーか、「方眼紙」以上のことは、まだ確定的なことは何もいえないと思う。
「見る」という機能だけでこれだ。
(音に関してどうなのかはちょっとわからんです。ごめんなさい)
だから、「なにをかんがえているか」なんてそんな難しいこといきなりは無理だ。

理由その2。
そもそもこの研究ですら、事前に同意を取っているはず。
(同意とってないとふつー有名な論文誌はのせてくれない。)
協力してくれるひとにだまって勝手なことしちゃいけません、という国際的な宣言があって、研究者はほとんどそれを厳守している。
(まーそれを守らなかった研究者が以前ニュースになったことがあるような気がするけど、それは「違反」として報道される。そゆレベル)
だから、脳を調べさせてくれているひとの同意なしに研究はできない。
「勝手に」お見通しとかはこの宣言を守る限り不可能。

理由その3。
理由の2が成立する理由のうちに含まれると思うけど、この研究はMRI装置を用いたもの。
MRI装置にはいったことがあるひとなら知ってるだろうけど(みたことなかったらてきとーにぐぐってください。画像権利関係わかんないのでここでは貼りません)、あれってかなりでかい。
しかも磁場をつかうもんだから、金属厳禁ときた。
こんな装置でようやく「方眼紙」がわかるのだ。
逆に言うと、こんな装置じゃないとわかんない。
もっとすげー小型化してさらに周囲への影響をすげーちっさくしないと、同意書つきの研究以外で(宣言違反だけど)脳を調べるなんて無理。
脳ハックとか無理。
イーガンなんか読んでると、「超小型MRI装置」とか出てきて脳の情報がどーたらこーたら(まあ脳に限らないけど)って話になるけど、もうしばらくMRI小型化はしんどいと思う。
あ、言い忘れてたけど、MRIつかった研究って、「あたま動かすとちゃら」なんですよ。
詳しい説明はめんどいので省きますが。
だから、「どーしても不安だ!」ってひとはあたま動かすとよいと思います(なげやり)。
数ミリあたまうごかされただけでもそのデータつかえないのが現状なのに、勝手に脳ハックとか無理っす。
むしろ数ミリくらいならあたまうごかしても大丈夫だよ!ってなくらいロバストな方法開発してください。

これをまとめると、
「すげー小型で周囲に影響しなくて多少のあたまずれとか修正できちゃう高性能すぎる夢の測定装置が開発されて、“考えてること”ってそもそも何?ってゆーある意味哲学的な疑問も解決されてそれが市場に出回ったら、勝手に考えてることを見通しちゃうひとがいるかもねー」
と。
これがどんだけむずかしーかは、ちょっと考えてもらえばわかると思います。
高性能装置とかどうやってつくったらいいかわからん。
そもそも「考えるって、何?」に答えられる(しかも万人共通の答えを出せる)ひといます?
もし答えられるひとがいたらこっそりわたしに教えてぷりーず。それで論文書くから。

ま、そゆわけで、例の不安は杞憂です。
そんなことほっぽらかしといても、この論文はすごいしおもしろいので、ちゃんと読んでみようと思います。
15ぺーじか…実験論文としては長いな…
…ううぅ、がんばる…

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