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めもめも ...〆(。_。)

認知心理学・認知神経科学とかいろいろなはなし。 あるいは科学と空想科学の狭間で微睡む。

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学会まとめと思わせといて論文れびゅ。
まあなんでかっていうと、その3には視覚情報デコーディングの会がくる予定だからですね。
かみのおみちびき的偶然で、れびゅ書きかけだったり読みかけだったりの論文著者がめじろおし。
(そりゃそんなせまい話題だったらそうなるだろ、ともいえる)
せっかくなので論文れびゅしてから学会まとめしたら、わたしのへっぽこリスニングも多少は補えるか

なーという次第。

というわけで。
デコーディングものの論文をじっくり読んでみようと思います。
思うだけなら自由です。思うだけなら。
工学的なことにはもうさっぱり素養が無いのですげーへっぴりごし。

というわけで、知り合いのえらいひとがなんか言ってたり某神経系有名ブログでもちょこっと紹介され

てたりする論文を読みたいと思います。
なにこの逃げ腰。

読みますのは、
Timing, timing, timing: fast decoding of object information from intracranial field

potentials in human visual cortex.
 Liu H, Agam Y, Madsen JR, Kreiman G.
  Neuron. 2009 Apr 30;62(2):281-90.
というものです。
これにSupplementaryが30枚とかあってたいへんです。
あとWebで見られるSupplementaryとかある。
klab.tch.harvard.edu/resources/timing_timing_timing/index.htm
図が24個。
もうめげそうです。
でもできる限りのことはしてみようと思います。

さっくりばっさり言っちゃうと、「ヒトんあたまん中に電極刺して、そのデータからどんなものを見ているのか予測してみたよ!」という。
な、なんて野蛮な!と驚くひともいるかな?
これは、重症のてんかん患者さんが、もーどーしよーもない、このまんまじゃ生活していけない、ってなった場合に、じゃあある程度差しさわりがないようにてんかん病巣のとこののうみそ削っちゃいましょうか、という手術をすることになって、「どこを削るとヤバイ(重篤な障害が出そう)か」あらかじめ調べて、あんましヤバくなさそうな病巣を切除しましょう、って手続きが必要になるから、その調べる手続きに関連して行われる実験なのです。
ちなみに日本ではやらないんだっけ?(うろおぼえ)
このての研究はたいがいアメリカでされます。
今回もアメリカ。

まあ国が違うと倫理規定が違う、っていうのはヒトを対象にした研究をしてるとちょくちょく直面することで、たとえばTMS(あたまに磁気をあててのうみその活動を一時的に抑えたりするもの)は日本では医師の監督の下でしか使えませんが、イギリスとかだとそーでもなかったりする。
それの善し悪しは勿論あるだろーけど、今回それは議題ではないんでひとまずおいておきます。

では論文のなかみの方をば見ていきませう。




まずはSUMMARYから。
よーするにアブスト。
どーでもいいけどCell PressゆえにMethodsうしろな構成。
実はこの構成あんまし好きくない…だってめどい。
実験屋としてはやっぱMethodsが気になるもんにゃー。

そこはともかく、サマリ。
視点変化してもオブジェクトはオブジェクト(横から見ようと後ろから見ようと上から見ようと、やかんは「やかん」としてとらえられる)よね。
しかも数百ミリ秒ぐらいで(やかんなら「これやかんだ」と)わかる。
こーゆー現象を、初期視覚野からのボトムアップ経路と、もっと前のほうからのトップダウン経路のフィードバックでかんがえよー。
というわけでてんかん手術の際に電極さしてきますた!!!
やっぱ側頭葉だいじ!

とサマリのサマリ。
ほんとはもっとこまいことも書いてるけど、後述するのでほっとく。

ではイントロへ。

まず視覚認知の「恒常性」的なことをつらつら述べてる。
恒常性ってのは、さっきのやかんで言うと、朝のあおっぽい光の中、ふとんからみあげるやかんも、昼ごはんのしろい光の中お湯を沸かすために見下ろすやかんも、夜の暗い光の中棚にしまうため横から見るやかんも、それぞれ色やらかたちやら大きさやら違って見えるのに、全部おんなじ「やかん」だと認識しますよね、ってこと。
んでもってそういう「やかん」という認識するもの(オブジェクト)単位での選択的活動を示すのは、なんか側頭葉のほうですよねー、とヒトやサルやらの一連の研究を紹介。
んで、これを説明する理論はおおざっぱにわけて2種類。
(1)トップダウン・フィードバックがだいじ派
(2)ボトムアップ・フィードフォワードがだいじ派
ちなみにわたしがscene研究でよく引用さしてもらうVanRullenやThorpeは後者のグループらしい。
わたしの周囲にはsceneはやらないけど理論的にだいじなのは前者だろー的なひとが多いので、わたしはscene研究で前者的なことができないかなー、どーかなー、と思ってるんだけど、はっきし言ってマイノリティっぽい。しょんぼり。
閑話休題でした。
んで筆者らの結論:どっちもだいじじゃね?
…それってなんかずるくね?
いやまあどっちもだいじですよね!わたしもそう思いますよ!
んで筆者らは、トップダウンとボトムアップの両方で、それが起こってくる場所とタイミングを調べて、両者の役割を考えよう!と提案するわけです。
タイトルで「だいじなことなので3回言いました」的扱いの「タイミング」がここでもう出てくるわけですね。
ほいで脳部位・タイミングに関する先行研究紹介。
マカク(ニホンザルとかの仲間)やったら、オブジェクトの画像出してから100ミリ秒以内に、下側頭皮質が選択的活動を示しますよ、とか。
(あ、「選択的活動を示す」って言い回し、非研究者の方にはなじみがないかも?
よーするに、「特定の何か(上の例でいうなら「やかん」)にだけ反応して、他のもの(やかんじゃない何か。コップでもおたまでもフライパンでもなんでもいいけど)には反応しませんでしたよー」っていうのを「選択的活動を示す」とかいうわけです。
何に対して「選択的」か、っていうのは実験で調べるわけです)
んでヒトの場合やと、EEG(いわゆる「脳波」ってやつです)で画像提示後150ミリ秒以内に選択的活動のシグナルがでますよー、と。(Thorpeらの1996年のやつですね)
でもEEGって時間は正確でいいけど、場所がようわからん。
あと顔選択性のが側頭で200ミリ秒以内でしたよー、とか。
ヒトの単一ニューロンの電極で記録するやつで、内側側頭葉だと200から500ミリ秒の潜時(よーするにあとで出て来よるってこと)があったよー、とか。(内側って言うても海馬も内嗅皮質も扁桃体も海馬傍回もみんなごっちゃですけどねーって書いてあった。シングルレコーディングでなんでそんなおおざっぱ?とか思うけどヒトだしよくわからん)
こんな様子ではどのシグナルがボトムアップでどれがトップダウンかよくわからん!ということで、200ミリ秒よりあとのシグナルにはフィードバックものの影響がでかいだろう、という判断をしましたとさ。
んで、どーゆーメカニズムがはやくてまちがえない視覚認知を可能にしているのかしらべまっせ!とさ。
そのために、てんかん手術前の患者さん11人の頭蓋内・硬膜の下に電極912本おきました。
ほいでもって、その信号の「選択性」「不変性(ようするにばらつかないかどうか)」「はやさ」を調べたぜ!
対象とする部位は後頭葉と側頭葉。
特に、下後頭回、海馬傍回、下側頭皮質なんかはオブジェクト選択性がつよかった。
たいがい画像提示後100ミリ秒にシグナルでてたしー。

というわけでResults、結果を見ていくぜ!

Object Selectivity in Human Visual Cortexという段落から。
被験者は11人。うち男性6人。右利きは9人。12歳から34歳。
(うわ…12歳で開頭手術ってきつくね…?)
5つのカテゴリ(「動物」「いす」「ヒトの顔」「くだもの」「乗り物」)に属するオブジェクトの白黒写真を見せます。このへん詳しくはWeb図のS1B参照。
図は200ミリ秒提示、インターバル600ミリ秒あけて1バック課題(1個前のオブジェクトと今見えてるオブジェクトが同じものか違うものかを判断する)をしてもらいます。このへんはWeb図S1A参照。
んで48から126の頭蓋内電極から電位を記録します。(詳しいことはExperimental Procedures見ろってさ)
んで結果の例が本文図1ですよ、と。
図の上半分のは、左の側頭極(たらいらっは略)。
くだものカテゴリに選択的活動を示しています。
「選択性」を示すために、筆者らは画像提示後50ミリ秒から300ミリ秒までの間で、最大電位と最小電位をひろってきて、
反応電位=(最大電位)-(最小電位)
みたいな定義をして分析します。
なんで300ミリかっていう議論割愛(ほぼ引用だし)。
まあでも300ミリ秒過ぎても選択性ちゃんとある場合もあるよってSupplementary図S1EとFで言ってる。
「反応電位」を違う定義にして検討するのはSupplementaryの図S3とか見ろってさ。
(なんでこんなSupplementaryメインやねん、とちょっとイラッとくるけど、まあそれがHigh IFで短い記事の宿命なんかもしらん。
未だ議論の多いデコーディングなんかを扱う場合は特に。)
さて。
本文図1Aみたいな反応電位を、カテゴリを要因とする1要因分散分析にかけてみたら、p値が10のマイナス6乗くらいで有意でしたとさ。
つまりカテゴリ選択性がある、と。(あれ?下位検定は?)
この選択性は反復しても、同一カテゴリの違うオブジェクトでも残りましたよ、とさ。
んでもって、反応電位が高い順にオブジェクトを並べてみたら、上位5つがみんなくだもの5つになってしまったぜ!こいつはくだもの選択性が高い!とな。
(本文図1C参照。ちなみに分析はブートストラップ)
他の例、図下半分。
これは左下後頭回(例によってたらいらっは略)。
こいつは顔カテゴリに反応するよー。
他の例は図S1D-Gとか見てねー。
ここまでは「ふつー」のカテゴリと神経系のやりかたですね。
ここからが本題。
大抵の神経系の研究だと、何回かの反復の平均をとりますけども(ブロックデザインで反応をプールするようなかんじ?)、本来、のうみそは反復じゃなくて、その場勝負の活動をしているはず。
何回もものを見なくとも、一発でそれが何かわかるやんね?ってことですな。
だから。
「一発で」カテゴリ分類ができなくっちゃ!
ちう目的のもとで統計学習的(つまり「機械学習」ってことか)アプローチをやっちゃうぜ!
というのが今回のミソ。
本文図1Dは、くだものが出たときの反応電位と、他のカテゴリのオブジェクトが出たときの反応電位。
図1Eは、そのROC曲線。
筆者らは、support vector machine (SVM)の分類を用いまして
(出た!ってかんじですね。ねこもしゃくしもSVM。早くこのへんの勉強したほうがいいのかもうツール

ボックス的なものに丸投げでいいのか疑問)
1試行のデータでそれが選択的特異性を示すカテゴリ(この例だと「くだもの」)を検出できるかどーかやってみた。
選択性を決めるほかの方法として、反応電位の1要因分散分析、point-by-point分散分析(なんだこれ?手元にある論文が引用されてるからあとでしらべよう)、Bishop (1995) の統計学習の3つで選択的特異性を示すカテゴリを検出してみたよ!
(いやだから分散分析じゃなくて下位検定はどうしたのよ)
そしたらぜんぶ結果いっしょだった。
うわーい!
このへんSupplementary参照。
それと、ちゃんとSVMの学習に使った試行と、分類パフォーマンスを調べる試行は別にしましたよ。
図1AとFに出した例でいうと、分類パフォーマンスはくだものカテゴリで69%ぐらい、ヒトの顔で65%ぐらいでしたよ、と。
んで、ぜんぶで912本の電極から記録したわけですが。
(あれ?さっくり被験者間みたいに言ってるけどいいのか?)
分類パフォーマンスがチャンスレベル(てきとーこいて偶然正解する確率)以上かどうかを確かめるために、カテゴリ名ごっちゃになるように、手続きを並べ替えたのもやってみた。
ブートストラップ的に、平均値から標準偏差の3倍以上離れてるのを帰無仮説として(Supplementaryの図S2A参照)。
それでも、どの被験者においても、少なくとも1つ以上の電極は選択的特異性を示しましたとさ。
電極の67%は、特定の1つのカテゴリに選択性ありましたとさ(Supplementaryの図S2B参照)。
逆に、カテゴリごとに選択性を示す電極の数を見てみたら、ヒトの顔に選択的な電極が一番多かったとさ(Supplementaryの図S2C参照)。
(なんかこの「ヒトの顔に選択的活動示すニューロンが多い」ってのは社会脳がうんたらかんたらで一気にめばえさすことも可能だな、とふと思う。やんないけど)
このカテゴリに対する選択性のばらつきは、一様ではない。
(そりゃーそもそものカテゴリ設定が一様ではないからでしょ、と実験心理屋さんはつっこみたくてしかたがない)
んでも、「特定のカテゴリにのみ選択的活動示すニューロンがある」=「特定の領域のみが特定のカテゴリ情報を処理している」わけじゃないよね!という念押しが入ってます。
分類パフォーマンスは58%から82%。平均は61%。SDは4%。
(これ結構「うしろより」な分布だなーと思っちゃったり)
他の分類やら反応電位の定義やらつかってもだいたい似たよーな結果。詳細はSupplementaryの図S3とか参照。
そんでもって、「カテゴリ」と名乗るからには、特定のオブジェクトにのみ反応しているんじゃないよ!と。
たとえばカテゴリのくくりを外して、てきとーな5つのオブジェクトで1つのグループを作ったとしても、そのグループには選択的活動示すものないよ!ってさ。このへんもSupplementaryです。
じゃあオブジェクトの低次知覚情報に反応してるだけじゃね?って可能性を検討するために、輝度とかと反応電位に相関があるかみてみたよー。でもどってことなかった。(このへんWebの図S9くらい?)
んで。
全体の12%、つまり111本の電極が選択性を示したんですけども。
それは特定の部位に偏ってるとかじゃなかった。
内訳は後頭葉35%、側頭葉14%、前頭葉7%、頭頂葉4%でした。
(あれ?前頭より頭頂のが少ないの???
やっぱそれはdorsal/ventral pathwayとかそんなかんじなんだろうか?)
電極の位置をはっきしさせとくために、術後MRIも撮っときましたよ。
こまけーのはSupplemantaryの表S2を参照。
部位の内訳は、下後頭回の83%、紡錘回の38%、内側側頭葉の海馬傍回の一部が26%、中後頭回の22%、舌状回の21%、下側頭皮質の18%と、側頭極の14%でした。
(これややこっしいけど、特定の部位にある電極中何%が選択性持つかの割合なんだよな…)
こまいのはSupplemantaryの表S1を参照のこと。
はてさて、これまでは個々のニューロンの選択性の話ばっかりでしたけども、神経系の情報表現といえばアセンブリ的な集団のもの。
じゃあその集団をカテゴリ内の分散の割合を示すrv値ってやつでくくって、集団での分類具合を見てやろうってのがSupplementary図S4。
集団つくるときのデータは機械学習時のデータな。
そうやってできた11本の電極の集団、なんと分類パフォーマンスが74%から95%になったよ!
「5つのカテゴリのうちどのカテゴリに属するか」という分類のしかた(これまでは「当該カテゴリに属するか否か」の分類)でも、図S4Bに示すように60%近いパフォーマンスだよ!この分類課題だとチャンスレベルは25%になるのに!
でももっとたくさんの電極の集団を考えるなら、もっと複雑で非線形の分類を考えなくちゃなんないし、部位間の相互作用とかも考慮せないかんよねー。
とりあえず、部位で集団まとめてみた。Supplementary表S1参照。
本文図2で示すような、分類パフォーマンスが高い部位は、下後頭回と紡錘回と舌状回と海馬傍回と下側頭皮質でした。部位の詳細はさっきも言ったけどSupplemantaryの表S1を参照。
んで、部位ごと(っても「側頭葉」「後頭葉」というざっぱな分け方)に分類パフォーマンスまとめてみたらSupplemantaryの図S5みたいになった。
側頭と後頭に選択性を持つものが集中していることがわかる。

じゃーこっからは、Timing of Selective Responsesという段落!
せっかく電極ですんげー時間解像度いいから、それを強みにした分析をしよう!だとさ。
そりゃそーだよね直ですもんね硬膜。
手続きはThorpe et al. (1996)のEEGなやつにならいます。
(1)Brigham and Women's Hositalの患者さんは2msずつで、
Children's Hospital Bostonの患者さんは3.9msずつで、
それぞれビン(範囲)を設定し、反応電位をオブジェクトカテゴリを要因とした1要因ANOVAにかけて、p< .01になるのが25連続した電極を「選択的」と定義  
(2)おんなじよーな分析でp< .01になるビン10連続するがもっとも早い時点を「潜時」と定義(FigS6A参照)
フォールスアラーム減らすために25, 10, 0.01 represent conservative cutoff(だめだなんのことか
わからん)の閾値パラメタ設定したんでFigS6B&C参照のこと。
まあこの定義づけでふるいわけられた電極は94こ(さっきは111こ)。
カテゴリをシャッフルしてしまうと0こ。
(つまりカテゴリ関係なく反応しまくってる電極はなかったわけだ)
潜時の分布はFig.3Aに。
だいたい115±44msが平均。
下後頭回(表S2のarea14)の反応は側頭葉(Fig.S6D)のよりも早い。
(後頭なんだからあたりまえじゃね?と思うがいかがか)
んで、デコーディングできる最も早いポイント探してみた。
25ms枠でSVM classifierかけてみたってのがFig.3B。
(枠を25msだけじゃなくて50msや100msにしてやってみたのはFig.S7A~Cにあるよ)
なんと100ms以前のとこでもデコーディングできるよ!
(つーかグラフみたらパフォーマンス最大値は200ms以下のとこ)
これってマカク下側頭の研究とかヒト心理物理学研究とかヒトEEGの研究とかと整合性あるんじゃね?やったあ!
ってかんじ。

はてさて次はInvariance to Scale and Viewpointという段落。
まあ段落のいうとおり、そして冒頭で述べたとおり、わたしたちが何かを認識するときって、見た目の大きさ(戸棚を覗き込んで視野いっぱいにひろがるやかんも、運動場の片隅にぽつんと置かれていてちっちゃく見えるやかんもみんな同じ「やかん」)や見る位置(上からみたり横から見たり)が変わってもちゃんと(「やかん」とか)認識できるわけですね。
(つまり、単に入力された視覚情報の類似性だけで分類してるんだったらオブジェクトカテゴリを分類してるってことにはならない。)
まあそんなわけでオブジェクトの大きさと視点を操作してやってみたよ、と。
視点は左右45°とか90°とかの回転。
大きさは基本が視角3°のとこ1.5°とか6°とかにしてみた。
サンプルなんかはFig.S1Cね。
でまあ一例をFig.4Aに示すように、ちゃんと大きさとか視点とか変化しても選択性保たれましたよ、とさ。
この電極はヒト顔選択性で右の中側頭回の海馬傍回寄りのとこ(タライラッハでいうとこの32.6, -34.8, -13.6)
(どうでもいいけどタライラッハって言うの日本人だけなんですか?
イギリス人か誰かはタライラックって言うらしいんだけど。
どんだけドイツ語弾圧したいんだよおまえら。
英語圏はあとラテン語も弾圧するよねー。
そのくせフランス語はフランス語読みとか。
英語圏の意図がわからんわ。閑話休題。)
この手の電極は、繰り返し提示しても、exemplarを変えてみても、変形してもカテゴリ選択的反応したよー(Fig.S8参照)。
さすがだなー。
カテゴリごとにROC曲線あてはめてみたらFig.4Bみたいなかんじっす。
変形してもちゃんと弁別できてるっぽい線でっす。
ちなみに基本の図だけで訓練したSVMで変形した図を分類した(手続きんとこ参照)。
ほかの訓練セットでも結果は似たようなかんじでした(Supplemental Data参照)。
Fig.4の例にだしたやつなら73%±8%のでき。
11人中10人で観察できた。
49こ(選択性もつ電極のうちの44%)が大きさ不変の選択性示した。
パフォーマンスは60~82%(Fig.S2F参照。平均したら64±4%)
64こ(選択性もつ電極のうちの58%)が視点不変。
パフォーマンスは60~81%(Fig.S2E参照。平均したら65±4%)
かぶるやつ多し。
つーかピアソンで相関係数だしてもr = .70とかだしぃー(Fig.5A参照)。
不変に選択的なやつが多いのは(エリア番号は表S1参照)、下後頭回(area 14)、海馬傍回(area 19)、下側頭皮質(area 31)、紡錘回(area 17)、中側頭葉(area 18)、側頭極(area 43)。
アセンブリにしたらパフォーマンス58%から90%になったぜ!(Fig.S4CとD参照)
(おおう90%…と思ったけどあれ下の58%ってもしかしたら落ちてる?有意差ないにしてもアセンブリ化することが意味ない電極もあるわけだ)
特に下後頭回と側頭葉にある電極が不変につよかったぜ!(Fig.5BとかFig.S5とか参照)
ほいで前段落でやったよーな潜時も分析してみた。
潜時は変形で特に差ないな。100ミリ秒以下(Fig.6A参照、あとFigS7D-Fも)。
こんだけ早いってことは、大きさとか向きの違いとかを分析するのって、実はもともとのオブジェクト認識にはよけいな時間とらせないんじゃね?


で、DISCUSSIONですよ。
オブジェクト認識研究のこれまでを振り返る部分はさっくり省略。
この研究のまとめとして
・ヒト後頭・側頭の反応電位でオブジェクトカテゴリ分類できたよー
・オブジェクトの変形にもロバストだよー
・ちょー反応早い(100ms以下とかでもいける)よー
んで、この研究への反省として
・カテゴリっつっても5つしかやってねえから、「選択的」って言ってもほかのカテゴリにも関与する

部位もあるかも。まあたいがいは1カテゴリにのみ選択性示すんだけど
・空間的な範囲についてはよくわからん(どこまでの範囲が「選択的」かわかりかねる、ってことか)
・あらかじめ決めた領域の電極しか観察してない
まーでも先行研究とは矛盾してないしいんじゃね?と。
あーでも顔=紡錘回みたいな話にはならんかったなー今回。
まーそれはのちのち。
でもオブジェクト変形にロバストな分類できたのすごくね?
アルゴリズム改善したらもちょとパフォーマンスあがるやろけど、「分類できる」ってわかった以上そんなちまっちましたことやってらんねー。
そんなことより、変形してなかろーがしてよーが、似たり寄ったりの潜時で分類できる、このことのがすごくね?
余計な情報処理たーいむ!とかないってことじゃね?
まあでも詳細な情報に基づく分類にはたぶんよけい時間かかるらしいけど。
(心的回転とか、回転の角度でかいほど反応時間のびるっていうしねー。
でも今回のは「心的回転を行わなくてもカテゴリ分類できる」ってことなんかもねー。
じゃあカテゴリ分類に必要な情報って何だろー。とか思ってしまうんですが)
イメージングじゃ時間分解能がしょんぼりだけど、電極貼っちゃえば200ミリ秒以下でもカテゴリ分類できるとかわかるぜー。
まあヒトの分類潜時は200~500ミリ秒っていってるやつもいるけどなー。
そのへんはこんどかんがう。
ま、ま、それはおいといて。
解剖学的に考えて、高速なカテゴリ分類できたりそいつをデコーディングできるってことは、オブジェクトカテゴリの短い情報処理回路と長い回路があるってことだよなー。
長いのだったら側頭と後頭をぐるぐるまわるよーな回路。
短いのだったら水平的結合とか後頭の隣り合う領域とかの回路。
(え?と思ったけど解剖学知識ないから黙っとこ…かと思ったけどどうせ書きだめなのでいいや。
側頭=遅い回路ってんなあほなー、と思うんだがどうだろう。)
300ミリ秒から後の活動って、高次機能とか感情とかトップダウン系なんじゃないかなー、と。
(え、感情トップダウン??とか思ったけど考察の夢ひろがりまくりんぐにつっこみすぎるのも野暮ですね)
ともかくこの研究が、マカク電極研究とヒトイメージング研究の橋渡しになれば筆者はハッピーだなあ、と。
(そらヒトで電極やれりゃ最強だもんなー)
まあそんなかんじです。

正直ここまできたらあとはおまけみたいなもんですが、後学のためにしっかり読もう

EXPERIMENTALPROCEDURESつまりメソッド欄。手続きとか。
Subjects(って言っちゃってよかったんだっけか。まあ神経系はな…)は既出省略。
11人ね。念のため。

Recordings見よう。
頭蓋内電極(Ad-Tech, Racine, WI, USA)直径2ミリのを1cmおきにぷすぷす。
4箇所から64箇所のサイトを含むグリッド&線みたいなんに沿ってやりました。
既出だけどトータル48こ~126こ(80.4±18,4)。
信号は2500倍に増幅され、0.1~100Hzの間でCHB(XLTEK, OakVille, ON, Canada)256HzとBWH(Bio-Logic, Knoxville, TN, USA)500hzのサンプリングレートでフィルタリング。
(だめだこのへんさっぱりだただの丸写しだ)
まあ場所とか具体的なことは表S1見てね、と。

Stimulus Presentationになってようやくいきいきしてくる自分。
コントラストを(おそらく用いる全画像内で)標準化した白黒デジタル写真のオブジェクトを提示。
オブジェクトカテゴリは既出ですが「動物」「いす」「ヒトの顔」「くだもの」「のりもの」。
(まあここで心理屋さんならカテゴリレベル違うやんけ、とずっこける場面ですよねー。
動物とのりものは若干上位カテゴリな気が。)
コントラストはピクセルのグレイスケールが1SD内におさまるようにしたかんじ。
(一枚ごとなのか全画像でなのか書いてない。これだから心理屋のかまない実験は…とかいってみたりしてうそですごめんなさい)
4人の患者さんには追加で2種類のオブジェクトカテゴリを提示した。
(な、なんだってー! ここにきて新事実とかもう!)
ちなみにレゴでつくった人工オブジェクトとくつだそうです。
(だからカテゴリレベルとかry)
とりあえず論文中には5カテゴリの話しかしてない。
1つのカテゴリには5つの見本、exemplarがありましたとさ。
んでそれぞれに変形さしたもん加えて5種類提示したとな。
(1)視角3°で基本視点
(2)視角1.5°で基本視点
(3)視角6°で基本視点
(4)視角3°で視点45°回転
(5)視角3°で視点90°回転
図の対応省略。
被験者は1バック課題やってたって。
画像は擬似ランダマイズした順に提示。

Data Analysisだ…
と思ったら詳しいアルゴリズムはSupplemental Data見れってさー。
まあHigh IFだったら当然ですよねー。
…寿命が伸びたような縮んだような。
まーアルゴリズムの勉強は後からでもいいさー、と言い訳。

Electrode Localozation
術前MRIとった。
あと術後CTとった。
Freesurferってソフトで、それぞれの患者さんの3D脳表面再構成とautomatic parcellation(訳語ねえ。自動分割?)を行った。
電極の位置は80エリアに及んだ。それぞれの位置のタライラッハは表S2見れ。
んでタライラッハに基づいて、電極を脳表面に重ね合わせてったわけだ。

Classifier Analysis
うひゃー本丸ですね。
まあ基本的にパターン学習ですよ、と。
Supplemental Data見れ、と再度忠告。
んで今回相手にしてる反応電位ってのは、基本(最大電位)-(最小電位)ですよ、と。
んで範囲はTは基本刺激提示後50~300ミリ秒。
ほかの範囲についてはFig.S3見れ。
んで、1本だけでデコーディングできるのか、アセンブリ作ったほうがいいのかも検討してみた。
1本だけの場合と、1本につき1ビンだけの場合のデコーディングだと、ROC曲線もANOVA結果も似たり寄ったり。
あと、特別に言及してる場合以外は、たいがい「これは特定のカテゴリに属するか否か」の2択で分類できるかやってる。つまりチャンスレベル50%。
(だったらパフォーマンスかなり低くね?と思うんだがカテゴリ分類だから仕方ないのか)
ほかは5択。チャンスレベル20%。Fig.S4Bとか。
ROC曲線描くときは、y軸に正しく検出できた割合、x軸にフォールスアラームの割合としてます。
あと、どの結果においても訓練試行とテスト試行は別もの。
どれが訓練でどれがテストかは課題設定による(ResultsとSupplemental Data参照)。
選択性を調べるためにSVM使うときには、データの70%を訓練につかって30%をテストにつかった。
オブジェクト変形しても分類できるか調べるときには、特定の大きさ・向きの図の試行を訓練に、大きさまたは向きが異なる図の試行をテストに使った。
SVMは物理的な信号(この場合は反応電位)とカテゴリの対応をマッピングしてった。
テスト時も、テスト試行に対する予測と実際のカテゴリラベルを対応付けていった(つまり学習は進んでいた)。
ここには書かなかったけど、学習を繰り返すことでパフォーマンスあがった。最終的には100%いくくらい。
2択のときのチャンスレベルは、図にダッシュライン(長い点線)で描き入れてる。
特に但し書きしてなければ、SVMは線形カーネル使ってる。
ちゃんとカテゴリ選択的にデコーディングできてるのか確かめるためカテゴリシャッフルして分析もやってみた。(Fig.S2Aね)
(こんなかんじに話ばらっばらな段落。おまいら実験手続きの記述についてはてきとーでいいのか)

Other Statistical Analyses
ANOVAもした。
結果はSVMのとかわんねえ(Supplemental Data)。
SVMのほーが厳密やからそっちの結果のせることにした。
選択性が、カテゴリに基づくものではなく特定のexemplarに基づくものやったりしたら困るんで、exemplar1こずつで選択性調べてみた。
帰無仮説として、カテゴリかんけーなしに順位が一意的になるんじゃねー、と。
んでランダムに100000回選んだexemplarから偏差を帰無仮説から推定(よーするに順位からってことか)。
ANOVA関連で本文中に引用したp値はカテゴリごっちゃにした中のmこのexemplarが反応いい順n位までにランクインしとる割合。
(あれなんだこのANOVAわたしが知ってるANOVAとちがう。ひょっとしてrank訳し間違えてる?
ちょっと保留)


感想。
あれ?側頭極も後頭回もごっちゃ?
機能的にそれっていいの?(この考えって局在すぎ?)
側頭極でできるデコーディングと、後頭回でできるデコーディングって、機能的に異なるものに対応し

たりしない?
あとカテゴリ分類についてざっぱすぎやしないかい?
とは思うものの、カテゴリをここまで明示的にデコーディングしてて、しかも頭蓋内電極だからすごいことはすごい。
ま、ここで得たヒントが、またなんらかのどこかにつながるのでせう。

そして、この論文のcorresponding authorが、学会まとめその3にでてくるわけです。
乞うご期待。

ちょっと忘れてたのひっぱりだしたから整合性とれてないかも。
あとで見直す。

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