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めもめも ...〆(。_。)

認知心理学・認知神経科学とかいろいろなはなし。 あるいは科学と空想科学の狭間で微睡む。

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なんか呪いの鉛板が発掘されて、期間限定で展示されるというので見てきた。
www.museum.kyoto-u.ac.jp/modules/special/content0018.html
このページのチラシに呪いの文面が載っているよ!
メディアにも紹介されていたらしく
mainichi.jp/select/wadai/news/20101208k0000m040065000c.html
結構人気の展示となっているようだ。

このへんの知識はまったくないが、現物の横にこの研究をしている先生が立っていて、今までの解読の結果を解説してくれるのでおもしろかった。
現物自体は、レシートくらいのおおきさで、そこにびっちりみっちり小さい字で呪いの言葉が刻み込まれている。
ちっさくてもろい(へたしたら粉々になってしまう)ので、保護との兼ね合いから5日間しか展示できないのだそーな。

最初のほうは、無意味っぽい単語が並んでいるようだが、実はその中に呪わしい単語につながるような言葉があり、呪いのために神々を呼び出す呪文になっているんだそーな。
たしか、ニュースにもでてきた「ラブララライン」という呪文の中に、ギリシア語の「呪い」という言葉が隠されていて、「フテ」という呪文の中には「しね」という言葉が隠されているんだそーな。
(ネットスラングの「タヒね」みたいなイメージ?)
他に呪文の「イアオー」が「ヤーヴェ」らしいとか、「サバト」というのも出てくるとか。
こういう神々を呼び出す呪文だけで、ちっさい板の半分くらいが埋まっている。
その後、神様を表す記号みたいなのがあって、神様に呪いを願う文章になる。

もともとちっさい板に書くから字もちっさめなんだけど、最後のほうはスペースがきつきつになっててだいぶ字がちっさい。
勢いに任せて書いたからそうなったのかとも思ったのだが、こういうのは自分に呪いがかかってくるのを恐れて代書を頼むものらしい。
じゃあそういう「呪い文書きます」みたいなおしごとがあったのかねえ。
この鉛板を依頼したひとは、別に富裕層でもなんでもなく一般人だと考えられているそーな。
この時代は、呪いというものがわりと一般的だったらしい。
鉛板自体は、紀元後3世紀くらいのものとみなされるそうだが、紀元後6世紀くらいに、キリスト教が呪いを禁止するというおふれを出したらしい。
つまりは禁止するくらい呪いがポピュラーなものだったということだ。

で、呪いを書き付けた板は、ちっさくおりたたんで、若死にしたひとのお墓に勝手にいれちゃうんだって。
この時代の考え方として、人間には定められた寿命があって、不慮の事故などで寿命を生ききれず若死にしたひとは、定められた寿命の日がくるまで死後の世界にいけず魂としてお墓を彷徨う、とされていたそーな。
で、彷徨う魂に頼めば神々との橋渡しをしてくれたりあるいは呪いを実行してくれたりする、と考えられていたそーな。

また、名指しで呪われているひとの名前も、ユダヤ系だったりローマ系だったりで、当時のテュロス(呪いの鉛板が発掘された場所)はいろんな国のひとがいたことがわかるそーな。
最初この鉛板は紀元後2世紀くらいのものと考えられていたのだけど、今は紀元後3世紀くらいのものと推定されているらしい。
なぜかというと、「(複数の)神々に依頼する」という考えは多神教・ギリシア神話的なものだけど、つい最近、この鉛板の最後が「勝利を、アーメン、イエズス」というふうに締め括られていると解読できたから、つまり呪ったひとはキリスト教徒だったことがわかったから。
「イエズス」という表記は、紀元後2世紀まではぜんぜんなくって、紀元後3世紀になってから爆発的に増えるんだそーな。
だからこの鉛板も紀元後3世紀ごろのものだろう、とさ。

いやーおもしろかった。
ちなみにこの研究はかけんひ基盤Aでされてるそーな。
かけんひってこんな研究にも使われているんだね!
そしてこんなおもしろい成果があがっているんだね!
(with 営業スマイル)

まあそこらへんのネタはおくにしても、後半の呪い願い文の愚痴っぽさ(何回も「彼らに不名誉を!」ってぐだぐだ言ってる)とか、古代でも人間は人間というか、ああにんげんくさいなーっていうのが感じられておもしろかった。
おもっきり時代も空間もへだてた誰かさんのことをにやにや想像できるというのも楽しいものですね。
全然じぶんの研究とは関係ない研究の話をきくのもいいものです。

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