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めもめも ...〆(。_。)

認知心理学・認知神経科学とかいろいろなはなし。 あるいは科学と空想科学の狭間で微睡む。

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ナショジオで面白い特集をやっていた。
まとめこちら

なんと、イルカに言語をつかわせようとしている研究者がいるのだそうな。
おもしろがりはするものの、なんだかんだいって比較認知は専門外だからさっぱり知らなかったよ……

まあこのへんのややこしいことをヒト以外の種(特に霊長類)にやらせようとすると、「それは単なる対連合学習ではないのか」という批判が常につきまとうもんなんですが、ヒト乳児~幼児も(あるいは学習初期の児童・成人だって)最初のうちは対連合学習からスタートするはずなんですよね。
そこから、どれくらい抽象度を高めていけるか、が問題なはず。
言語というのはもともと恣意的な音もしくは記号の並びで、しかも連合されるべき対象は確固たる一物体ではなく漠然とした意味カテゴリ。
抽象度でいえば抜群に高い。
その前の段階、意味カテゴリですらどの種で可能でどの種ではできないのかすらまだよくわからんというのに。
イルカはどこまで抽象度を高めることができるのだろうか。

第3回を読むと、三段論法的な連合は可能なようす。
第4回を読むと、カテゴリ的な連合もできる……のかな?ちょっとよくわからない。
「動詞」をつかわせる試みをしているそうなので、まあ意味カテゴリ的な理解&使用を目指しているのは確かだろう。「行為」は常に1回限りであり、文脈もまたその時々によって違うのに、それを1つの単語でまとめようというのが動詞だから、抽象度は(比較認知的には)高いほうだろう。
模倣的な話もあるけどそっち方面には実はあんましわくわくしなかった。
やっぱり認知を考えるうえではカテゴリ認知は避けて通れないぜ!と思ってるからか。

あと、「イルカ」って種を選んだのもおもしろいよなあ。
まあ「イルカがせめてきたぞー(画像省略)」みたいなネタ方面もちょっとはあるんですが、やっぱ抽象度の高い認知って霊長類がメインって雰囲気ありますからね。
霊長類どころかサルですらない。
まあそれ言っちゃうと鳥類のかしこいやつ(とくにカラスとか)だってそうなんですけど。
霊長類って霊長じゃないかもなー、って言われてもしかたない(でもそれは言い過ぎって言われてもしかたない)。

それと、やっぱりもともとの生活様式というか身体構造というか、そういうハードウェア的側面は無視できないなあ、と。
ヒトじゃない霊長類ってあんまり音声コミュニケーション豊かじゃないっぽいし、そういう咽喉してないっぽいので、音声言語という面では不利だろう。
イルカはエコロケーションするし音声コミュニケーション豊かっぽい?(詳しくは知らん)ので、音声言語学習では有利なのかも。

でもそういうこと考えると、音声とかヒトにとってわかりやすいモダリティ以外の方法で抽象的な認知やコミュニケーションを行ってる種もひょっとしたらいるんじゃないかな……ってなかんじで妄想ひろがりまくりですよ。
最早、ヒトの説明に「言語をつかう唯一の種」って言い回しは使えないんじゃないかと(←先走りすぎ)。
とはいっても、これほど多様に扱えるのはやはりヒトだけなんだろうけど。
このへんは道具使用が通ってきた道だな。

うむ。今後が楽しみ。
あとやっぱ、こういうかんじの話も一度ゆっくり考えてみたいと思ってる。

こないだ見つけて非常に気になった論文貼る。
Short-Term Memory Affects Color Perception in Context
あんまり詳しく読めてないんですが、特定の文脈での色知覚に対する色記憶がどう影響してくるかというお話。
いやまあ論文自体もなかなか面白いと思うんですが、それ以上に気になったのはPLOS ONEが作ってるSubject Areasの項目。
 Memory
 Psychophysics
 Sensory perception
 Color vision
とかはいいんですよ。至極まっとうだし、こういう領域の研究者ならこの論文たしかに興味持てると思う。

問題はその次。
 Tomatoes
っておまえー!
いやたしかにアブストで「買い物するときに熟したトマトと未熟なトマトを見分ける」みたいな例引いてるけど!
トマト画像実験につかってるけど!
これトマトの研究っていっちゃうのちがうやろー!!

ってものっそい画面に向かってつっこんでしまったんですけどこれどうなんですかね。
PLOSさんとこのSubject Areasって投稿者自身が設定するものなんでしょうか。それともPLOS側が設定しているのでしょうか。
筆者のおちゃめなボケなのか、タグとか自動生成しちゃう系自動設定のたまものなのか。
PLOS系に投稿したことないんでわからないのですが、若干気になります。


あとやっぱり、記憶を抜きにしてわれわれの行動(知覚もね)を語ることってできないよねー。とは思った。
こういう方向の研究好きなんですよ。
すべては記憶。記憶なのだ(ふろしき広げすぎ)。
以前、「dual N-backというワーキングメモリ課題を練習することによって知能が上昇する」という研究・それに対する反証を紹介しましたが(過去めも参照)。
反証は多々あれど、そもそも「上昇する」ケースが1こもなければ最初の論文が出るはずもないですよね?
ということは、なんらかの要因が加われば、ワーキングメモリ課題の練習で知能を上昇させることも可能なのでは…?
(たとえば、「高齢者」という要因など)

なんてことを考えていたら、おどろくべき実験を見つけたのでめもっておく。
Smith, et al., (in press). Tea and working memory training improves fluid intelligence. JCPNS
なんと、お茶(この実験は英国で行われたので紅茶ですが)を飲みながらワーキングメモリ課題の訓練を行った場合、知能が上昇する確率が高くなるというのです。
お茶のもたらすリラックス効果、集中力増強が影響しているのだとか。
ふだんよりリラックスしなおかつ集中している状況でないと、練習効果の汎化はみられないということでしょうか。
これ、緑茶でも同じ効果が得られるかな?
さっそくこまかい実験手続について、もう少し詳しくみてみましょう。
「つづき」をご覧ください。


先週はめもぶろぐで論文でも紹介するかとぼんやり考えていたのですが,週末にそれどころじゃないニュースが飛び込んできたので却下.

なんと,滞在先大学付属の博物館で展示されているピラミッド副葬品の小さな像が,日中ひとりでに回転するようになったというのですよ!
ガラスケースの中で正面むいて陳列されていたはずの像が,いつのまにか後ろ向きになっているという…!
もちろんガラスケースは鍵がかかっていて中は誰も触れない(そこの担当者一人だけが鍵を持っていて,彼が最初にその現象に気づいてびっくりしたそうな).
ピラミッドの呪いか!!?というニュース.
博物館ではその現象を確かめるべく像をビデオ撮影していて,ニュース元ではその動画も見られます.
これはふしぎ!!

この像は,埋葬者の肉体(もちろんミイラ)が損なわれたとき,肉体に代わって魂の受け皿とすべく作られたものなんだそうな.
なので,これは傷ついたミイラの魂が最近乗り移ったのでは…!!?
というのがスピリチュアル系の解釈だそうな.

こっちの大学の物理の教授(この謎の物理的な解明に挑んでおられるらしい)は,像が日中にしか動かないことに注目し,博物館の客が歩き回ることによって生じた振動が伝わって像が動いてしまうのではないかという仮説を立てているそうな.

しかし,それだけでは
1)最近になって動き出した
2)常に180度,半円を描いて動く
この2点が説明できない.
一体何が起こっているのか…!?

と,くらぁ.
そりゃあ見に行かなくっちゃ!!!


で,行ってきました.
新聞にニュースが載ったその日に.

いろいろあって博物館についたのはわりとお昼過ぎだったのと,最初どの像が問題の像なのかちっともわからなかった(結局職員に聞いた)のとで,問題の現象をがっつり検証するだけの時間はとれなかった.

が,写真は撮った.


これが件の像です.
既に後ろ向いている.

そもそも「動く」という現象自体があるのかどうかをまず確認しなくてはならないので,時間を置いて写真を撮ってみた.

この画像の左端,黒い像に注目.


約30分後.


さっと撮っただけなので,陳列棚からの距離やら傾きやらが統一できていない.
が,それを見越して,ある程度の傾きは後から補正できるよう,陳列棚のガラス板を写真のフレーム内にいれてある(ふつう陳列品を写真撮るときにはこういうのはあんまし入れない).
ガラス板を目安に,「画像全体を」回転修正したのがこれ.


さっきの画像とよーくよーく見比べると,わずかに「像だけが」回転しているっぽい…!
もちろんこの間,誰もガラスケースを開けていない(はず.古代エジプト担当のキュレーターが来てなかったし).
これは,さらなる検証の必要性がある…!


とりあえず今度時間のとれるときに,もうすこし時間を空けてこの像を追っかけてみたいと思います.


そして,なぜこの現象が起こったのかについても仮説を考えてみないとね!
ネタ仮説と,検証可能な仮説の両方を.
まあネタ仮説は検証のしようがないし,検証可能な仮説立てても検証できる権限はないので,考えるだけですが.
オカルトって盲信側でも懐疑側でも楽しいよね!



そしてこんなことやってたら今回住んでるところの洗濯機が壊れた.
こ,これはエジプトの呪いなんだよ!な,なんだってー(棒)
うぅ…

リファレンスワークをだらだらしてたらこんなんみつけた。
http://www.perceptionweb.com/abstract.cgi?id=p7261
めがねって、裸眼でもの見るときとちょっと違うっていうかものの見え方に若干ゆがみがあるよねー。
(初めてかけたときになんか奥行き知覚がいつもと違うかんじするとか)
で、めがねかけてるひとって、24時間ずっとめがねかけてるわけじゃなくて、おふろとかねるときとかめがねはずすよね。
じゃあ、裸眼→めがね装着の変化ってしょっちゅう起こるわけだ。
でもめがね生活が長くなれば、そんなにめがねによる見えの変化って気にならなくなる。
これはつまり、知覚運動協応とか順応とかそんなんができとるってことではないか!?
→まあそうだよね
→といっても、めがねかけてすぐはやっぱり多少ずれがある

といった話らしい。
当たり前っぽいことをちゃんと確認するのってだいじだよね。

そういえば、めがねって常に目の周りにものがある状態なわけだけど、オブジェクト認知とかに影響まったくないのかなあ。
ちょこっとくらいはあるのかなあ。
ふだん意識しないものをちょっと意識してみた話。

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